9/27/2025

膝周りを強化するレッグエクステンションのやり方(膝痛対策)

膝痛対策になる、膝周りを強化するレッグエクステンションのやり方を紹介します。


まず初めに、膝痛対策の基本ポイントを書いておきます。大腿四頭筋だけ鍛えても問題は解決せず、膝痛には全体を見渡した総合的なアプローチが必要です。


★尻の筋肉に負荷を分散させる
日常生活やスクワットでは、膝と股関節に負荷を分散させることが大切です。ただ、股関節に負荷を分散させる場合も、尻の筋肉をうまく使えないと、関節そのものに負担がかかり、股関節を痛めやすくなります。

たとえば、長時間のウォーキングで尻の筋肉で着地の衝撃を受けず、股関節にダイレクトに衝撃が伝わるような歩き方をすると、股関節が変形性関節症になりやすいです。スクワットでも、尻の筋肉で負荷を受けずに股関節に頼りすぎると、鼠径部の痛みにつながることがあります。


★膝はまっすぐ曲げ伸ばしする
膝関節に傾きやねじれの力を加えないようにします。スクワットの動作で膝が内側に入るのはNGパターンです。膝は常にまっすぐ曲げ伸ばしすることが大切です。


★大腿四頭筋を強化する

膝関節の安定には、大腿四頭筋の筋力は重要です。変形性膝関節症は、体重が軽く膝への負担が少ないはずの女性に多く見られます。その一因として、大腿四頭筋の筋力不足が挙げられています。

「スクワットで膝が痛い……。じゃあ膝を前に出さず、お尻を思い切り後ろに引くか」というやり方をする人もいますが、これでは膝の問題は解決しませんし、股関節の屈曲が深すぎて鼠径部が痛くなったり、上体が大きく前に傾いて腰に負担がかかったりします。逆にスパルタ作戦で膝を前に出し、大腿四頭筋を無理に鍛えようとすれば、かえって膝の痛みを悪化させることにもつながります。

9/18/2025

フィットネス競技の各部門の選手の部位別セット数を調べた研究

Quantification of weekly strength-training volume per muscle group in competitive physique athletes
https://www.frontiersin.org/journals/sports-and-active-living/articles/10.3389/fspor.2025.1536360/full#B3

フィットネス競技の各部門の選手にアンケートを取り、部位ごとのセット数をオフシーズンとコンテスト前に分けて調べています。有酸素運動についても調べていますが、あまり面白くないので割愛します(コンテスト前になると有酸素運動がやや増えるといった普通の結果)。

各部門の競技選手が、各部位に対してどのくらいのボリューム(週間セット数)をこなしているのか、水準感がわかって興味深いです。全体的な傾向として、(当然と言えば当然ですが)その部門で重視される部位のセット数が多いです。回答数が少ない部門は個人差の影響が大きく、部門全体のトレーニング傾向を反映していない可能性があります。



<調査方法>
オンラインアンケート
調査期間は2020年4月から12月


<回答のあった部門>


選手の参加している競技団体
• International Federation of Body Building and Fitness – São Paulo (IFBB SP): 1 athlete
• São Paulo Fisiculturismo e Fitness (SPFF): 19 athletes
• National Physique Committee PRO LEAGUE (NPC): 85 athletes
• International Federation of BodyBuilding and Fitness ELITE PRO (IFBB ELITE PRO): 39 athletes
• National Amateur Bodybuilders’ Association (NABBA): 1 athlete
• World Beauty Fitness & Fashion (WBFF): 2 athletes
• World Beauty Fitness & Fashion Professional (WBFF PRO): 1 athlete
• World Fitness Federation (WFF): 1 athlete
• Other affiliations: 5 athletes

PEDs使用の有無について調べてみましたが、NPCはIFBBプロの下部組織なのでPEDs前提ですかね。IFBBエリートプロは薬物禁止を掲げているけど、出場選手の仕上がりを見ると怪しい・・・という声が。

