5/30/2014

オーバーカロリー時のグルコース・フルクトース摂取の影響






1日の必要カロリーの25%相当のグルコースもしくはフルクトースを10週間にわたって摂取した場合の、体組成および脂質代謝異常やインスリン感受性に関する各指標への影響を調べた研究。結論を先に書いておくと、オーバーカロリーの状態でフルクトースを大量に摂取すると、腹部内臓脂肪が増加しやすく、脂質代謝異常のリスクが高まり、耐糖能が低下し、インスリン感受性が低下する。


★基礎知識
グルコース: ブドウ糖
フルクトース: 果糖
スクロース: グルコース分子1つとフルクトース分子1つが結合したもの。いわゆる普通の砂糖。

普通の食べ物で甘いものにはだいたいフルクトースが含まれている(麦芽糖や人工甘味料を除く)。


★実験条件
<被験者>
健康状況: 健康(肥満で中性脂肪などの各指標は良くはないけど現状では特に病気無し)
性別: 男性・女性
人数: 32名
年齢: 45-72歳
BMI: 25-35
運動: 被験者選びの段階で週の運動時間が3.5時間以上の人は除外。実験期間中も運動指導はなし。

<期間>
3段階の実験フェーズで構成されている。
a) 研究センター内での2週間。維持カロリーの食事。マクロ栄養素の割合は、タンパク質15%、脂質30%、炭水化物55%。炭水化物は複合炭水化物。
b) 研究センター外での8週間。自由な食事に加えて、1日の必要カロリーの25%相当のグルコースもしくはフルクトースのドリンクを摂取。糖ドリンクは3度の食事の時にそれぞれ一緒に摂取。これ以外は糖分の含まれる飲み物を飲まないよう指導。
c) 研究センター内での2週間。1日の必要カロリーの25%相当のグルコースもしくはフルクトースのドリンクを摂取しつつ、トータルで維持カロリーになるように食事管理。マクロ栄養素の割合は、タンパク質15%、脂質30%、炭水化物55%。炭水化物は複合炭水化物30%と、グルコースもしくはフルクトース25%。


★結果
- 研究センター外の8週間の体重・体脂肪量・ウェストサイズの増加は、グルコース・フルクトース群とも同じくらい。(Table 3 参照)
- フルクトース群は、腹部の体脂肪、特に内臓脂肪の増加が多かった。グルコース群は腹部内臓脂肪はほとんど増えなかった。(Figure 1 と Table 3 を参照 / SAT=皮下脂肪 VAT=内臓脂肪)
- 男性は腹部内臓脂肪の増加が女性よりも顕著だった。(Table S3 の最下段参照)
- 血中の脂質とリポタンパクの各指標は、全般的にフルクトース群の方が大幅に増加。(Table 4 参照)
- 食後のDNL(糖質→脂質)変換はフルクトース群で大幅に増加。(Table 4 参照)
- 耐糖能は、グルコース群では変わらなかったが、フルクトース群では低下。(Table 5 参照)
- インスリン感受性は、グルコース群では男性が上昇、女性は低下、フルクトース群では男女とも低下し女性の方が低下率が大きい。(Table 5 参照)


★個人的な感想
この実験とボディメイクでの意図的な増量では、運動の有無と、実験の被験者がすでにかなりの肥満であるという点が異なる。まあ増量時は甘いものを大量に食べない方が、比較的健康的に増量できるだろう。摂取する炭水化物は、米やパスタなど複合炭水化物を主体にするのが良いだろう。デザートやおやつに適度に甘いものを食べるのはさして影響ないと思う。

ちなみにこの研究で摂取したフルクトースと同レベルのフルクトースを摂取しようとしたら、成人男性(1日の必要摂取カロリー2400kcalと想定)で毎日2.5リットルのコーラを飲む必要がある。砂糖なら300グラム。ただ、フルクトースに加えてほぼ同量のグルコースも摂取することになるのでこの実験デザインと等しくはならない。


