8/11/2024

デッドリフトで腕を長く使うメリットとデメリット

デッドリフトは、腕を長く使って胸が高い位置からスタートしたほうが重量面で有利です。また、腕を長く使えると上半身の傾きが小さくなるので腰への負担も軽くなります。

実質的な腕の長さを伸ばせるポイントはいくつかあります。

まず、デメリットがなく、全てのフォームの人がやったほうが良いのは、以下の3つです。

1.僧帽筋上部を脱力して肩を下げる

2.背中を反らない

3.肘と手首を伸ばす



次に、デメリットがあって、これらのテクニックを使うかどうかは人によるのが以下の4つです。

4.胸椎上部をニュートラルよりも丸める

5.肩甲骨を外転する

6.肩関節を内旋する

7.人差し指・中指でバーを握る


これらのテクニックのデメリットは・・・

・バーのコントロールが難しくなる

・体幹を固めにくくなる

・全身の連動が損なわれる


一般的には、コンベンショナルで上半身の傾きが大きい人は、腕の引きつけや体幹の強さが要求されるため、腕を長くするテクニックを使いすぎないほうが良く、全身の連動重視が良いです。

スモウで上半身が起きるフォームの人は、腕を長くするメリットがデメリットを上回りやすいです。スモウは高い位置から引けると挙上重量が大幅に向上しやすく、また上半身が起きているフォームならば、バーの引きつけや体幹の強さがそれほどシビアに要求されません。




下の動画は、Sean Noriega選手のフックグリップの解説動画です。この選手はかなり腕を長く使っています。

動画:The ULTIMATE Hook Grip Tutorial (Ft. Sean Noriega)
https://www.youtube.com/watch?v=-qoiOjtMJYc


動画では、KABUKI Strengthのフックグリップのやり方(深く握る)や、OmarIsufの肩を外旋するフォームを比較対象として出しているのですが、これはデッドリフトのフォームの違いが影響しているでしょう。Sean Noriega選手は、上半身がかなり起きるフォームのスモウなので、指先フックグリップ&肩内旋で、限界まで腕を長く使ってバーをぶら下げるスタイルでも挙上ができます。コンベンショナルで指先フックグリップ&肩内旋だと、体幹を固めにくく、全身の連動も低下するので、コンベンショナルの人は真似しないほうが良いでしょう(軽い重量で試すと高い位置からコンパクトに引けていい感じかもしれませんが、1RMに近づくとやりにくくなると思います)。

動画:SEAN NORIEGA TAKES 5th & $250 @ THE VA PRO | USA Powerlifting Virginia


国内トップ選手の解説動画でも、その選手の体格・フォームにはフィットするだろうけど、他の体格・フォームの人にはフィットしないであろうBIG3のテクニックが、「◯◯はこうやれ!」と紹介されることがあるのですが、向き不向きがあるので鵜呑みにしないほうが良いと思います。スクワットのテクニックは個人差があまりないと思いますが、ベンチプレスとデッドリフトは個人差が大きいです。そしてこの2種目は、トップ選手の競技フォームと普通の筋トレのフォームが乖離しています。

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