1/17/2023

トレーニングプログラムのレビュー:5/3/1 for Beginners / BBB / Building the Monolith


Boostcampアプリに登録されている、バーベルトレーニングが軸のトレーニングプログラムをレビューしていきます。Boostcampについては以下の記事を参考にしてください。

関連記事:トレーニングプログラムのアプリの紹介(boostcamp)

アプリに登録されているプログラムのレビューは、以下の記事にまとめてあります。

関連記事:トレーニングプログラムのレビューまとめ

アプリでプログラムがきちんと動くのかは試していないです。○レップできたら重量アップなどのオートレギュレーション系は、実装が難しそうな感じがしますが・・・

初心者、初級者の用語の使い分けは、始めたてが初心者、少しトレーニングに慣れてきたら初級者と考えています。アプリでは、beginnerとnoviceがあるので、beginnerを初心者、noviceを初級者にしています。


今回レビューするプログラムは、5/3/1の3種類のバージョン、5/3/1 for Beginners / BBB / Building the Monolithです。

前提知識として、5/3/1の基礎部分は、


このようになっています。重量設定で参照するのは1RMではなくて、1RMの90%のTM(トレーニングマックス)です。この変数設定で、ベンチプレス、スクワット、デッドリフト、OHPを週1回ずつ行います。基礎部分に、どのように補助種目を加えるかで様々な5/3/1のバージョンが存在します。




5/3/1 for Beginners


アプリの記述が不十分だったので以下のサイトも参考にしました。

5/3/1 for Beginners
https://thefitness.wiki/routines/5-3-1-for-beginners/


<対象>

初心者、初級者


<プログラムタイプ>

レイヤー型?(5/3/1+5×5のサイクルトレーニングといった感じの構成)


<特徴>

重量設定では1RMの90%のTM(トレーニングマックス)を参照する。

3週間で1サイクル。

1サイクル終わったら、ベンチプレスとOHPはTMを+2.5kg、スクワットとデッドリフトはTMを+5.0kg。

重量アップができなくなったら、TMをベンチプレスとOHPは7.5kg減らし、スクワットとデッドリフトは15kg減らして再スタート。


変数設定は各バーベル種目で同じ。

[1週目]
5レップ×1セット@65%
5レップ×1セット@75%
5+レップ×1セット@85%
5レップ×5セット@65%

[2週目]
3レップ×1セット@70%
3レップ×1セット@80%
3+レップ×1セット@90%
5レップ×5セット@70%

[3週目]
5レップ×1セット@75%
3レップ×1セット@85%
1+レップ×1セット@95%
5レップ×5セット@75%


通常の5/3/1だと4週目がデロードですが、このプログラムではデロード週は無し。

メニュー構成は、

月曜:スクワット、ベンチプレス、補助種目

水曜:デッドリフト、OHP、補助種目

金曜:ベンチプレス、スクワット、補助種目


補助種目は、プッシュ系、プル系、片脚・体幹系から一日あたり一つ選び、その種目をトータルレップ数が50-100になるまで行う。


<コメント>

全体的に追い込み度が低いとはいえ、初心者にとっては高ボリュームなので、基礎体力がある人向けだと思います。月曜と金曜は、スクワット8セットとベンチプレス8セットを行います。

また、週あたりベンチプレス8セット×2回、OHP8セット×1回で、肩の負担がかなりありそうなので怪我に注意ですね。

5×5のところは、8レップ×3セット@55%~65%に変えてもいいかなと思います。低レップ域のトレーニングは5/3/1部分で行っているので、筋肥大目的でボリュームを積むなら8レップくらいのほうが効率的です。