参考:
Consuming fructose-sweetened, not glucose-sweetened, beverages increases visceral adiposity and lipids and decreases insulin sensitivity in overweight/obese humans
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19381015

関連記事:
維持カロリーでの砂糖・果糖ぶどう糖液糖の摂取の影響

砂糖と糖尿病

果糖ぶどう糖液糖と肥満

5/28/2014

維持カロリーでの砂糖・果糖ぶどう糖液糖の摂取の影響


 



スクロース(≒砂糖)やHFCS(≒果糖ぶどう糖液糖)の健康への影響を調べた既存の研究は、疫学調査や、マウスに異常な量を与えるといった研究が多い。今回の研究は、肥満の人が一般的に摂取している量の糖を摂取した場合の身体への影響を調べた初めての前向き研究(prospective study)とのこと。2014年発表の研究。

スクロースとHFCSの違いは、グルコース分子とフルクトース分子が結合しているか否かと、フルクトースが含まれる割合。一般的に使用されているHFCSはフルクトースの割合が55%か42%なので、フルクトース含有率はスクロースとほぼ同じ。


★実験条件
<被験者>
健康状況: 健康な肥満
性別: 男性・女性
人種: 白人68%、アフリカ系9%、ヒスパニック14%、アジア系6%、その他3%
人数: 65名
年齢: 25-60歳
BMI: 27-35

<期間>
10週間

<一日の食事>
摂取カロリー: 維持カロリー
総摂取カロリーに占める糖由来のカロリーの割合: 10%HFCS / 20%HFCS / 10%スクロース / 20%スクロース
食事管理方法:低脂肪乳に糖を混ぜたものを被験者に配給。トータルで維持カロリーになるよう食事指導。食事は外で各自食べる。加糖された低脂肪乳を規定量飲まなかったりすると実験から脱落。開始時86名で最終的に65名が残った。


★結果
血圧や中性脂肪レベルは全てのグループで変化無し。

体重は全体では10週間で1kg増えたが、テクニカルには維持されていると言っていい状態。自己申告ベースでトータルの摂取カロリーが増えたことが原因かも(外で各自食事しているので正確な摂取カロリーは把握できない)。ウェストサイズには有意な差は無し。

スクロース20%群でHDL低下が見られた。脂質の摂取量が減って炭水化物の摂取量が増えたことが要因かも。

まとめると、一日の摂取カロリーの10%および20%相当のスクロースと砂糖(食事でも糖を摂取しているのでトータルの糖の摂取量はもっと多い。Table 3を参照)を10週間摂取しても、総摂取カロリーが維持カロリー程度ならば、体重や肥満状況やウェストサイズや中性脂肪レベルやLDLや血圧には悪影響が現れないという結果になった。


★感想
一通り読んだけど、まともな研究だと思った。ただ、資金を出しているのがコーン精製に関わる企業の協会だ。当然、HFCSの利害関係者。うーん。他の研究からも、トータルの摂取カロリーが維持カロリーで、常識的な範囲内での摂取量なら、砂糖およびHFCSの摂取は肥満や循環器疾患などの大きなリスクにならないというのは正しいと思うが。


参考:
The Effect of Normally Consumed Amounts of Sucrose or High Fructose Corn Syrup on Lipid Profiles, Body Composition and Related Parameters in Overweight/Obese Subjects
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3967182/

関連記事:
砂糖と糖尿病

果糖ぶどう糖液糖と肥満

5/26/2014

砂糖と糖尿病



高スクロースと低スクロースの食事をした場合の、健康への影響を調べた研究。糖尿病と循環器疾患に関わる各指標に差が出るのかどうか実験している。砂糖を多く摂取すると2型糖尿病と循環器疾患の発症リスクが高まるのかを調べるのが目的。


