スクワットで深くしゃがむときに、骨盤が後掲して腰椎が丸まること。butt(尻)がウィンクしているように見えるから。
動画:"Butt Wink" Squat Myth (EVERYONE HAS IT)
https://www.youtube.com/watch?v=R-Qcl_IRth4
この動画の主張には同意できない部分があるけど画像がわかりやすいので引用。
高重量のバーベルスクワットでは背骨に強い負荷がかかっている。その状態でbutt winkが起きて腰椎がクネクネ動くと、腰椎の怪我リスクが高まる。
またスクワットで深くしゃがめないケースも、それ以上深くしゃがんだらbutt winkが起きて腰が丸まってしまうと身体が怖がっていて、深くしゃがめない可能性がある。
butt winkの原因に対処することで、スクワットで安全に深くしゃがむことが出来るようになることを目指す。
★butt wink(もしくはスクワットで深くしゃがめない)の原因
a) 骨の構造上の問題
股関節の骨(大腿骨と骨盤)の形と噛み合わせには個人差があって、ある一定の深さ以上しゃがもうとすると骨と骨がぶつかって、それ以上はしゃがめなくなる。さらにそれより深くしゃがもうとすると、股関節ではなく骨盤を後傾し腰椎を曲げることで、深くしゃがむ動作を達成する。これは骨の問題なのでどうしようもない。
ただフルボトムのスクワットならこの骨の問題が発生するケースが多いだろうけど、パラレル付近までしゃがむ前に骨の問題でbutt winkが起こるのはそれほど多くないと思われる。
b) 関節の柔軟性(筋肉や腱や靭帯や関節包の柔軟性)の問題
スクワット動作では、股関節(屈曲と内旋)と足首(背屈)の柔軟性が要求される。骨の構造上の問題と同じく、柔軟性が許す可動域以上に深くしゃがもうとするとbutt winkが起きる。
股関節の柔軟性については、股関節の屈曲と内旋の拮抗動作である伸展と外旋の筋肉(臀筋や内転筋など)の柔軟性が足りないと、深くしゃがめなくなると考えられる。ストレッチやフォームローラーなどで個別にこれらの筋肉の柔軟性を高めるか、もしくはある程度負荷をかけながらスクワット動作を繰り返すことで徐々に股関節の筋肉の柔軟性が高まる。ハムストリングのストレッチも対策として言われることがあるが、ハムストリング(の二関節筋の部分)はスクワットの間は長さがあまり変わらず、むしろ深くしゃがむにつれて少し短くなるので、ハムストリングの柔軟性はおそらく無関係。
参考サイト:股関節の機能解剖 - 大腿直筋・ハムストリングス・殿筋群・内転筋群・梨状筋他
https://www.kinyo.fit/kaibo/crotch-joint.html
足首が固いと、しゃがむ際に膝が前に出ず、尻を極端に後ろに引くことで上半身が大きく傾き、股関節の角度が鋭角になり、股関節の可動域が足りなくなって、腰が丸まってしまう。この場合は、ふくらはぎの筋肉やアキレス腱のストレッチなど足首の柔軟性を高めるエクササイズをすると、膝を前に出すことが出来るようになりスクワット動作が改善される可能性がある。
c) 身体コントロール能力の問題
butt winkは、深くしゃがむときに骨盤が後傾し腰椎が丸まること。身体(特に体幹)をコントロールし、骨盤と背骨を良いポジションに保つ能力が足りないと、関節の可動域が十分であってもbuttwinkが起きる。
またふくらはぎや尻の筋肉がエキセントリック動作に慣れていないと、負荷をかけた状態では足首や股関節が深く曲がらなくなることがある
問題の切り分け方法については後述するが、一般的には、普段から運動をよくする若い人がbutt winkが起きたり、深くしゃがむのが難しかったりする場合は、a)骨の構造上の問題 か c)身体コントロール能力の問題 の可能性が高いと考えられる。運動をあまりしない中高年の人がbutt winkが起きたり、深くしゃがむのが難しかったりする場合は、b)関節の柔軟性の問題 と c)身体コントロール能力の問題 の可能性が高いと考えられる。
★受動的可動域と能動的可動域
外部から力を加えたときに動く関節の可動域(受動的可動域)と、自分で筋肉に力を入れながら身体を動かすことのできる関節の可動域(能動的可動域)は異なる。
関節の柔軟性が足りないのではなくて、身体のコントロールがうまく出来ていなくて関節の可動域が狭いケースも多い。闇雲にストレッチを行う前に、まずは負荷がかかってない状態で関節がどこまで動くか試してみる。
・股関節の受動的可動域チェック例。四つん這いになって脚や尻の筋肉の力を抜き、腰が丸まらないように意識しながら尻を後ろに引いていく。
動画:Quadruped hip rockers
https://www.youtube.com/watch?v=Gzj9AOn4KDY
・足首の受動的可動域チェック例。足の裏全体を地面につけたまま足首を曲げていきどれだけ膝が前に出るか。
動画:EricCressey.com: Do You Really Have Poor Ankle Mobility?
