4/17/2014

パワークリーンの基本ポイント

★予備知識
- 短い時間に大きな力を発揮する(つまりパワーを発揮する)能力を鍛える。
- デッドリフトの50-75%程度の重量でトレーニングする。
- 前腕が長いなどの理由でラックポジションが難しい場合はパワースナッチを行う。


★習得順序
1. ハングポジション
- まずはプレートを付けずにバーのみで行う。
- 足幅はデッドリフトと同じくらい。垂直跳びをする時と同じくらい。ジャンプをしてバーを肩に乗っけた(ラックした)後は、足幅が少し開いてスクワットくらいの足幅になる。
- 手幅はデッドリフトよりも両サイドで2-3インチ広めに握る。
- まずは普通の順手で握る(あとでフックグリップを習う)
- 目線はデッドリフトの時と同じく12-15フィート先の地面を見る。パワークリーンの動作中はこの地点を見続ける。
- 腕をやや回内させて、肘を伸ばして握る。腕や肩でバーを引っ張りあげないよう、肘を伸ばすのは特に意識すること。バーをぶら下げたこの状態がハングポジション。

2. ラックポジション
- とりあえず持ち上げ方は何でもいいので、バーを持ち上げて肘を前に出してバーを前部三角筋の上に乗せる。肘を高く上げ、上腕は水平近くになるようにする。前腕は上腕の真上ではなくて外側の隣にくる。これがラックポジション。
- ラックポジションでは指を引っ掛け、手でバーを支えない。バーは前部三角筋に乗せて支える。柔軟性の問題で苦しかったら、小指や薬指はバーから外れても良い。
- バーを下ろす時は、バーをなるべく胸に近い軌道で重力に任せて落とし、ハングポジションでキャッチする。リバースカールの動きで下ろすわけではない。

3. ジャンピングポジション
- 膝関節と股関節を曲げる。尻を後ろに突き出す感じで行う。バーが腿の中間あたりにくるまで曲げる。バーは腿に触れた状態、腕は垂直、肘は真っ直ぐ。これがジャンピングポジション。
- ジャンピングポジションから肘を伸ばしたままジャンプしてみる。何度かジャンプ。肘を伸ばしたまま全力でジャンプ。

4. クリーンの練習
- 肘を伸ばしたままのジャンプに十分に慣れたら、ラックポジションへの移行をやってみる。全力でジャンプし、膝関節と股関節を伸ばしきり、ジャンプの頂点に達したら、バーを軸に一気に腕を回転させ肘を前に突き出しラックポジションにする。どの過程でもバーを腕力で動かさないこと。
- ジャンプのあと、膝関節と股関節を少し曲げてバーの下に潜り込んでドン!と足を踏みつけると同時に肘を突き出すと、動作をクイックに行える。
- バーは上げるときも下げるときも、なるべく垂直で、自分の身体に近い軌道を通るようにする。決してアップライトローの動作で持ち上げない。バーを上げるのは、膝関節と股関節の伸展による力がメインである。
- 何度かこの動作を行い、動きを習得する。次に、デッドリフトのネガティブの動作と同じように、尻を後ろに突き出し、バーが脚から離れないようにしながらバーを膝のすぐ下まで下ろす。このポジションからゆっくりとバーを脚から離さないように引き上げていき、ジャンピングポジションに達したら、動作を止めず一気にジャンプしクリーンを行う。
- 膝下からの動作に慣れてきたら、バーを脛の中間あたり(プレートが付いたバーをデッドリフトする時の位置)まで下げて、また同じようにバーをゆっくりと引き上げジャンピングポジションに来たらクリーンを行う練習をする。
- バーが床から膝上までの間の動作はデッドリフトと同じ。慣れてくるにつれて加速の要素が入ってくるが、最初はゆっくりデッドリフトするイメージで。
- 次にバーにプレートを付ける。バーのみと同様の順序で練習していく。ジャンピングポジションからのクリーンを練習、膝下までバーを下げてからのクリーンを練習、そして地面にプレートを付けてそこからデッドリフトの動作で膝上まで上げてからクリーンを行う。これでパワークリーンの完成。地面に置いた時のバーベルの高さは、できれば20kgプレートを付けた時と同じ高さになるようにする。バンパープレート等便利なものがない場合は適当に工夫。

5. フックグリップ
- 動作に慣れてきたらフックグリップを覚える。持ち方は、親指の爪の上に中指を乗せて握る。通常は柔軟性の制約から、ラックポジションの時にはフックグリップを解く。

6. 動作のスピードアップ
- 最初のうちは、膝上までのデッドリフトフェーズではゆっくり正確な動作を意識する。ジャンピングポジションに達してからは一気にジャンプしてラックポジションでキャッチ。これに慣れてきたら、デッドリフトフェーズでバーの高さが上がっていくにつれて加速するようにする。

7. その他の細かいポイント
- ジャンプするときのシュラッグは反射的に起こるので意識しなくても良い。重量がかなり重くなったら意識的にシュラッグする。
- ジャンピングポジションに入る時に、伸びてた膝関節が再び少し曲がってそれからジャンプするが、脚からバーを離さないようにしていると自動的にこの動作になるので意識しなくても大丈夫。あまり意識しすぎると、動作がいったん止まってしまって、膝上までの加速がその後のジャンプに使えなくなってしまう。


★パワースナッチ
- パワークリーンよりも軽い重量で行う。
- 手幅はかなり広く握る。
- パワークリーンと同様に、腕で持ち上げず、バーはなるべく垂直に上下する。
- 動作中はずっとフックグリップ。
- ラックポジションは頭上にバーを挙上した状態。手のひらを上に突き出し、肘を伸ばしきり、僧帽筋を収縮させる。プレスのトップポジションを広い手幅で行う感じ。だがバーの上げ下げはプレス動作では行わないこと。パワークリーンと同様に膝関節と股関節の伸展でバーを挙げる。
- ジャンピングポジションでのバーの位置は、パワークリーンの時よりも高くなる。手幅が広い分、垂直方向の腕の長さが短くなるので。
- ジャンプしたら、バーの上方向への移動に伴い肘を曲げ、バーが頭上に来たら一気にラックポジションに。パワークリーンと同様に、膝関節と股関節を少し曲げバーの下に潜り込む。
- パワークリーンと同様の練習手順で動作を習得していく。
- スタートポジション(プレートが地面についた状態)は、垂直方向の腕の長さが短くなるため、上体が水平に近くなる。


参考: Starting Strength Basic Barbel Training 3rd Edition / Mark Rippetoe
(本の説明では図と写真が多く入っていてわかりやすいです。他にはスクワットデッドリフトベンチプレスプレスの解説があります。)


参考動画:
Mark Rippetoe: Coaching the Powerclean
https://www.youtube.com/watch?v=6tXcS0Xp1aE

Mark Rippetoe Teaching Power Snatch from Starting Strength
https://www.youtube.com/watch?v=O327jxFqzQM



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