★実験条件
<被験者>
健康状態: 健康
性別: 男性
人種: 西欧白人
人数: 13名
年齢: 33歳±3
BMI: 26.6±0.9

<期間>
6週間

<一日の食事>
摂取カロリー: 維持カロリー
マクロ栄養素:タンパク質10-15% / 脂質30-35% / 炭水化物~55%
その他: 食物繊維18g
スクロース: 低スクロース群が10%、高スクロース群が25%のカロリーをスクロースで摂取。
食事管理方法: 条件に沿う量を計り被験者に配給。食事は外で各自食べる。週二回の体重測定で連続して増加もしくは減少した場合はカロリー調整を行う


★結果
高スクロース群と低スクロース群では、インスリン感受性や血圧や空腹時血糖値や中性脂肪レベルなどに違いは出なかった。総コレステロールとLDLコレステロールは、高スクロース群の方がやや高くなった(レベル自体は正常の範囲内)。これについては、両群でトータルの脂質の摂取量は同じだが、高スクロース群は低スクロース群に比べて、飽和脂肪酸の摂取量が多くて多価不飽和脂肪酸の摂取量が少なく、これがLDLコレステロールの上昇に寄与したのではないかと論文著者は推測している。


★結論
健康な若い白人男性においては、高スクロースの食事は糖尿病と循環器疾患の大きなリスクファクターにはならないだろう。カロリーオーバーと運動不足が大きなリスクファクターだろう。


★個人的感想
2型糖尿病のなりやすさは個人差があるけど、人種によっても差があって、白人は2型糖尿病の耐性が高いという話が一般的。農業(高炭水化物食)の歴史の長さが遺伝子プールに影響してウンタラカンタラ。なんだけど、このへんの話はイデオロギー的な論争(糖質制限主義者など)や糖尿病関連ビジネスに群がる団体・研究者が入り乱れていて、調べようとしても何が科学的に正しいのかよくわからない。まあインスリン関連の体内システムの悪化が2型糖尿病の要因になるのなら、今回の研究ではインスリン関連の指標に差が出ていないので、スクロースの摂取量の増加は人種間の耐性の差に関係なく2型糖尿病の大きなリスクファクターにはならないということになる。リスクがゼロと断言できないのは、疫学調査では砂糖の摂取量と糖尿病の発症が相関する傾向がある、今回の研究は期間が6週間程度で長期間の影響がわからない、といった理由。

カロリーオーバーと運動不足を避けるのが最も重要だというのは間違いなさそうなので、それを守っていれば炭水化物の質にそれほど神経質にならなくてもいいかと個人的には思ってる。もちろん砂糖の摂り過ぎは、カロリーや微量栄養素の観点から健康には良くないだろう。砂糖に限らず精製度の高い食品の問題点は、GI値がどうのではなくて、カロリーオーバーしやすく微量栄養素が乏しいこと。


参考:
Effect of Eucaloric High- and Low-Sucrose Diets With Identical Macronutrient Profile on Insulin Resistance and Vascular Risk A Randomized Controlled Trial
http://diabetes.diabetesjournals.org/content/55/12/3566.long

5/23/2014

運動とミルクの摂取の効果


運動とミルクの摂取に関する研究はあまり多くは無いが、これまでの研究によるとミルクはレジスタンストレーニング後の筋合成にも、持久運動後の回復にも向いているドリンクだと思われる。


★低脂肪乳の成分の特徴(低脂肪乳を使った研究が多いので)
・タンパク質: カゼインとホエイで、比率は4:1~3:1。カゼインは消化吸収が遅く、長時間に渡って身体にアミノ酸を供給できる。ホエイは消化吸収が速く、BCAA含有率が約25%と高い。
・炭水化物: 乳糖。乳糖不耐症の人の摂取には向いていない。
・電解質: 豊富に含まれる。運動で失われた電解質の補給に有効。


