9/26/2020

電子書籍「ボディメイクガイド」リリース!

 


Kindle向けの電子書籍を出しました。
ボディメイクガイド Kindle版

Kindleアプリをインストールすれば、パソコンやスマホでも読めます!

https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/fd/kcp




<本を書いた経緯>

まず、私が筋トレを始めてからどのように情報収集をしていったのか、その思い出を語りたいと思います。

最初は右も左も分からないのでまずは筋トレ本を読もうと思い、元ボディビルダーの大学教授が書いた本を読んだのですが、筋肉の仕組みなどを説明されても結局何をやったらいいのかわからず、インターネットで情報を探すようになりました。

今もそうなのですが、インターネット上の情報は玉石混交で、何が正しいのかわからず試行錯誤の日々でした。そのうち、「教えてgoo」のOneHさんを中心としたやり取りのログを見つけました。目からうろこでした。この方面を調べていけば、良い情報にたどり着けると思い、Lyle McDonald や Alan Aragon の書いたものを読むようになりました。それから芋づる式に Brad Schoenfeld、Eric Helms、Greg Nuckolsなどを追いかけていき、今に至ります。

インターネット上のサイトを見たり、トレーニングや栄養関連の本を読んで学んできたのですが、いくつか不満もありました。

まず日本語の本だと実用的な筋トレ本があまりないです。今回あらためて市場調査をしましたが、自己啓発系の筋トレ本、最新研究を散漫に羅列しているだけで実践と結びついていない本、筋肉や身体の仕組みなどが最初の50ページくらいに書いてあってあとは自重トレかボディビル的な種目解説の絵で埋めている本・・・といったものが多いです。本気で体型を変えたい人には物足りません。

インターネット上には日本語でも有用な情報がありますが、断片的に散らばっていて探すのが大変です。サーチエンジンでもなかなか上位にきません。それで情報を探すとなると英語が必須になってきます。しかし、英語の壁を乗り越えたとしても、問題があります。

良書を探すと、だいたいが専門的でカバーしている範囲が狭いです。多くの分野の本を読む必要があります。そして値段が高いです。一冊3000-5000円くらいします。

内容が良くてカバー範囲が広い本も少数ですがあります。

マニア向けの定番だとこの本ですね。
The Muscle and Strength Pyramid

一般向けだと多分この本が最も売れていると思います。レビュー数がすごいです。
Bigger Leaner Stronger(Michael Matthews )

ただこれらの本にも不満点はあって、エビデンスベースでトレーニングと栄養の両方を扱っているのは良いのですが、本に書かれている内容を適用できるのが、「存分にトレーニングをすることができて、好きな時に望み通りの食事を食べられる体格に恵まれた若い男性」に限られるということです。著者自身がそうなのでしょうし、これらの本の著者が関わるようなハードコアなジムに来る人にはそういう人が多いのでしょうけど、本気でボディメイクをしたい人には、上に当てはまらない人も大勢います。その人たちがアクセスできる良い情報源が現状では乏しいわけです。

その状態をなんとかしようと思って、自分で本を書くことにしました。なるべく多くの人が、自分のできる範囲でなるべく良い結果を出せるようになれば・・・との思いです。

最初はブログの内容を土台にして書こうと思い、ブログの記事をエディターにまとめました。その時点で4万字でした。その後いろいろと書き直したり、書き足したりして、最終的に11万字を超えました。ビジネス書と同じくらいのボリュームです。一般的な筋トレ本は図や写真が多いので、もっと文字数は少ないと思います。

本を書くのは初めてで、最初から最後まで一人で仕上げたので至らない点もあると思います。変なところがあったらご指摘いただけるとありがたいです。どのような内容なのか、参考までに目次を載せておきます。もし気に入っていただけたら、SNSで紹介したり、Amazonにレビューを書いてくれると嬉しいです。

9/16/2020

女性の月経周期と合わせたトレーニングと栄養

Lyle Mcdonald の The Women’s Book Vol1を読んで、女性は月経周期によってトレーニングや栄養の反応が変わってくることを知ったので、自分でも記事を書いてみます。月経周期の有無、避妊薬使用(種類によって変わる)、閉経後(ホルモン補充療法の有無で変わる)も影響するので、女性のトレーニングと栄養は非常に複雑ですね。