https://youtu.be/kFZpFgDcysA?t=164
受動的可動域が狭い場合は、骨の構造か関節の柔軟性のどちらかに問題があると考えられる。受動的可動域チェックの後に、ストレッチやフォームローラーやマッサージを行い、再び受動的可動域を調べてみる。可動域が広がっているなら関節の柔軟性に問題があると考えられ、ストレッチなどを行うことでスクワット動作が改善することが見込まれる。
★身体コントロール能力の鍛え方
股関節と足首の柔軟性チェックで、関節の受動的可動域に問題がなかった場合は、身体(特に体幹)のコントロール能力に問題がある可能性が高い。
かかとの高い靴を履いたりプレートを踵で踏んだりして踵を上げる、足幅やつま先を極端に大きく開いたスタンスでスクワットを行う、といった小手先のbutt wink対策はあるけど、関節の可動域に問題がなければ、まずは身体のコントロール能力を鍛えるのが良いだろう。良い動きが出来ないのに小手先の対処法で誤魔化しながら負荷を上げていくと、どこかで歪みが出て怪我をしやすくなる。
スクワットの際に身体を適切にコントロールする能力を鍛えるエクササイズ例をいくつか紹介する。
1) デッドバグ
デッドバグは、体幹に力が入る良い姿勢を保ちやすい。床からのフィードバックにより、骨盤のポジションを意識しやすいのもメリット。
デッドバグのやり方
- 仰向けに寝て腹式呼吸で息を深く吐く。ドローインの要領。
- 下腹部の筋肉に力が入り、肋骨が締まる。
- 骨盤はやや後傾し腰の部分も含めて背中全体が床にべったり付く。
- 後頭部も床につける。首の筋肉に変な力を入れず顎を引く。
- 胸が開かないよう(肋骨が広がって上がらないよう)に意識する。胸の開きについては後ほど詳しく説明する。
- 上半身はこの状態を維持しながら、片脚ずつゆっくりと上げ下ろしする。
- 脚を上げ下げするときに骨盤と腰椎が動かないよう意識する。骨盤と腰椎を動かさず、股関節を動かす。骨盤が動き腰椎が反ると、床から腰の部分が浮くので、そうならないよう注意する。
- きつい場合は、脚を伸ばしきらない、靴を脱ぐといった方法で負荷を軽くする。
- 最初は腕を前に出したままにすると胸が開きにくくなりエクササイズを行いやすい。
- 慣れてきたら腕の位置を変えながら行う。腕の位置を変えても胸が開かないように注意する。
https://www.youtube.com/watch?v=rbemelnkHag
体幹を鍛えるには、プランクも良いと思う。
関連記事:プランクのやり方
2) ヒップスラスト
ヒップスラストを行うと臀筋を意識しやすくなる。臀筋がうまく使えないと、股関節と骨盤が同時に動いてしまいがちで、股関節の曲げ伸ばしと同時に腰が丸まったり反ったりしてしまう。腰が丸まらないように意識しすぎて腰が反っている人は特に臀筋に力が入りにくくなっている。
臀筋に力が入ると、大腿骨の前方シフトが抑制され、股関節の屈曲の際に大腿骨と骨盤の衝突が起こりにくくなり、深くしゃがみやすくなる。
ヒップスラストもデッドバグと同じように、骨盤と背骨を動かさず、股関節を動かす。
関連記事:ヒップスラストのやり方
デッドバグもヒップスラストも骨盤の前傾対策になるので、BIG3中心に熱心にウェイトトレーニングを行う人は、これらの種目も併せてやっておくと良いと思う。
関連記事:骨盤の前傾の矯正
3) ゴブレットスクワット
ゴブレットスクワットでスクワット動作をトレーニングする。ゴブレットスクワットは体幹を良い姿勢に保ちやすいし、重りが身体の前にあることで、尻を後ろに下ろしながらしゃがみやすい(前側に持ったダンベルの重さと後ろに出した尻の重さでバランスが取れる)。
腰が丸まらないことを意識しながらゆっくり行う。ボトムでしばらく止まってみたり、ボトム付近で少し上下に動いてみたりすると、ボトム付近での身体コントロールを学びやすい。
動画:Dumbell front squat
https://www.youtube.com/watch?v=vG6xU7Hq4JE
ゴブレットスクワットが上手く出来ない場合は、前段階としてなにかに掴まりながら、後ろに尻を下ろす動作を練習する。
