7/29/2014

自重での膝を前に出さないスクワット


普段通ってるフィットネスクラブで、パーソナルトレーナーが指導したり、彼らに教えてもらったとおぼしき人たちが、主に自重で「膝を前に出さないスクワット」を窮屈そうにやっているのを見て思ったことを書いてみたい。

膝を前に出さないスクワットには、膝への負担が軽い、股関節周りの筋肉を鍛えられるといったメリットがあり、これが一般的に推奨されている要因であろう。膝への負担が軽い理由は、私の知る範囲では以下の通り。

・モーメントアームの問題。挙上対象部分の重心への水平距離が短いほど関節のトルクは小さくなる。
・ハムストリングスが伸びて大腿の前面側(四頭筋)のテンションを相殺することで前十字靭帯への負荷が低くなる。
・個人差はあるが、膝の角度が鋭角になりすぎると膝の軟骨への負担が大きくなり怪我をしやすくなる。膝を前に出さないスクワットは膝の角度があまり鋭角にならない。

私も膝を前に出さないスクワット(ロウバースクワット)を普段やっているのだけど、バーベル担ぐのと自重とでは重心の関係でフォームが変わってくる。

スクワットに限らず立った状態で行うトレーニングは、重心が足の真上に来ないとバランスが取れない。自重で膝を前に出さないスクワットをちゃんとやろうとすると、重心が足よりも後ろ側になり後ろに倒れる(図1)。赤い印が身体の重心。適当に描いたけど多分ここら辺だろう。


試してみればわかるように、大腿が床と平行になるまでしゃがむのは至難の業だ。これは足首や股関節の柔軟性の問題ではなく、重心の問題である。無理にやろうとするとなんとか重心を前に残そうとして、背中を丸めたり上半身を前側に倒しこんだりする不自然な姿勢になる(図2)。自重ならあまり害はないだろうけど、このフォームでスクワットを覚えてバーベルを担ぐと怪我をするリスクが高い。


上半身をやや前に倒して腕を前に出すと、重心が前側に移動してバランスが取れる(図3)。自重で膝を前に出さないスクワットをやりたい場合はこうやるのが良いと思う。下背部が丸まらないように注意する。手で何かに掴まりながらでも良いだろう。


個人的には、自然に膝を前に出して自重スクワットをやればいいと思う(図4)。健康体なら、蹲踞やうさぎ跳びみたいやり方をしない限り、膝を壊すようなことにはならないでしょう。


重たいバーベルを担いでの膝を前に出さないスクワット(ロウバースクワット)は、自然にバランスが取れる。重心(身体の重心とバーベルの重心の合成)がバーベル近くになる(図5)。緑の印が、身体+バーベルの重心。バーベルが軽い場合は、合成重心が身体の重心に近くなるので膝が前に出る。



それと5kgとか10kgのバーを首の辺りに担いで膝を前に出さないスクワットをしてるケースも見るけど、上体を前に倒しつつ首の辺りで担ぐと頚椎に負担がかかって危ない感じがする。軽量では問題が起きることはあまり無いだろうけど、男性だと重量を増やしていく人もいるから気をつけないと・・・。ロウバーもハイバーも担ぐ位置には合理性がある。


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