Vol1は栄養がメインで、トレーニングについてはあまり書かれていないです。トレーニングの詳しい調整の仕方についてはVol2のリリース待ちなので、自分で論文を調べてトレーニングの調整についても書いてみます。

月経周期における各期間の分け方はいくつかあるのですが、ここではざっくりと前半後半に分ける分け方にします。月経開始から排卵までが卵胞期、排卵後から次の月経までが黄体期です。

8/25/2020

運動後のクールダウンの効果

Do We Need a Cool-Down After Exercise? A Narrative Review of the Psychophysiological Effects and the Effects on Performance, Injuries and the Long-Term Adaptive Response
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5999142/

運動後のクールダウンの効果を調べた研究を集めてレビューした論文。クールダウンの種類にはいくつかあるけど、この論文では5-15分程度のジョギングなど軽い有酸素運動の効果をメインに調べている。

8/21/2020

ケーススタディ:ボディビルダーの減量とコンテスト後の回復

(1)Natural Bodybuilding Competition Preparation and Recovery: A 12-Month Case Study
https://pdfs.semanticscholar.org/7eb2/f2177a56705379065088b3480ce75329fd8e.pdf

一人の男性ボディビルダーがコンテストに向けて減量するまでと、コンテスト後の回復を記録した研究。細かく記録されているので、減量期間の食事や体組成推移などを見ていきたい。

7/21/2020

Barbalho他の研究に注意

Improbable Data Patterns in the Work of Barbalho et al: An Explainer
https://www.strongerbyscience.com/barbalho/?ck_subscriber_id=699589358

筋肥大とストレングスの分野で「へ~」と思うような研究をいくつか出している研究者の複数の研究が、どうも信用できないという話が出ている。データのばらつきが確率的にありえないほど小さかったり、複数のグループのデータが酷似していたり、ストレングスの伸びがあり得なかったりとおかしい点がいくつもある。個人的な印象では、いいとこ取り手法でデータを整えたというレベルではなく、複数の研究でデータをほぼでっち上げたのではないかと。

上のGreg Nuckolsの記事におかしな点が詳しく書かれていて、Barbalhoの研究に関わった人の協力で実験の生データも手に入れてるのだけど、統計のことがわからなくても、生データの数字の不自然さは一目瞭然。例えば腕の周径の被験者ごとの変化の数値が、 0.8, 0.8, 0.8, 0.8, 0.8, 1.1, 1.1, 1.1, 1.1, 1.1となっている。被験者10人で数値が2パターンしかない。今後エビデンスを考える時、Barbalhoが関わった研究についての結果は全て、一旦棚上げして考えたほうがいいと思う。

7/15/2020

TRF(Time-Restricted Feeding)の研究

TRF(Time-Restricted Feeding)は、一日のうち食事を摂れる時間枠を8時間以内や4時間以内と決めて、残りの時間はカロリー摂取をしない食事方法のこと。具体名を出すと、リーンゲインズやウォリアーダイエットといった方法。

TRFはIF(Intermittent Fasting)に含まれるけど、IFだと一日置きの断食(ADF:Alternate-day fasting)などもあって、そういった方法は運動する人には実行が難しい。TRFは運動する人でも実行可能。

TRFとレジスタンストレーニングを組み合わせた研究がここ数年でいくつか出てきたので紹介します。

6/09/2020

トレーニングボリュームを被験者ごとに調整した研究

Muscle Hypertrophy Response Is Affected by Previous Resistance Training Volume in Trained Individuals
https://www.researchgate.net/publication/339583180_Muscle_Hypertrophy_Response_Is_Affected_by_Previous_Resistance_Training_Volume_in_Trained_Individuals

一律のボリュームでのトレーニングと、被験者の直近のトレーニングボリュームの20%増しのトレーニングを実施し、筋肥大に差が出るか調べた研究。

6/05/2020

リフィードの研究

Intermittent Energy Restriction Attenuates the Loss of Fat Free Mass in Resistance Trained Individuals. A Randomized Controlled Trial
https://www.mdpi.com/2411-5142/5/1/19/htm

毎日同じペースでカロリーカットをしたグループと、週に2日リフィードをしたグループの減量結果を比較した研究。筋トレ愛好家の知りたいポイントを押さえた研究デザインになっている。

・被験者は肥満ではなく、トレーニング歴あり
・筋トレしながらの減量
・タンパク質摂取量がこの手の研究にしては多め(個人的にはもう少し増やしたほうがいい思うが)
・週に2日という現実的なリフィード方法

減量や筋トレの研究は、社会的意義の面から肥満の人や高齢者を対象とした研究が多いので、こういう筋トレ愛好家向けの研究が行われるのは稀。

結論を先に書くと、リフィード群のほうが除脂肪量の減少を抑えられ良い結果になっている。


★被験者データ


体脂肪率は結果の表に載っていて、実験前の時点で21%くらい。男女合わせてのデータなので男性17%、女性25%くらいかな?