バーベルトレーニングでプッシュ系のボリュームが多いので、補助種目はプル系と片脚・体幹を中心に実施するとバランスが良くなると思います。



5/3/1 BBB


<対象>

初級者、中級者


<プログラムタイプ>

レイヤー型


<特徴>

5/3/1の高ボリューム版です。BBBは Boring But Big の意味で、「退屈だけどデカくなる」。

重量設定では1RMの90%のTM(トレーニングマックス)を参照する。

4週間で1サイクル。

1サイクル終わったら、ベンチプレスとOHPはTMを+2.5kg、スクワットとデッドリフトはTMを+5.0kg。


変数設定は各バーベル種目で同じ。5/3/1の基礎部分を実施したあと、10レップ×5セット@50%を行います。

[1週目]
5レップ×1セット@65%
5レップ×1セット@75%
5+レップ×1セット@85%
10レップ×5セット@50%

[2週目]
3レップ×1セット@70%
3レップ×1セット@80%
3+レップ×1セット@90%
10レップ×5セット@50%

[3週目]
5レップ×1セット@75%
3レップ×1セット@85%
1+レップ×1セット@95%
10レップ×5セット@50%

[4週目]
5レップ×1セット@40%
5レップ×1セット@50%
5レップ×1セット@60%
10レップ×3セット@50%


補助種目はラットプルダウンが10レップ×5セット、アブクランチが10-20レップ×5セット。

4週目(デロード週)は補助種目は3セット


メニュー構成は、

月曜:オーバーヘッドプレス、補助種目ラットプルダウン

火曜:デッドリフト、補助種目アブクランチ

木曜:ベンチプレス、補助種目ラットプルダウン

金曜:スクワット、補助種目アブクランチ


<コメント>

初級者には、同じ種目の1回あたりのボリュームが8セットと多くて大変そうな感じがします。分散させて1回のボリュームを下げて、頻度を上げたほうが良いと思います。スキル習得の面でも、分散させて頻度を上げたほうが伸びやすいでしょう。例えば、OHP(5/3/1)+ベンチプレス(10×5)、デッドリフト(5/3/1)+スクワット(10×5)、ベンチプレス(5/3/1)+OHP(10×5)、スクワット(5/3/1)+デッドリフト(10×5)みたいな組み方ですね。

中級者には、週ベースでの各種目のボリュームが少ないかなと。メインリフトのセット数を増やすか、補助種目を追加したほうが良いと思います。あとロウ系種目がないのでそれも足したい。

後から調べたら、上に書いた改善点は、Boring But Big 2.0やBoring But Big Beefcakeといったオプションで対処されているようです。

The Jim Wendler BBB Program | The Ultimate Guide!
https://revolutionaryprogramdesign.com/531-boring-but-big/




5/3/1 Building the Monolith


<対象>

上級者


<プログラムタイプ>

レイヤー型


<特徴>

重量設定では1RMの85%のTM(トレーニングマックス)を参照する。

6週間で1サイクル。

3週目が終わったら、ベンチプレスとOHPはTMを+2.5kg、スクワットとデッドリフトはTMを+5.0kgして、4-6週目を行う。


[1週目]
月曜:
スクワット 5レップ×1セット@70%、5レップ×1セット@80%、5レップ×5セット@90%
OHP 5レップ×1セット@70%、5レップ×1セット@80%、5レップ×1セット@90%、5+×1セット@70%
懸垂 100レップ
フェイスプル 合計100レップ
ディップス 合計100-200レップ

水曜:
デッドリフト 5レップ×1セット@70%、5レップ×1セット@80%、5レップ×5セット@90%
ベンチプレス 5レップ×1セット@70%、5レップ×1セット@80%、5レップ×5セット@90%
ダンベルロウ 10-20レップ×5セット
アームカール 合計100レップ

金曜:
スクワット 5レップ×1セット@70%、5レップ×1セット@80%、5レップ×1セット@90%、20レップ×1セット@45%
OHP 5レップ×10セット@70%
加重懸垂 5レップ×5セット
フェイスプル 合計100レップ
シュラッグ 合計100レップ


[2週目]~[6週目]
メインリフトは基本的に5レップ。全体的に強度が5%~10%変動するがメニュー構成は同じ。セット数もほぼ同じ。金曜のOHPのセット数が変動する。



<コメント>

OHPのボリュームがすごい。5週目は金曜のOHPが5レップ×15セット@65%。

ベンチプレスは週1回7セットで少ないけど、ディップスとOHPのボリュームが多いから伸ばせるのかもしれない。

下半身のボリュームが足りない感じがする。

ただ、何の上級者を目指すプログラムなのかよくわからないです。メインリフトの重量を伸ばすのなら、もっとメインリフトに特化したほうがいいです。ボディビルだったらマシン・アイソレート中心にしたほうがいいし、ストロングマンだったら競技で行う種目の練習を中心にしたほうがいいです。他のアスリートだったら競技で使う筋肉や動作を分析してからプログラムとメニューを組んだほうがいいでしょう。

上級者になるほど、体力や回復力や時間面でリソース制約が厳しくなってきますし、適応同士の干渉(瞬発力と持久力を高いレベルで両立できない、アジリティとデカい体を両立できない、etc)が起きてくるので、目標となる適応の向上に役立たないトレーニングをやっている余裕はなくなってきます。

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