8/23/2025

重量の漸進的過負荷とレップ数の漸進的過負荷を比較した研究

個人差に関する研究で面白いです。多くの初心者向けトレーニングプログラムは、重量を漸進的過負荷していきますが、この研究からは、重量を漸進的過負荷したほうが筋肥大しやすい人もいれば、レップ数を漸進的過負荷したほうが筋肥大しやすい人もいることがわかります。

Individual muscle hypertrophy response is affected by the overload progression model and is associated with changes in satellite cell content
https://www.fisiologiadelejercicio.com/wp-content/uploads/2025/06/Individual-muscle-hypertrophy-response-is-affected.pdf

被験者:若い男女 37名 過去半年間のトレーニング歴無し

種目:片脚レッグエクステンション

被験者の脚を片方ずつどちらかのプロトコルに振り分け
- LOADprog:9-12RMのレンジ内で重量を漸進的過負荷 4セット
- REPSprog:全セット限界まで 重量は初期設定の80%1RMで据え置き レップ数の漸進的過負荷 4セット 

期間:10週間

インターバル:セット間90秒、プロトコル間2分(片脚4セット→もう片方の脚4セット)

測定:外側広筋の厚み(超音波)、外側広筋の筋肉組織採取

頻度:週2-3回

7/25/2025

夕方以降の運動による睡眠への影響

(1)Dose-response relationship between evening exercise and sleep
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12000559/

夕方以降の運動が睡眠に与える影響について調べた研究です。

トレーニングからの回復には、食べることと寝ることが最も重要です。トレーニングが睡眠に悪影響を与えてしまうと、回復が阻害される可能性があります。


結論としては、寝る直前に激しい運動をすると、睡眠に悪影響が出ます。

夕方以降の運動では

・軽い運動なら寝る2時間前までに終わらせる

・激しい運動なら寝る4時間前までに終わらせる

と、睡眠に悪影響が出にくくなります。

7/05/2025

筋肉の伸長ポジションと短縮ポジションで負荷をかける

関節の安定性のためには、

・筋肉の「伸長ポジション」で強い負荷がかかる種目

・筋肉の「短縮ポジション」で強い負荷がかかる種目

両方ともやったほうが良いと、最近考えています。


「筋肉が伸長されたポジションで強い負荷がかかる種目のほうが筋肥大効果が高い」というのが、今の科学界のトレンドですが、伸長されたポジションでのトレーニングばかりやると、関節がゆるくなりやすい感じがします。特に、ストレッチを効かせようとすると、器用な人だと意図的に関節を緩めて可動域を広げようとします。

短縮ポジションでもトレーニングすることで、関節がハマって安定しやすくなる感じがします。

具体的には、

<股関節(ハムケツ)>
・伸長ポジション:スクワット、レッグプレス、デッドリフト系の種目 
・短縮ポジション:ヒップスラスト、ヒップリフト、ライイングレッグカール(ハム二関節筋)

<膝関節(大腿四頭筋)>
・伸長ポジション:スクワット、レッグプレス系の種目 
・短縮ポジション:レッグエクステンション

<肘関節(上腕三頭筋)>
・伸長ポジション:フレンチプレス系の種目 
・短縮ポジション:プッシュダウン系の種目


短縮ポジションで負荷をかける種目では、以下のポイントを意識するといい感じになると思います。

・トップポジションで筋肉を絞り上げるように収縮させる。

・重量は軽め、最低でも10レップはできる重量で行う。重いと、トップポジションで絞り上げられない。

・コンセントリックは最速にしない。軽めで最速だと、慣性でトップ付近での負荷が抜ける。伸長ポジションで負荷をかける種目は、コンセントリック最速を意識するとボトム付近(伸長ポジション)での負荷が上がるから良いけど、短縮ポジションで負荷をかける種目はトップ付近で負荷が抜けないようにしたい。

・関節は過伸展しないようにする。伸ばしきりから数度前で止めて絞り上げるのが良いかも。

6/28/2025

膝屈曲角度の違いによる大腿四頭筋の筋肥大効果

新しい研究が出てきたのでアップデートします。結論としては、レッグプレスやスクワットならば、膝屈曲角度90-100度くらいで大腿四頭筋の筋肥大は最大化されると思われます。(ここでの膝屈曲角度は、膝を伸ばしきった状態が0度で、そこから何度曲げていくか)