★実験期間
7週間


★食事
指導のもと自己管理

・摂取カロリー配分
一定カロリー群  ずっと25%カロリーカット
リフィード群  5日連続35%カロリーカット、2日連続維持カロリー



・マクロ栄養素バランス
カロリーカット時のマクロバランスは両群ともタンパク質摂取量 1.8g/kg/日、残りの必要カロリーを脂質と炭水化物で半分ずつ。

リフィード群のリフィード日は、カロリーカット時の食事に炭水化物のみを足して維持カロリーにする。



★レジスタンストレーニング
週あたり上半身メイン2日、下半身メイン2日の合計4日。4週目だけはデロードで合計2日。あと30分の有酸素運動を週2日。



★結果
体重差を考えると両群とも同じくらい体重が減少したが、リフィード群のほうが除脂肪量の減少を抑えられ、良い結果となっている。リフィードによる保水量の差を考慮するため、乾燥除脂肪量(Dry FFM)も算出しているが、これもリフィード群のほうが減少を抑えられている。体脂肪量もリフィード群のほうが減っていて良い。今回の研究では、リフィードは体重を落ちやすくするというよりも、除脂肪量を維持しやすいという結果になっている。



リフィードの目的は一般的に以下の3つ。

・代謝低下の抑制
・筋肉の維持・肥大
・メンタル面の息抜き

代謝低下については、安静時代謝(RMR)の減少幅に少し差がついている。安静時代謝は除脂肪量の影響が大きいので、除脂肪量減少の差が表れていると考えられる。リフィードで期待されるレプチンなど内分泌系の影響による代謝低下の抑制が起きているかはよくわからない。そもそも代謝低下の抑制があったかは安静時代謝だけではなくNEATも見ないといけない。

マクロ視点でみると、7週間での体重減少量は両群でほぼ同じだが、分解して消費する場合、除脂肪部分のほうが体脂肪よりもエネルギー密度が低いことを考慮すると、リフィード群のほうがトータルでの消費カロリーが少し多かった感じはする。

除脂肪量の維持については、リフィードでグリコーゲンを補充してトレーニングの質が上がったり、筋肉のエネルギーレベルが一時的に高くなることで、筋肉の維持・肥大がしやすくなったのかもしれない(個別データだと除脂肪量が増えている人もいる)。

トレーニングボリュームは両群で同じとのことだが、ボリュームをセット数×レップ数で出しているのか、セット数×レップ数×重量で出しているのか不明なので、トレーニングの質に差がついたのかよくわからない。


★コメント
デザインの良い研究で、リフィードの優位性が示された結果になっている。今後同じようなデザインの研究で繰り返しリフィード優位の結果が示されれば、確度が高まる。

体脂肪率を楽に維持できる水準(男性なら13-15%くらい)より高い体脂肪率で減量をするならリフィードはあまり必要ないと思っていたけど、体脂肪率が低くなくても体組成変化に効果がありそうなので考えを改めたい。

なぜ両群を比較すると体重減少にあまり差がつかなかったのか仮説を考えてみると、

・今回の実験では被験者はそれほど低い体脂肪率ではないので、両群とも大幅な代謝低下が起こらず、そのためリフィードの代謝回復効果も大きくは出ず、代謝低下の抑制の面であまり差がつかなかった。

・リフィード日の摂取カロリーは維持カロリーなので、グリコーゲンとして貯蔵に回される分を考慮すると摂取カロリーが足りなく、リフィードの代謝低下の抑制効果が出るには不十分だった。

・そもそも2日程度のリフィードでは代謝低下の抑制効果があまり無い。

もし今回よりも低い体脂肪率の被験者を集めて、男性なら体脂肪率10%以下を目指すという研究デザインにして、リフィード日の摂取カロリーをグリコーゲン貯蔵分を考慮して維持カロリーよりも多めにすると、リフィードがレプチンレベルの低下抑制に寄与するといった経路で、リフィード群と一定カロリーカット群とで体重減少に大きな差が出てくるかもしれない。