動画:Pole Squat - Primal Blueprint Fitness
https://www.youtube.com/watch?v=slR0Nweib34
★胸が開くとは
肋骨を広げずに締めると体幹が安定しやすい。お腹から深く息を吐いていくと肋骨を締める感覚を得やすい。背中が丸まって猫背にならないよう、胸の中心を上げるイメージを持つと良い姿勢を作りやすいと思う。デッドバグではこの胸が開かず強い負荷に耐えられる体幹の作り方を学ぶ。
胸で息を大きく吸い込んだ状態が、胸が開いた(肋骨が広がって上がった)状態。胸を張るイメージで姿勢を作るとこうなりやすい。同時に腰も反りやすい。体幹が不安定になるので、体幹に強い負荷がかかる種目ではこの姿勢は避ける。
体幹に負荷がかかる種目では、胸を開かないよう注意する。肩周りを使う種目でも胸が開くと肩関節が使いにくくなるので、胸を開かないほうが良い。スクワットでもデッドリフトでもローイングでも懸垂でもショルダープレスでも胸は開かない。胸を開いたほうが良い種目はたぶんベンチプレスだけ。
★バックスクワットは難しい
そもそもストレートバーでのバックスクワットは体幹を良い姿勢に保ちにくく、骨盤周りの筋肉の力が抜けやすい。ショルダープレスと同様に、腕を上げる際に肩関節の可動域が足りないと、胸を開き腰を反ることで腕を目的の位置まで上げることになる。すると、前側の体幹の筋肉や臀筋に力が入りにくくなる。
関連記事:ショルダープレス
また腰が丸まらないことと膝を前に出さないことを意識しすぎて、腰が反り尻が後ろに突き出しているスクワットをやっているケースもある。胸が開いて腰が反っている状態からしゃがんでいくと、体幹の姿勢維持が難しくなることで、深くしゃがむ際に腰が丸まりやすくなる。
あと腰が反っている(骨盤が前傾している)と、内股気味になりやすく、膝を痛めやすい。スクワットでは股関節の内旋の可動性も要求される。内股だとスタート地点から内旋しているため、そこからさらなる内旋の可動域が要求され、深くしゃがむのが困難になる。
ネットで拾った画像にコメントをつけた。たぶんこのフォームだと首も反ってしまっている。首は反らず、顎を引いたほうが良い。
それと膝を前に出さないことに固執して、首のあたりにバーベルを乗せながら腰を後ろに引いて上体を大きく傾けているケースも見る(下図Bのようなやり方)。これは首に負担がかかって危ない。バーベルの重量が上がってくると身体が危険を察知して、上体を大きく傾けて首が危険に晒されるのを防ぐため、深くしゃがめなくなるかもしれない。腰を引いて上体を傾ける場合は、ロウバーのポジションでバーベルを担いだほうが良い。またある程度のバーベルの重さがないと、上体を大きく傾けて頭部を前に出すことで尻の重さと重心のバランスを取ることになる。下図Bのように膝を前に出さないフォームでも、バーベルが重くなれば上体を大きく傾けて頭部を前に出す必要がなくなり、上半身がもう少し起きるようになる。バーベルを担ぐと上手くしゃがめなくなる場合は、バーを担ぐ位置とフォームとバーベルの重さが適合しているか確認すると良いだろう。軽いバーベルで膝を前に出さないバックスクワットをやるのは、重心のバランスの面から難しい。
個人的な考えだけど、ストレートバーでのバックスクワットは、高重量のバーベルを担ぎやすいというのが唯一のメリットで、身体機能の面からいえば何もメリットがない姿勢に思える。もちろんスクワットの動作は下半身のトレーニングとしては素晴らしいが、ストレートバーでのバックスクワットの腕と肩のポジションは体幹の姿勢維持が難しく、肩や肘に無駄な負担がかかる。競技としてスクワットをやる人以外は、buffalo barやyoke barなどが使えるならそういうバーを使ったほうが良いし、ゴブレットスクワットで重量が足りるならゴブレットスクワットをやったほうが良いだろう。とはいっても普通のジムにはストレートバーしか置いていないだろうから、本格的にトレーニングを行いたい人にとってはストレートバーでのバックスクワットは主要種目になる。
