2/19/2023

トレーニングプログラムのレビュー:Rip and Tear


Boostcampアプリに登録されている、バーベルトレーニングが軸のトレーニングプログラムをレビューしていきます。アプリでカテゴリの設定をpowerlifting、powerbuildingにして、出てくるプログラムをレビューしています。

Boostcampについては以下の記事を参考にしてください。

関連記事:トレーニングプログラムのアプリの紹介(boostcamp)

アプリに登録されているプログラムのレビューは、以下の記事にまとめてあります。

関連記事:トレーニングプログラムのレビューまとめ

アプリでプログラムがきちんと動くのかは試していないです。○レップできたら重量アップなどのオートレギュレーション系は、実装が難しそうな感じがしますが・・・

初心者、初級者の用語の使い分けは、始めたてが初心者、少しトレーニングに慣れてきたら初級者と考えています。アプリでは、beginnerとnoviceがあるので、beginnerを初心者、noviceを初級者にしています。

今回レビューするプログラムは、Rip and Tearです。




Rip and Tear


プログラムの注意書き
https://docs.google.com/document/d/1ZGL6_I8EAcXR7TOGwIG5GZmNMyuSbDmcuIjx1KKEA3E/mobilebasic

作成者がredditにこのプログラムを公開したときの投稿
https://www.reddit.com/r/weightroom/comments/s8rf8d/rip_and_tear_program_review_and_discussion_of/

プログラムのスプレッドシート
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1C4yiw7uNw1LSPlvWMDNnIlHcVQhXMzV4/edit#gid=136482662



<対象>

上級者


<プログラムタイプ>

レイヤー型ブロックピリオダイゼーション


<特徴>

高強度、高頻度でBIG3の1RMを伸ばす上級者向けのプログラムです。週当たりスクワット3回、ベンチプレス3回、デッドリフト2回の高頻度で、強度を70%付近から90%付近へ上げていきます。期間は12週間で、4週間のブロック×3の構成です。各ブロックはリニア型で、直線的に強度を上げていきます。


プログラムのイメージ図。



プログラムを表にしたもの。表記は、「レップ数×セット数@%1RM」です。AMRAPは限界セットです。



以下は、プログラム実施時の注意点です。

[1RM]
1RMは、今現在、問題なく出来る1RM。過去の最高記録ではなくて、今ジムにいって持ち上げられる1RM。判断に悩む場合は、保守的に(低めに)見積もります。

プログラムはBIG3のみ記述されています。自分が何をやればいいのか分かっている上級者向けのプログラムなので、補助種目は自分で必要だと思うものをやります。BIG3のトレーニングの後に補助種目をやるのも、BIG3が無い日にやるのも自由です。


[メニュー構成]
サンプルとして出ているのは

DAY1:スクワット、ベンチプレス、デッドリフト
DAY2:休息 or 筋肥大トレーニング
DAY3:スクワット、ベンチプレス、下半身の筋肥大トレーニング
DAY4:休息 or 筋肥大トレーニング
DAY5:デッドリフト、ベンチプレス、上半身の筋肥大トレーニング
DAY6:スクワット、下半身の筋肥大トレーニング
DAY7:休息 or 筋肥大トレーニング

少なくとも1日は、BIG3の無い日に上半身の筋肥大トレーニングをやるのが推奨されています。


[誰向けか]
上級者で、高強度・低レップのBIG3トレーニングにそれほどチューニングされていない人に向いています。土台が大きくて、ピークの伸びしろがある状態の人です。高強度・低レップでBIG3をトレーニングするので、フォームが安定していることが必須です。


[補助種目の選び方]
基本は、メインリフトであまり使われない部位を補います。例えば、ロウバーで股関節メインのスクワットなら大腿四頭筋を鍛えるとか。

序盤の週が余裕があるからといってどんどん補助種目を増やさないように注意します。序盤は楽に、徐々にきつくなっていくイメージで疲労管理を行います。

高重量のコンパウンド種目の補助種目は週に1回まで。アイソレート種目中心に補助種目を行い、BIG3に体力を使えるようにします。


[スクワットとデッドリフトがあまりにキツイ場合]
高重量を扱う人だと、スクワットとデッドリフトがきつすぎることがあります。その場合は、DAY1のデッドリフトと、DAY6のスクワットを無くします。そうでない場合は無くさない。


[AMRAPのセット]
最終セットがAMRAPになっている日が多いですが、無理に全部をAMRAPにしなくても大丈夫です。疲労がきついならレップ数を減らして追い込み度を下げるのもOKだし、余裕があるなら限界までいくのもOKです。


[怪我リスク]
高強度のプログラムなので怪我リスクがそれなりにあります。もし怪我をしたり違和感があったりした場合は、症状を悪化させない種目に切り替えるか、痛みの出る種目を止めるかします。