★細かい話
・リフィード群はリフィード時に炭水化物だけ足しているため、週ベースでの炭水化物の摂取量がリフィード群のほうが多くなっているはず。レプチンレベルの維持や筋グリコーゲンの補充、トレーニングの質の維持の面ではリフィード群が有利だと思う。

・タンパク質摂取量が1.8g/kg/dayは減量時としては少し足りなく、特にリフィード群の35%カロリーカットだとかなり不足気味な感じがするので、この点ではリフィード群が不利に見える。(が、除脂肪量の維持ではリフィード群のほうが良い結果だった)

・減量終了後から一週間くらい空けてから、体組成を測定してほしかった。土日のリフィードで実験期間終了だと、リフィード群はグリコーゲンと水が補充されていて除脂肪量が多く出やすい。論文にはリフィードから最低2日空けて体組成を測定したと書かれていて、また水分量を考慮した乾燥除脂肪量も出しているので、ある程度はこの保水量の差をケアしているが。

・トレーニングボリュームの細かい記録や、1RM変化も記録するとより良い研究になると思う。

・極度に低い体脂肪率を目指す場合は、リフィード日はオーバーカロリー(その日の活動で消費するカロリーに加えて貯蔵グリコーゲンの分も摂取する)のほうが良いと思う。



関連記事:
リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた
6年前の記事で、当時とあまり考えは変わっていないけど、カジュアルダイエットの人はリフィードというか、1、2週間の維持カロリーに戻すダイエット休憩を入れると良いと思う。(一つ下の関連記事参照)

維持カロリーを挟むダイエット方法

炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット

なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか

レプチンについて

AMPkについて

タンパク質摂取量の目安

6/01/2020

運動時のマスク

ジムの営業が徐々に再開されていますが、マスク着用が義務付けられているところも多いと思います。どういうマスクを着用すれば運動しやすいか、いくつか試してみたのでレビューをば。

呼吸のしやすさを5段階で評価していきます。マスク無しが5点。

・普通の不織布マスク

呼吸のしやすさ ★★☆☆☆ 2点
軽い運動ならなんとか出来る。


・不織布マスクが汗で湿ったもの
呼吸のしやすさ ★☆☆☆☆ 1点
汗で湿ると空気が通りにくくなりかなり苦しい。


・D&M サポーターメーカーの洗える伸縮マスク
呼吸のしやすさ ★★★☆☆ 3点
スクワット8レップやって3分インターバルといった筋トレなら何とか出来る。呼吸がある程度制限されるため、おそらくインターバルでの回復が遅れる。いつもより長めにインターバルを取ったほうが良い。HIITといった心拍数が上がりっぱなしの高強度の運動はこのマスクだと難しいと思う。あとメガネが曇りやすいのでメガネ民は曇り止めをつけたほうがいいかも(曇り止めを注文したけどまだ届かない)。


・通気性の良いフェイスマスク
呼吸のしやすさ ★★★★☆ 4点
アマゾンで売ってたこれを試してみましたが、呼吸はとてもしやすい。たぶんほとんどの運動が問題なく出来る。これがOKならなるべく使いたい。注意点は、黒色だと見た目が上野クリニックっぽくなる。

5/22/2020

ビタミンDと運動パフォーマンス

サルコペニアなど筋肉が病的に弱っている高齢者は、ビタミンD摂取により体内ビタミンDレベルを改善することで、筋力がある程度戻ることがいくつかの研究で示されている。

ビタミンDが筋肉・筋力に影響を及ぼす仕組みは現時点では明確になっていない。ビタミンDが筋肉のタンパク質合成に関わったり、カルシウムイオンの調整に関わったりといったメカニズムが推測されている。

こうした背景から、若いアスリートにビタミンDを投与することで、運動パフォーマンスの改善が見込めるのではないか?というエルゴジェニック視点での研究がいくつか行われている。今回はそれを見ていきたい。