新しい研究の概要


(1)Knee flexion range of motion does not influence muscle hypertrophy of the quadriceps femoris during leg press training in resistance-trained individuals
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02640414.2025.2481534



被験者:トレーニング歴(平均7.2年)有り 23名 若い男女 平均年齢20代

種目:レッグプレス 各セット限界まで

グループ分け(被験者内でのグループ分け、左右の脚をそれぞれのグループに)
- 膝屈曲角度100度
- 膝屈曲角度MAX(平均154度) ボトム付近では踵は浮いても良い

トップポジションでは、両グループとも屈曲角度5度で止める。

期間:8週間

トレーニング内容:
8-12RM 4セット(1週目のみ3セット)
頻度は週2回
テンポ コンセントリック最速 エキセントリック2秒

食事:
摂取カロリーを増やして、タンパク質を1.6g/体重kg/day摂るように指示。トレーニング歴有りなので、体重を増やさないと筋肥大しにくい。

測定:
超音波で大腿四頭筋の厚みを測定(複数箇所)


結果:
両グループとも筋肥大したが、筋肥大効果は同等だった。



トレーニングボリューム(重量×レップ数×セット数)は、膝屈曲角度MAXのほうが小さかった。屈曲MAXだと扱える重量が下がるので、ボリュームも小さくなるが、筋肥大効果は同等。



被験者の平均体重変化は、80.6kg→82.9kg。

6/06/2025

【朗報】クレアチンを飲んでもハゲない

耳にしたことがある人もいると思いますが、クレアチンを摂取すると男性型脱毛症(AGA)になる、AGAの症状が進行する(つまり髪が薄くなる)という説があります。

この説が流布されるようになったきっかけは、クレアチンの摂取によるジヒドロテストステロン(DHT)の増加が2009年の研究(1)で報告されたことです。DHTは、AGAに深く関わる男性ホルモンです。ただ、その後は、クレアチン摂取によるDHTの増加を報告する研究はありませんでした。

最近、クレアチンとAGAの関係を直接調べる研究(4)がようやく行われました。この研究では、クレアチン摂取によるテストステロンやDHTへの影響、そして頭髪の状態を調べていて、クレアチン摂取グループとプラシーボグループとでは、各ホルモン、および頭髪の状態に有意差は無い、という結果になっています。


結論を書くと、クレアチンの摂取はAGAに影響を与えないと考えられます。男性トレーニーの皆さん安心してください。


以下は、論文についての解説です。

5/24/2025

カフェインガムのスクワット・ベンチプレス1RM向上効果

最近、研究が増えてきているカフェインガムについての記事です。カフェインの運動パフォーマンス向上効果は、以前から様々な分野で確かめられています。ただ、それらの研究で用いられているのはカフェイン錠剤です。

チューイングガムの形態でカフェインを摂取すると、吸収経路が錠剤とは異なることから、カフェインの副作用を抑えられます。また、運動のタイミングに血中カフェイン濃度のピークを合わせやすいため、パワー・ストレングス系競技でパフォーマンスを上げやすくなる可能性があります。

5/15/2025

スクワットのテンポが筋力、筋肥大、瞬発力に与える影響

スクワットのテンポをどのように設定すれば良いのか。

論文を5つ紹介してから、最後に目的別のまとめを書いてあります。


4/23/2025

トレーニング中に音楽を聴いた時のパフォーマンス変化


筋トレ中に音楽を聴いた時のパフォーマンス変化を調べた研究の知見をまとめます。


<筋トレ中の音楽の効果>

無音で行った場合に比べて、音楽を聴くとベンチプレスなどの限界レップ数が増えたという研究が多いです(1)(2)(7)。限界レップ数を増やす効果は、確実にありそうです。