ストレートバーでのバックスクワットを行うなら、体幹の姿勢が崩れないよう肩周りの柔軟性も高める必要がある。
関連記事:肩周りのストレッチ
またデッドバグで、バックスクワットの腕の形に近いポジションでエクササイズを行うと、バックスクワット時の体幹コントロールに役立つ。やってみればわかるが、腕を前に出すデッドバグよりも体幹の姿勢の維持が難しい。
◆ベルト
スクワットのフォームがしっかり固まらないうちは、ベルトをしないほうが体幹の姿勢を意識しやすいと思う。
ベルトは接している箇所にある筋肉に力を入れやすくする効果がある。ベルトが接する場所(腹直筋の中部から上部と脊柱起立筋群の腰椎付近)は、体幹に負荷がかかると受動的に自動的に力が入るけど、体幹を固める際に意識して力を入れる筋肉ではない。これらは背骨を曲げ伸ばしする筋肉なので、意識して力を入れると背骨を曲げ伸ばしする力が加わって体幹が不安定になりやすいし、必要以上に力を入れると背骨に無駄に圧縮方向の力が加わる。体幹の安定のために意識して力を入れるなら、下腹部と臀筋が良い。
スクワットやデッドリフトでとにかく高重量を挙げるなら、ベルトで腹回りを固めながら腹圧を高めるのが良いのだろうけど、骨盤と脊椎をコントロールし臀筋をしっかり動員しながらの動作を行いたいならベルトはしないほうがやりやすいと思う。ベルトに頼って高重量を持ち上げると、脚と背中で持ち上げる感じになりやすいので、腰と股関節の付け根(鼠径部付近)を痛めやすいと思う。
まあこの話は多分エビデンスはないし、自分の感覚が根拠でしかない。私はスクワットはベルトは着けず、最近はデッドリフトも90%1RM以下で低ボリュームのトレーニングの時はベルトは着けない。デッドリフトとルーマニアンデッドリフトでトレーニングボリュームを多くする時は、体幹周りの筋肉が先にへたるのでベルトをする。
自分自身の話をすると、運動をしなかった20代は腰を痛めやすくて、ぎっくり腰も2回ほどやった。30代でジムに行くようになったけど、デッドリフトでよく腰を痛めていた。骨盤の前傾対策で、ヒップスラストやデッドバグ、広背筋や股関節屈筋のストレッチなどをやっていたら、腰を痛めることはなくなった。腰が張ることもほとんどないし、身体を機能的に使えている実感がある。熱心に筋トレをしているけど腰に不安があってベルトが手放せないという人は、是非これらのエクササイズをやってみてほしい。
◆運動パフォーマンスの話
座った状態から立ち上がる際に、腰が反って骨盤が前傾しているよりも、骨盤がニュートラルのほうが大腿四頭筋(内側広筋斜頭と外側広筋)の活動が活発になったという研究がある。従ってスクワットの際には、骨盤がニュートラルのほうが大腿四頭筋に力を入れやすいと思われる。
Activation of the vastus medialis oblique and vastus lateralis muscles in asymptomatic subjects during the sit-to-stand procedure
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4395737/
★スクワットの深さ
下の関連記事に書いたが、スクワットではハーフからパラレル付近までしゃがめば筋肥大効果は十分に得られると考えられる。ストレングスの観点では、オリンピックの重量挙げなど、競技の特性上ふかくしゃがまないといけない競技を行っている人は、深くしゃがむスクワットを行う必要があるけど、多くの競技ではそれほど深くしゃがむ必要はないと思われる。深くしゃがむ位置から強い力を出す訓練をしたとしても、たぶんほとんどの競技では深くしゃがんだ状態になった時点で負けなので、その姿勢にならない練習をしたほうが良いだろう。走ったり跳んだりという動作をする時は深くしゃがむ姿勢になったら最高のパフォーマンスは出せないし、ラグビーのようなコンタクトスポーツだったら深くしゃがむ姿勢になったらそのまま潰される。
柔軟性と身体コントロール能力を高め、butt winkが起きない範囲で、可能ならパラレル付近までしゃがむスクワットを行うのは、趣味で筋トレをしている人にとってもアスリートにとってもメリットがあることだと思うけど、特定の競技の選手以外は無理にフルボトムのスクワットを目指さす必要はないと思う。