★レジスタンストレーニング
レジスタンストレーニング後にミルクを摂取した場合の効果についての研究をいくつか。

・マクロ栄養素のバランスを等しくした無脂肪乳とソイプロテインドリンクをレジスタンストレーニング後に摂取し、その後数時間の筋合成を調べた研究では、無脂肪乳の方がより多く筋合成されたという結果に。

・期間10週間の研究。低脂肪チョコレートミルクと、市販のスポーツドリンク(カーボのみ含有)。それぞれ等カロリーをレジスタンストレーニング後に摂取。10週間後の筋力や体組成は同じくらいだった。ただ、低脂肪チョコレートミルクの方が除脂肪軟部組織(腱、靭帯、筋膜、皮膚、血管、横紋筋など)が増加した。

・期間12週間の研究。マクロ栄養素のバランスを等しくした無脂肪乳とソイプロテインドリンク。12週間後の測定では、無脂肪乳グループの方が筋量増加、脂肪減少という結果になった。脂肪減少はカルシウムの摂取が関係しているのではないかと推測される。


★持久運動
・持久運動における栄養摂取のタイミングとその目的
- 運動前: 運動に必要なエネルギーを補充する。ただし運動の邪魔にはならないように
- 運動中: エネルギーを補充し、体内のエネルギー枯渇を遅らせる。
- 運動後: 回復及び運動への身体の適応反応をサポート(ミトコンドリア増加などの持久能力の向上にも材料が必要)

・ミルクはやや腹が膨れる感覚があるが、運動能力には影響は無さそう。

・運動中に摂取したケース。運動持続が限界に達するまでの時間は、スポーツドリンク的な飲料(電解質+カーボ)、低脂肪乳、水では、この順にタイムが伸びる傾向はあったが統計的に有意な差は出なかった。

・運動後の回復は主に、グリコーゲン再合成と身体の水分回復。
- グリコーゲン再合成を直接調べた研究は無いが、激しい運動→休憩&ドリンク摂取→再び激しい運動をしてそのパフォーマンスを測定した研究では、チョコレートミルクは市販のスポーツドリンクと同程度の効果を発揮した。回復効果は高いと思われる。(この研究ではカーボドリンクの効果が劣ってたから、電解質と水分回復の影響かもしれない)
- 暑い環境で運動して脱水気味になった後に各種ドリンクを摂取した研究では、低脂肪乳の方がスポーツドリンクよりも身体の水分回復が早かった。電解質が多く含まれるのと、他のドリンクに比べて吸収が遅めなのが要因と思われる。


★結論
ミルクは運動後に飲むのに適したドリンクだと言えるだろう。ビタミンなどの微量栄養素の面ではスポーツドリンクよりも優れている。コンビニでも安く買える。カロリーが気になる場合は低脂肪乳を選択。最近ではスポーツ用と称した牛乳も売られている(明治のスポーツミルクという商品)。


ここまで書いておいてなんだけど・・・個人的にはミルクはほとんど飲まない。匂いが苦手なのと、レジスタンストレーニング後の栄養摂取目的だと量が多くてお腹がちゃぽちゃぽするので。ホエイプロテインパウダーをドロドロに溶いたものをカッテージチーズ(ほぼカゼイン)にかけたものをよく摂取する。


参考:
Milk: the new sports drink? A Review
http://www.jissn.com/content/5/1/15

関連記事: タンパク質の消化吸収速度の違いによる筋肥大への影響
http://changebodycomposition.blogspot.jp/2014/05/blog-post_15.html

5/15/2014

タンパク質の消化吸収速度の違いによる筋肥大への影響




タンパク質(プロテイン)の種類によって消化吸収の速度に差が出るというのは広く知られるようになってきていて、サプリメントメーカーもホエイとカゼインを混ぜたファストとスローの両面アプローチを謳う製品を出したりしている。(余談だけど、日本のメーカーのカゼインプロテインパウダーは多くがカゼイネートを使っている。カゼインプロテインの消化吸収の遅さを示す研究で使われるのはミセラーカゼイン。カゼイネートの消化吸収速度はどのくらいだろう? あとで調べた→カゼイネートとミセラーカゼインの消化吸収速度