挙上速度が上がったとする研究も多いです(1)(2)(3)。

1RMについては、音楽を聴きながらだと握力1RMがアップしたという研究があります(7)(8)。しかし、筋トレ種目については、ベンチプレスの1RMは音楽の有無で変わらなかったという研究しかありません(9)(10)。



<効果の高い音楽の種類>

自分が好きなジャンルで、テンポが速く(120BPM以上)、気分が高揚する雰囲気の音楽が最もパフォーマンス向上効果が高いです(4)(5)(6)。モチベーションの測定でも、好きな音楽を聴くとモチベーションが高くなっています(4)(6)。

テンポが遅くて落ち着いた雰囲気の音楽を聴くとパフォーマンスが低下した研究があります(8)。



<音楽を聴くタイミング>

セット中に音楽を聴き続けてパフォーマンスが向上した研究が多いです。

ウォームアップの時だけ聴いて、セット中は聴かなくてもパフォーマンスが向上した研究もあります(6)。



<音楽がパフォーマンスに影響を与えるメカニズム>

大きく分けて2つのメカニズムが考えられます。

・意識の覚醒、モチベーションのアップ。

・セット中のトレーニングの辛さから意識を逸らせる。


意識の覚醒とモチベーションアップは、ウォームアップのみ聴いて、セット中は聴かなくても効果があります。

セット中のトレーニングの辛さから意識を逸らせる効果については、セット中に聴かないと効果がないでしょう。70%1RM付近より低い強度でのトレーニングで、特にスクワットなど精神的に辛くて心肺に負荷がかかる種目で(5)、レップ数を増やす効果が出やすいと考えられます。ハードな筋肥大トレーニングを行うのに役立ちそうです。

強度が高くなってくると、(特にフリーウェイトは)集中力を高めて繊細に身体をコントロールすることが要求されるので、音楽で気が散ると逆効果になる可能性もあります。個人差があると思いますが、90%1RM以上といった高強度のセットでは、ウォームアップ中だけ聴いてモチベーションを高めるのが良いと思います。



<時間帯による効果の違い>

一般的に、短時間・高強度運動のパフォーマンスが最大化されるのは夕方以降なのですが、ウォームアップ中に音楽を聴くことによるパフォーマンスの上げ幅は、夕方に聴くよりも朝に聴くほうが高い(パフォーマンスの絶対値は夕方のほうが高い)という研究があります(11)(12)。

覚醒レベルが低い状態で聴くと、音楽の効果が出やすいと考えられます。朝早くにトレーニングをする場合は、音楽を聴くことでトレーニングの質を高められるでしょう。



<長期的な効果>

音楽を聴きながらトレーニングした場合の、長期的な適応を調べた研究は無いと思います。



<現実への応用>

覚醒効果をもたらす刺激だとカフェインがあります。カフェインは摂取直後のパフォーマンス向上(筋力、筋持久力)はエビデンスがありますが、長期的に筋肥大・筋力向上をブーストする効果があるという研究は出てきていないと思います。挙上速度がわずかに上がる、という研究はあります(13)。

音楽についても、長期の効果はあまり期待しないほうが良いと思いますが、音楽を聴くことでモチベーションが上がりやすい人は、音楽を聴いたほうが日々のトレーニングの質を上げていけます。質の高いトレーニングを積み重ねていけば、長期的に良い結果を得やすくなります。

また、研究に参加する被験者のほとんどは若い学生なので、エネルギーに満ち溢れていて、大抵の状況で質の高いトレーニングをこなせるでしょう。一方で、私のような疲れた中年の同志諸君は、仕事の後のトレーニングでなかなかやる気が出ないときがあると思います。その場合、気分を上げてトレーニングの質を高めるのに、音楽を聴くのは効果が高いかもしれません。

カフェインと違って副作用がないのは音楽の長所です。カフェインだと、睡眠の質を下げるリスクがあるので、夕方以降のトレーニングでは利用しにくいです



参考文献
(1)Impact of Augmented Feedback and Music During the Bench Press Resistance Exercise: Does Their Combination Compromise Mechanical Performance?
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11808692/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均22.1歳