★ビタミンDサプリメントをアスリートが摂取したRCT研究
下のほうに「★まとめ」があるので、個別研究は読み飛ばしても大丈夫です。

(1)Acute Effects of Vitamin D3 Supplementation on Muscle Strength in Judoka Athletes: A Randomized Placebo-Controlled, Double-Blind Trial.
https://wlv.openrepository.com/bitstream/handle/2436/608837/Acute%20effects%20of%20Vit%20D%20on%20muscle%20function%20in%20judokas.pdf;jsessionid=01C07C8293F095F75C497313FDE54BFA?sequence=2
・被験者
柔道選手

・ビタミンD摂取方法
1日目 筋力テストしてすぐ多量のビタミンDを摂取(15万IU)
8日目 再び筋力テスト

・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
13.16ng/ml→16.76ng/ml

※被験者ごとのビタミンDレベルの推移を見るとこの平均値はおかしい気がする。グループの人数ではなく、全体の人数で合計を割って平均を出しちゃってる感じがするが、まさかそんなことは・・・

・運動パフォーマンス測定
大腿四頭筋とハムストリングスの筋力(膝の伸展と屈曲の最大筋力を測定)
ビタミンD群は平均で13%上昇
プラシーボ群は平均で3%上昇


(2)Correcting Vitamin D Insufficiency Improves Some But Not All Aspects of Physical Performance During Winter Training in Taekwondo Athletes.
https://www.researchgate.net/publication/324928086_Correcting_Vitamin_D_Insufficiency_Improves_Some_But_Not_All_Aspects_of_Physical_Performance_During_Winter_Training_in_Taekwondo_Athletes
・被験者
テコンドー選手

・ビタミンD摂取方法
毎日5000IUを4週間

・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
10.9ng/ml→38.4ng/ml

・運動パフォーマンス測定
無酸素ピークパワー(Wingate anaerobic test全力自転車マシン漕ぎ)と膝の伸展のストレングス向上については、ビタミンD群とプラシーボ群で有意差あり。筋持久力、垂直跳び、敏捷性、シャトルランは有意差なし。

・怪我
メインの研究目的ではないが、プラシーボ群のほうが怪我する選手が多かった。


(3)The effects of vitamin D3 supplementation on serum total 25[OH]D concentration and physical performance: A randomised dose-response study
https://www.researchgate.net/publication/235628143_The_effects_of_vitamin_D3_supplementation_on_serum_total_25OHD_concentration_and_physical_performance_A_randomised_dose-response_study
・被験者
ラグビーやサッカーなど

・ビタミンD摂取方法
週あたり20000IU、40000IU、プラシーボの3グループ。12週間。

・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
20ng/ml→34ng/ml(週あたり20000IU)
20ng/ml→36ng/ml(週あたり40000IU)

・運動パフォーマンス測定
ベンチプレス1RM、レッグプレス1RM、垂直跳び、20m走いずれもビタミンD摂取による効果なし。


(4)Assessment of vitamin D concentration in non-supplemented professional athletes and healthy adults during the winter months in the UK: Implications for skeletal muscle function
https://static1.squarespace.com/static/59321fad9de4bb81bdceb3b6/t/593cb0a5e3df286fa0f55995/1497149606409/Assessment+of+vitamin+D+concentration+in+non-supplemented+professional+athletes+and+healthy+adults+during+the+winter+months+in+the+UK-+implications+for+skeletal+muscle+function.pdf
・被験者
ラグビー、サッカー、騎手の選手。

・ビタミンD摂取方法
毎日5000IUを8週間。

・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
12ng/ml→42ng/ml

・運動パフォーマンス測定
10m走と垂直跳びが向上。ベンチプレス1RMとスクワット1RMは有意差無し(向上の傾向はあり)。


(5)Vitamin D Supplementation and Physical Activity of Young Soccer Players during High-Intensity Training
https://www.mdpi.com/2072-6643/11/2/349/htm
・被験者
サッカー選手

・ビタミンD摂取方法
毎日5000IUを8週間。

・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
19ng/ml→43ng/ml

・運動パフォーマンス測定
スプリント能力とジャンプ力を測定。プラシーボ群とビタミンD群で有意差なし。


(6)Vitamin D Supplementation and Physical Performance in Adolescent Swimmers
https://www.researchgate.net/publication/265516194_Vitamin_D_Supplementation_and_Physical_Performance_in_Adolescent_Swimmers
・被験者
水泳選手

