5/13/2026

トレーニングボリューム20%増しと120%増しを比較した研究

一定のトレーニングボリュームを一律に処方するよりも、各々の普段のトレーニングボリュームの20%増しのボリュームにしたほうが、筋肥大について良い結果が出やすいという研究が過去にありました。

関連記事:トレーニングボリュームを被験者ごとに調整した研究 

ただ、20%増しが筋肥大に最適かは不明でした。今回の研究では、被験者の片脚ずつを、それぞれ20%増しと120%増しとに振り分けて比較しています。筋肥大は個人差が大きいため、被験者内で比較している研究は信頼性が高いです。


(1) Large increases in resistance training volume do not impair skeletal muscle hypertrophy or anabolic–catabolic molecular signalling in trained individuals
https://www.biorxiv.org/content/10.64898/2026.02.23.707462v1





被験者:
18-35歳の男女 男性18名 女性7名 1-5年の下半身の筋トレ歴 普段の脚(大腿四頭筋)のトレーニングボリュームが週あたり12-20セット


グループ分け:
被験者の左右の脚をどちらかに振り分ける。

・トレーニングボリューム20%増し

・トレーニングボリューム120%増し

被験者の普段の脚のトレーニングボリュームをベースにして、20%増し・120%増しを決める。例えば、普段の脚のトレーニングボリュームが週に20セットだった場合、20%増しの脚は週に24セット行い、120%増しの脚は週に44セット行う。


トレーニング内容:
8週間 週2回
レップ数 9-12レップ レンジを超えたら重量アップ レンジを下回ったら重量ダウン
全セット限界まで
セット間インターバル 2分
種目 45度レッグプレス レッグエクステンション


栄養:
トレーニング直後にホエイプロテイン30gを摂取
あとは普段通りの食生活を続ける(追加でのサプリメント摂取は禁止)


測定項目:
・外側広筋の断面積(超音波)
・筋繊維の断面積、羽状角、筋束長、サテライトセル、筋核数など(外側広筋の組織を採取)


測定タイミング:
・トレーニング期間の開始前
・トレーニング期間を終了(16回目のセッション終了)してから96時間後



結果

こなした平均の週セット数:

・20%増しの脚:18.0セット
・120%増しの脚:32.8セット


外側広筋の断面積:


解像度が低くて読みにくいが、おそらく以下の数値。

・20%増しの脚:27.89cm2→30.01cm2(+7.6%)

・120%増しの脚:28.48cm2→31.44cm2(+10.4%)

120%増しのほうが効果が少し大きいが、論文だと統計的に意味のある差かどうかが微妙とのこと。

筋繊維(タイプ1、タイプ2)の断面積、羽状角、筋束長、サテライトセル、筋核については、トレーニング前後でいずれの脚も変化が検出されず。

筋合成・分解に関連する分子反応については、小さな差はあるが、全体で見れば20%増しと120増しで同様の反応だった。



コメント

全体的に見れば、ボリューム20増しとボリューム120%とでは、同じくらいの筋肥大が起きました。120%増しのほうがわずかに効果が高いかもしれません。

筋肥大のためのトレーニングの場合、反応を見ながら20%程度ずつボリュームを増やしていくのが、労力と時間に対する効果が高いと考えられます。ただ、短期間に特定部位の強化を図りたい場合は、その部位のボリュームのみを大幅に増すのは有力な選択肢だと思います。全身のボリュームを急激に増やすのは、回復が追いつかなくなるリスクが高いため止めたほうが良いでしょう。


筋合成・分解に関連する分子反応は全体で見れば差がありませんでした。論文の主要な目的が、急激なボリューム増加が筋肥大適応に悪影響を及ぼすかどうかを調べることで、急激なボリューム増加をしても特にカタボリック環境に傾くこともなく、筋肥大に悪影響は無さそうという結論になっています。


ボリューム増加の度合いによる適応の違いを調べた研究は、被験者間のものなら他にもあります。しかし被験者間だと、筋肥大反応の個人差の影響が大きいため、あまり参考にはならないと思います。

(2) Training volume increases or maintenance based on previous volume: the effects on muscular adaptations in trained males 
https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/japplphysiol.00476.2024?rfr_dat=cr_pub++0pubmed&url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org

この研究では、「ボリューム維持」「30%増し」「60%増し」で比較していて、筋肥大には差なしという結果になっています。



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