音楽:エレクトロニックダンスミュージック BPMは120以上 スピーカーで約70dB 無音と比較

種目:ベンチプレス 70%1RM 4セット 20%速度低下でセット停止

結果:レップ数、挙上速度(最速、平均)は、音楽有りのほうが有意に上


(2)Effect of Pre-Exercise Music on Bench Press Power, Velocity, and Repetition Volume
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33722102/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均22.8歳

音楽:セット前に3分間音楽を聴く。セット中は聴かない。

種目:ベンチプレス パワー、挙上速度、限界レップ数@75%1RM

結果:パワー、挙上速度、限界レップ数(音楽有り約14レップ、なし約12レップ)、モチベーションいずれも音楽有りのほうが高かった。


(3)Effects of Respite Music on Repeated Upper-body Resistance Exercise Performance
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9987432/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均20.7歳

音楽:セット間インターバルの2分間だけ自分の選んだ好きな音楽を聴く(120BPM以上) ヘッドフォン 無音と比較

種目:ベンチプレス 75%1RM 3セット 限界レップ数

結果:レップ数は音楽ありと無音で有意差なし。
平均挙上速度は、2,3セットは音楽のほうが速かった。
モチベーションも、2,3セットは音楽のほうが高かった。
RPEは有意差なし。
論文では、レップ数で差が出なかったのは、1セット目が終わってすでに疲れた状態で聞いたから、と考察。
RPEで差が出なかったのは、セット中は聞いていなかったから、と考察。


(4)Effects of Preferred vs. Nonpreferred Music on Resistance Exercise Performance
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30531416/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均20.5歳

音楽:好みのジャンルの音楽(平均127BPM) と 好みでないジャンルの音楽(平均126BPM)

ちなみに、大部分の被験者が好みのジャンルの音楽としてラップ/ヒップホップを選び、好みでないジャンルの音楽としてカントリーミュージックを選んだ。

種目:ベンチプレス 75%1RM 限界レップ数

結果:限界レップ数は好みの音楽が平均10.58レップ、好みでない音楽が平均8.9レップ(有意差有り)
モチベーションと挙上速度についても、好みの音楽のほうが、好みでない音楽よりも高かった。


(5)The influence of music genre on explosive power, repetitions to failure and mood responses during resistance exercise
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1469029217306751

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均22歳

音楽:メタル(平均159BPM)、エレクトロニックダンス(平均128BPM)、自分で選んだ10曲(平均129BPM)
ヘッドフォン ウォームアップからセッション終わるまでずっと

種目:ベンチプレスとスクワット パワー@30%1RM 限界レップ数@60%、70%、80%1RM

結果:パワーについては、効果なし、もしくはわずかにネガティブな効果。
限界レップ数は、ベンチプレス@60%1RMと、スクワット@60%、70%1RMは音楽を聴いたほうが伸びた。どの音楽もそれなりに伸びたが、自分で選んだ音楽が他よりもわずかに伸びた。
ベンチプレス@70%1RM、80%1RM、スクワット@80%1RMは音楽を聴いても伸びなかった。


(6)Effects of Preferred and Non-Preferred Warm-Up Music on Resistance Exercise Performance
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7838790/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均21.6歳

音楽:ウォームアップセット(5レップ@40%1RM→3レップ@60%1RM)のみ音楽を聴く 本番セットでは聴かない
好みの音楽 好みでない音楽を比較
ヘッドフォン使用
ラップ/ヒップホップ、ロック、カントリーミュージック、ポップス、クラシック、オルタナティブの6ジャンルを被験者ごとに好みをランク付けしてもらう。最も好みのジャンルから被験者が好きな曲を選んで→好きな音楽、最も好みでないジャンルから研究者側がランダムに選んで→好みでない。
いずれもBPM120以上

種目:ベンチプレス 75%1RM 限界レップ数

結果:限界レップ数は好きな音楽のほうが多かった。
1セット目 好きな音楽13.5レップ 好きでない音楽11.1レップ
2セット目 好きな音楽9.4レップ 好きでない音楽8.0レップ(グラフと文章の記述が逆、グラフを正しいと判断した)