[いつこのプログラムを使うか]
一度だけ使うのもいいし、何度も使うのも良い。もし何度も使うなら、1年に1回のペースで使うのが良いでしょう。筋肉量と総合的な筋力を高めてから、こういった高強度・低レップのトレーニングをすると1RMを伸ばしやすいです。



<コメント>

週当たりスクワット3回、ベンチプレス3回、デッドリフト2回、強度を70%付近から90%付近にあげていく高頻度・高強度のプログラムです。追い込み度は全般的に抑えめですが、AMRAPセットが多いです。リニアに強度を上げていく4週のブロックを3つで、各ブロックの1週目以外は、毎週BIG3それぞれ1回ずつAMRAPセットがあります。


一見すると、高頻度、高強度、AMRAPの多用と、異端寄りのプログラムで、プログラム表の通りにやると、相当キツイと思います。ただ、トータルのボリュームと、平均の追い込み度は抑えてあり、(スモロフのような)無茶な設定のプログラムではないです。また、AMRAPは余裕があるときだけやる、キツイならDAY1のデッドリフトとDAY6のスクワットを無くすというオプションがあり、そうすると、良い意味で普通のストレングス向上プログラムに近くなります。DAY1のデッドリフトとDAY6のスクワットを無くすと、週当たりスクワット2回、ベンチプレス3回、デッドリフト1回です。

AMRAPセット以外のセットは追い込み度を抑えていて、高強度でのスキルトレーニングが出来るようになっています。高強度でストレートセットを組むときは、一般的にはその強度のRMの半分以下のレップ数にします。例えば、85%1RMだとだいたい6RMなので、3レップ×3@85%や、2レップ×5@85%みたいな組み方です。このプログラムは大部分のセットがRMの半分以下のレップ数に設定しているので、至ってオーソドックスです。

4,8,12週目のAMRAP×1は強度設定は自由ですが、プログラムの流れからすると前週の強度+2.5%~+5.0%が目安だと思います。

各ブロックの最初の週(1,5,9週目)が軽めになっていますが、デロードは設定されていないです。疲労面で続けるのがきつい場合は、補助種目で調整するか、4週目と8週目の後に数日間~1週間のデロードを入れると良いと思います。

筋肥大フェーズのトレーニングで80%1RMくらいの重量までは扱っていて、70%台後半の重さに慣れている人は、最初のブロックをカットして、5週から12週目までの計8週間にしてもいいかもしれません。


全体的に見て、よく考えられているプログラムだと思います。変数設定が良く出来ているので、中級者も実施可能なマイルドなプログラムに調整してみました。

- DAY1のデッドリフトと、DAY6のスクワットを無くした。
- 1-4週目のブロックを無くして計8週間にした。
- 各ブロックの最終週以外はAMRAPセットを無くし、代わりにメインセットのセット数を1増やした。

6 件のコメント:

  1. 先日リクエストさせていただいたものです!取り上げていただきありがとうございます!

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  2. 参考になれば幸いです!

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  3. Day 1のデッドリフトをDay 2に移すことは可能でしょうか?
    スクワットはロウバーでデッドリフトはナローです。

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  4. コメントありがとうございます!

    本来は休息もしくは筋肥大トレーニングのDay2に、Day1のデッドリフトを分散させるってことですよね。

    Day1スクワット→Day2デッドリフト→Day3スクワットと3日連続で体幹と下半身に負荷をかけるのと、Day1にスクワットとベンチプレスとデッドリフトをまとめてやるのと、どっちが大変か・・・という選択ですね。

    可能かどうかで言えばDay2にデッドリフトも可能だと思いますが、Day1にデッドリフトもまとめてやって、Day2はバーベルに触らないほうが回復面で楽かなと思います。

    Day1にスクワット、ベンチプレス、デッドリフトをまとめてやるのもキツイでしょうけど、Day1は強度と追い込み度を抑えてあるため、なんとかなるのかなと。

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    1. 以前、Rip and Tear の元になったpH3 プログラムを行った時にDay1がかなりキツく翌日に疲労感が残ってしまいジムの滞在時間も長かったのですが頻度的には効果的だったので上手くカスタマイズできないかと思っていました。
      こういった情報は日本語で発信している人があまりいないのでとても興味深いです。
      書籍も複数回読ませていただきました。

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    2. Day1のデッドリフトがどうしてもキツイ場合は、オプションにあるように無くすか、レップ数とセット数はそのままで強度を5-10%下げるかですね。Day6のスクワットと同じ強度にするのも良いかもしれません。Day1はスキル練習の面が強いので、少し強度を下げてもそれほど問題はないと思います。

      プログラム関連の日本語情報は少ないですね~。情報が少なくて私自身が困ったのが記事を書いたきっかけです。
      本も繰り返し読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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