・ビタミンD摂取方法
毎日2000IUを12週間。

・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
20ng/ml→30ng/ml

・運動パフォーマンス測定
スイムのタイム、握力、片足立ちの時間、いずれもプラシーボ群とビタミンD群で有意差なし。


(7)The influence of winter vitamin D supplementation on muscle function and injury occurrence in elite ballet dancers: A controlled study
https://www.researchgate.net/publication/236338298_The_influence_of_winter_vitamin_D_supplementation_on_muscle_function_and_injury_occurrence_in_elite_ballet_dancers_A_controlled_study
・被験者
プロのバレエダンサー

・ビタミンD摂取方法
毎日2000IUを4ヶ月

・ビタミンD群の血清ビタミンD濃度変化
ビタミンDレベルは測定していないようだ。実験は冬に行われ、室内での長時間の練習が多い職業なのでスタート時のビタミンDレベルは低いと思われる。

・運動パフォーマンス測定
アイソメトリックでのストレングス(膝の伸展)と垂直跳びで、いずれもビタミンD群が向上。ストレングスは+18.7%、垂直跳びは+7.1%。

・怪我
怪我率はビタミンD群のほうが低かった。ビタミンD群0.55/1000h、コントロール群1.87/1000h



★怪我リスク
(8)Stress Fractures in the Israeli Defense Forces From 1995 to 1996
https://journals.lww.com/clinorthop/Fulltext/2000/04000/Stress_Fractures_in_the_Israeli_Defense_Forces.27.aspx

(9)Association between serum 25(OH)D concentrations and bone stress fractures in Finnish young men.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16939407
兵士対象の研究では、骨折リスクとビタミンDレベルの低さが相関している。骨折は頻繁に起こるものではないので、アスリート対象の研究だとサンプル数と調査期間の問題から有意差が出にくいと思う。

(10)The Association of Vitamin D Status in Lower Extremity Muscle Strains and Core Muscle Injuries at the National Football League Combine.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29275983
NFLコンバインの選手のデータから、怪我歴とビタミンDの関係を分析した研究。脚の筋肉の肉離れや体幹の筋肉の怪我リスクが、ビタミンDレベルの低さと相関していた。



★まとめ
単関節のストレングス向上はビタミンD摂取の効果ありとなった研究が多い。ジャンプ力はいくつかの研究で効果ありとなっている。ベンチプレスやスクワットなど複合関節種目でのストレングス向上は効果があまり期待できないようだ。

若いアスリートはビタミンD摂取により、部分的にストレングスとパワーが改善するかもしれない。欠乏レベルにある場合は、一日5000IUを2ヶ月くらい続けたい。日光に当たってもビタミンDが生成されるけど、日光に当たりすぎると皮膚がんなどの健康リスクが出てくるので、サプリメントで補うのが良いと思う。

怪我の予防については、結構期待できそうな感じがする。骨折と筋肉の怪我の予防に貢献する可能性がある。骨は単に強くすることで骨折予防だろうけど、肉離れなどはメカニズムがよくわからない。



★ビタミンD研究の注意点
アスリートにビタミンDを投与する研究の問題点は、

・被験者数が少ない

・初期ビタミンDレベルと、サプリメント摂取後のビタミンDレベルがばらばら。

・ビタミンDが運動パフォーマンスに影響を及ぼすメカニズムと、運動パフォーマンスにとって望ましいビタミンDレベルがはっきりしない。欠乏状態(だいたい20ng/ml以下)を改善することで、運動パフォーマンス向上が期待できるのか? それとも健康維持に十分なレベル(だいたい30-40ng/ml)よりさらに高いビタミンDレベルにすると、神経-筋肉が最大のパフォーマンスを発揮するようになるのか?



★ビタミンDが不足しやすい競技・季節
日焼け止めを塗らず肌を多く露出して、低緯度地域、夏、昼間の日差しに多く当たると、ビタミンDが多く生成される。高緯度地域、冬、朝夕の日差しはビタミンDを生成しにくい。

屋内競技はビタミンDが不足しやすい。屋外競技でも、高緯度の冬場、曇りの多い地域(例えば日本だと冬の日本海側)だとビタミンDが不足しやすい。

それと階級制競技はビタミンDが不足しやすい傾向があるようだ。


★タンニングマシンはビタミンD生成に効果的か
ビタミンD生成に必要なのはUVBなので、UVBが少ない種類のマシンだとあまりビタミンDが生成されないだろう。