モチベーションも好きな音楽のほうが高い。
挙上速度とRPEは有意差なし。


(7)Preferred Music Genre Benefits During Strength Tests: Increased Maximal Strength and Strength-Endurance and Reduced Perceived Exertion
https://www.researchgate.net/publication/343554194_Preferred_Music_Genre_Benefits_During_Strength_Tests_Increased_Maximal_Strength_and_Strength-Endurance_and_Reduced_Perceived_Exertion

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均20.0歳

音楽:被験者の好きなジャンルの音楽、被験者の好きではないジャンルの音楽、無音
70dB、平均165±5BPM

種目:握力1RM(ハンドグリップ握力計)、ラットプルダウン限界レップ数@85%1RM

結果:握力1RMは好きなジャンルの音楽を聞いた時が、好きではないジャンルの音楽を聞いた時よりも10%くらい高かった。
ラットプルダウンの限界レップ数は、好きなジャンルの音楽が6.32、好きでないジャンルの音楽が4.48。
RPEは、好きなジャンルの音楽が、好きでないジャンルの音楽よりも低かった。
無音はいずれの項目も、好きでない音楽と同じくらいだった。


(8)Effects of pretest stimulative and
sedative music on grip strength. Perceptual and Motor Skills, 83(3 Pt 2), 1347–1352.
https://doi.org/10.2466/pms.1996.83.3f.1347

被験者:普段から運動をしている若い男女(学生)

音楽:ヘッドフォン使用 刺激的な音楽 落ち着いた音楽 ホワイトノイズ

刺激的な音楽はこの曲
BABY D - Let Me Be Your Fantasy(134BPM)
https://www.youtube.com/watch?v=f17b8m5fniU

落ち着いた音楽はこの曲
Louis Armstrong - We Have All The Time In The World(90BPM)
https://www.youtube.com/watch?v=RMxRDTfzgpU

種目:握力1RM(ハンドグリップ握力計)

結果:
男性 ホワイトノイズに比べて刺激的な音楽は握力+1.5%、落ち着いた音楽は-2.0%
女性 ホワイトノイズに比べて刺激的な音楽は握力+3.0%、落ち着いた音楽は-3.4%


(9)Does Motivational Music Influence Maximal Bench Press Strength and
https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1180389.pdf

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均23.92歳

音楽:自分で選んだモチベーションが上がる音楽をウォームアップから実験終了までイヤホンで(BPM135-140)、無音

種目:ベンチプレス1RM、ベンチプレス限界レップ数@60%1RM

結果:2回測定を行い、音楽グループは、無音と音楽有りを比較。無音グループは、無音と無音を比較。
音楽グループは、音楽を聴いても1RM有意差なし、限界レップ数は有意差ありでわずかに伸びた(+3.9%)
無音は、1RM、限界レップ数ともに有意差なし。



(10)Effects of Self-Selected Music on Maximal Bench Press Strength and Strength Endurance
https://www.researchgate.net/publication/279305465_Effects_of_Self-Selected_Music_on_Maximal_Bench_Press_Strength_and_Strength_Endurance

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均24.7歳

音楽:自分で選んだ音楽、無音

種目:ベンチプレス1RM、ベンチプレス限界レップ数@60%1RM

結果:
2回測定を行い、音楽グループは、無音と音楽有りを比較。無音グループは、無音と無音を比較。
音楽グループは、音楽を聴いても1RM有意差なし、限界レップ数は有意差ありでわずかに伸びた(+5.8%)
無音は、1RM、限界レップ数ともに有意差なし。



(11)Time-of-Day Effects on Short-Duration Maximal Exercise Performance
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7289891/



(12)Listening to neutral or self-selected motivational music during warm-up to improve short-term maximal performance in soccer players: Effect of time of day
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30817975/


(13)Pre-exercise Caffeine Intake Enhances Bench Press Strength Training Adaptations
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33575270/
カフェイン長期研究。1RM変化はカフェインなしと有意差なし(同じくらい向上)。挙上速度はカフェインのほうが向上する傾向。