この研究は、タンパク質の消化吸収速度の違いによって、体内でのタンパク質の利用のされかたがどう変わってくるかを調べている。

Hydrolyzed dietary casein as compared with the intact protein reduces postprandial peripheral, but not whole-body, uptake of nitrogen in humans
http://ajcn.nutrition.org/content/90/4/1011.full

比較したタンパク質は以下の2種類。

・IC(intact casein): 未加工カゼインプロテイン(ミセラーカゼイン)
・HC(hydrolyzed casein): 加水分解されたカゼインプロテイン。消化吸収が速い。

摂取の仕方は、カゼインプロテイン(IC/HC)+カーボ(マルトデキストリンとスクロース)+大豆油

上の一つ目の画像は摂取後の血清アミノ酸濃度の変化。加水分解されたカゼインプロテインは消化吸収が速いのでアミノ酸濃度がすぐ上がってすぐ下がる。

それで、今回の目玉が2つめの画像のデータ(TABLE 3)。

- Splanchnic retention : 内臓部分に回されるタンパク質量。
- Peripheral uptake : 周縁部分・・・つまり主に骨格筋に摂取されるタンパク質量。

未加工カゼインプロテインのほうが Peripheral uptake が多い。従って、骨格筋にタンパク質を送り込みたいなら、消化吸収が遅いタンパク質を摂取した方が有利。

この研究は食事直後の身体変化を調べたもの。それではレジスタンストレーニングをしながら長期間に渡って違う種類のタンパク質を摂取した場合は筋肥大に差が出るのだろうか。

これについては、ミルク(ホエイ2割+カゼイン8割)とソイプロテイン(消化吸収が速い)の摂取を比較した研究があって、ミルクの方がより筋肥大したという結果になっている。

Consumption of fat-free fluid milk after resistance exercise promotes greater lean mass accretion than does consumption of soy or carbohydrate in young, novice, male weightlifters1,2,3
http://ajcn.nutrition.org/content/86/2/373.long


細かいことを言うと、ミルクとソイプロテインではミルクの方がアミノ酸組成が骨格筋の合成に有利な気がするので、吸収速度のみがファクターになっていないと思うけど、タンパク質摂取量とカロリーは等しくしてあるし、筋肥大に結構差が出てるから吸収速度の影響が大きいのだろう。

レジスタンストレーニング後のミルクとソイの摂取による筋合成反応の違いの研究(acute研究)もあって、アミノ酸供給が続いていた方が筋合成に有利だという結果になっている。

Consumption of fluid skim milk promotes greater muscle protein accretion after resistance exercise than does consumption of an isonitrogenous and isoenergetic soy-protein beverage1,2,3
http://ajcn.nutrition.org/content/85/4/1031.full


以上よりタンパク質の消化吸収速度の違いによる筋肥大への影響をまとめると、

・摂取量が同じなら、消化吸収速度が遅い方が骨格筋により多くのアミノ酸を届けられる。
・摂取量が同じなら、消化吸収速度が遅い方がより長い時間アミノ酸を身体に供給でき、筋合成を長く続けることができる。


消化吸収が速いタンパク質(ホエイやソイプロテインパウダー)のみを摂取する場合は、3時間おきくらいに多めに摂取するといった方法にすれば、レジスタンストレーニングによる筋肥大効果を十分に享受することが出来るだろう。食事回数を増やしたくない人は、固形物の食事かカゼインプロテインパウダーを摂取すると良い。

あと、骨格筋へのデリバリー効率を考えると、タンパク質単価(g/円)だけでは高たんぱく質食品やプロテインパウダーのコスパは決まらないなあと思った。


関連記事: タンパク質について

5/09/2014

[ボディメイク記録] 増量中間記録


前回の記録 3月14日
今回の記録 5月9日


★現状記録
筋グリコーゲンレベルは高め。直前のトレ履歴は、前日に全身。


★身体計測
身長:180cm
体重:78.0kg(+2.5kg)
バスト:101cm(+1.0cm)
ウェスト:81cm(+2.0cm)
ヒップ:94cm(+2.0cm)
右上腕:31cm(+1.0cm)
左上腕:30cm(+1.0cm)
手首径:16cm
右大腿:57.5cm(+1.5cm)
左大腿:56.5cm(+1.5cm)
右カーフ:36cm(+1.0cm)
左カーフ:35cm(+1.0cm)
足首径:19cm


★主な種目のトレーニング重量
懸垂ワイド順手・・・7.5kg加重×7reps
ベンチプレス・・・70kg×6reps
ダンベルショルダープレス・・・22kg×13reps
デッドリフト・・・120kg×3reps
スクワット(スミスマシン)・・・80kg×6reps
レッグプレス・・・140kg×9reps
レッグカール・・・65kg×10reps


★トレーニング種目明細
セット数: メイン種目は5レップのフェーズでは3セット、それ以上のレップ数のフェーズでは2セット。補助種目は1-2セット。

メイン種目
- スクワット
- デッドリフト
- ベンチプレス
- レッグプレス

補助種目1(毎回やる)
- インクラインダンベルプレス
- インクラインベンチにうつ伏せになってラテラルレイズ
- インクラインベンチにうつ伏せになって上背部を使ってのダンベルローイング
- 懸垂(ワイド順手・ナローパラレル)
- ローイングマシン

補助種目2(毎回はやらない)
- レッグカール
- カーフレイズ
- プレス
- ダンベルショルダープレス
- サイドレイズ
- キューバンプレス
- 腹筋マシン(これ
- 台に肘を置いて身体を浮かせてのレッグレイズ(こんな感じの
- インクラインベンチに仰向けになってのアームカール。


★増量プロセス
最初は上半身と下半身でトレーニング日を分けていたけど、3週目くらいからHSTを取り入れて全身を週3回トレーニングするようにした。

カロリー摂取の振り分け目安は以下の通り。あくまで目安なので厳密には出来ていない。
1. トレーニング前の直近の食事は炭水化物多め。
2. トレーニング後24時間は500-1000kcalくらいオーバーカロリー。
3. 24時間を過ぎたら炭水化物カット。次のトレーニング日が来たら1.に戻る。

従って、1週間のサイクルはこんな感じ。
1日目:全身トレ/500-1000kcakオーバー
2日目:休み/維持~アンダーカロリー
3日目:全身トレ/500-1000kcakオーバー
4日目:休み/維持~アンダーカロリー
5日目:全身トレ/500-1000kcakオーバー
6日目:休み/維持~アンダーカロリー
7日目:休み/維持~アンダーカロリー


★食事内容
- タンパク質の摂取量は2-3g/体重1kg/日。動物性食品とプロテインパウダーのみ摂取量にカウント。植物性タンパク質はアミノ酸組成と人体への吸収率が低いのでカウントしていない。
- 脂質の摂取量はあまり把握していないけど、1g/体重1kg/日くらいだと思う。卵や魚や乳製品など高たんぱく質食品に付随する脂質を主に摂取した。揚げ物やドレッシングなどの付加的な脂質はあまり摂取していない。
- トータルカロリーの調整は炭水化物で行った。米、パスタ、ミューズリーが主体。甘いものも適当に。
- 健康のため、野菜、果物、豆も摂取。


★雑感
- 全体的にトレーニング重量が伸びているので順調に増量できていると思う。
- 写真だと見た目はあまり変わった感じがしない。各部位のサイズは太くなっている。
- スクワットを始めた。ラックが無いのでスミスマシンでやっている。
- スクワットメインの日は週に2回で、そのうち1回はデッドリフト2セットをやる。スクワットやらない日はデッドリフト4セットくらいやって、レッグプレスをやる。スクワットがスミスマシンなので、フリーウェイトであるデッドリフトのトレーニングを増やしたいと思ってこの配分にした。下背部の疲労マネジメントも考慮した。
- 下背部温存のため、ベントローは止めてマシンでのローイングにした。
- 腹筋はスクワットとデッドリフトで結構使っているので、腹筋単独のトレーニングは週に1セット程度。寝転がっての腹筋運動(シットアップ・トランクカールなど)は私はすぐ腰が痛くなるのでやらない。体幹の筋肉は背骨を安定させるためのものであって、背骨をグニグニ動かすためのものではないので、アイソメトリック以外の腹筋運動はあまりやらない方が良いと思う(参考:Rippetoeのコラム)。


★怪我
- デッドリフトで腰を痛めたけど10日間くらいで再開出来たのであまり影響はなかった。それ以降はデッドリフトは限界2歩手前くらいのレップで止めるようにした。特に腰に負担を感じることなく背中ハムケツの筋肉に負荷をかけられている。
- 左肘に違和感が出るようになった。アームカールを省けるかなと思って上腕二頭筋もフルに動員する動作で逆手懸垂をやるようにしたのが原因だと思う。とりあえず逆手懸垂は止めた。
- ベンチプレスでも肘に負担がかかっている感じがするので気をつける。肩にも違和感が出る時があるし、ベンチプレスは低レップは避け、セット数を抑えた方が良いかもしれない。私の身体は骨が細長くて関節が小さいので、怪我しやすいと思う。


★今後の予定
HSTが1サイクル終わったので、10日間くらい完全休養する。その後、多分もう1サイクルやる。トータルのカロリーは少し減らすかも。

5/03/2014

筋肥大トレーニングプログラムにおけるトレードオフ




筋肥大を主目的とした3種類のトレーニングプログラムを比較する。
1. HST
2. Doggcrap
3. Lyle McDonald のアプローチ

各トレーニングプログラムは、以下の3つの要素のうち1つの要素にフォーカスし、残り2つはある程度妥協せざるを得ない。
- 頻度(frequency)
- 強度(intensity)
- ボリューム(volume)

各トレーニングプログラムの内容を簡単に見ていく。

1. HST
主に遺伝子の発現による筋肥大を狙う。全身を週に3回という高い頻度でトレーニングを行うが、最大強度で行うのは2週間に1回で、トレーニングボリュームも少ない。

2. Doggcrapp
強度にフォーカスし、漸進的な過負荷による筋肥大を狙う。非常に高い強度のトレーニングを行うが、トレーニング頻度は5日に1回程度で、レストポーズを用いてボリュームも少なくする。多くの人々はこのトレーニング方法では燃え尽きてしまうが、やり遂げた人は非常に良い結果が得られる。

3. Lyle McDonald のアプローチ
各部位を週に2回トレーニング。強度はDoggcrappに比べてやや低いが、HSTよりは高い。各セットを限界の1レップ手前で止めることを推奨。トータルのボリュームを多くする。


どのタイプのトレーニングプログラムにするかは、個人の好みやトレーニング環境や疲労回復速度で決めれば良い。


ボリュームと強度による疲労度合いと回復にかかる時間(コスト)と、得られる筋肥大の量(パフォーマンス)を鑑みて、コスパの良いパラメータ配分にすれば長期的に良い結果が得られる・・・ということだと思う。例えば回復に2週間かかるような激しいトレーニングは2週間分の筋肥大を得られるわけではないのでコスパが悪いし、逆に毎日同じ部位をトレーニングできる強度のトレーニングはコストは低いけどパフォーマンスも低い。


参考:A Quick Look at Some Popular Hypertrophy Programs
http://www.bodyrecomposition.com/muscle-gain/a-look-at-some-popular-hypertrophy-programs.html


関連記事:HST(筋肥大に特化したトレーニング)について