関連記事:スクワットの深さ
butt winkについて調べていて、いくつか気になる主張があったのでコメントしておく。
★腰椎が伸展ポジションからニュートラルになるbutt winkは良いbutt winkという主張
スタート(直立時)では腰椎が伸展ポジション(骨盤が前傾)になっていて、ボトムでそれがニュートラルになるだけなら問題ないという主張がある。腰椎が屈曲するのは危険だけど、伸展なら安全という理屈。スタートで腰椎を伸展ポジションにするのは、背中へのせん断力に耐えるために脊柱起立筋群を強く収縮させておくのと、バーベルの重さで多少腰椎が動いてもいいようにニュートラルポジションまでのバッファーを作っておく、という理由。
前述したように腰椎が伸展ポジション(骨盤が前傾)なのは身体の安全で効率的な動作にマイナスであり、ニュートラルまでのバッファーであっても高負荷の状況下で腰椎が動くのは怪我リスクを高めるだけであり、また腰椎が伸展している状態(反り腰)で強い負荷をかけるだけでも腰痛の原因になる。腰椎が屈曲している状態で強い負荷をかけると一発で動けなくなる事故的な怪我をしやすいのに対し、腰椎が伸展している状態で繰り返し強い負荷をかけると事故的な怪我はしにくいが長期的で慢性的な痛みにつながりやすい。
あらかじめ腰椎を伸展させておくのは、単に体幹コントロールが出来ていないことを誤魔化すためだろう。体幹をコントロール出来るようし、ニュートラルポジションを維持したほうが良い。
★ニュートラルポジションの許容レンジ
腰椎のニュートラルポジションは単一の点ではなくてレンジであり、このレンジ内なら腰椎が動いても怪我リスクは低いという主張。
ニュートラルポジションはレンジであるという主張は間違っていない。ただ、怪我リスクが低くなるニュートラルポジションのレンジは負荷によって変わる。自重のスクワットなら腰椎がクネクネ動いても怪我リスクは低いだろうが、高重量のバーベルを担いでのスクワットなら安全なニュートラルポジションのレンジは相当狭くなる。
★高重量を挙げているアスリートがやっているからOK
オリンピックリフターやパワーリフターがやっているからOKという主張。彼らの最優先事項は競技パフォーマンスであり、長期的な身体のコンディションではない。また生存バイアスもあり、怪我をして競技から離れた選手は我々の目に入らない。butt wink問題に限らずこの手の主張はよく見かけるけど、アスリートと趣味のトレーニングとでは優先事項が異なるのでナンセンス。
参考サイト:
Should You Wear Olympic Lifting Shoes?
https://ericcressey.com/should-you-wear-olympic-lifting-shoes
Butt Wink Is Not About the Hamstrings
https://deansomerset.com/butt-wink-aout-hamstrings/
What really causes butt wink?
https://www.strengthandconditioningresearch.com/perspectives/buttwink/
Checklist for Determining Movement Dysfunctions and How to Get Over Them
https://deansomerset.com/checklist-determining-movement-dysfunctions-get/
Checklist for Determining Movement Dysfunctions: Part 2
https://deansomerset.com/checklist-determining-movement-dysfunctions-part-2/
How Deep Should I Squat?
https://www.t-nation.com/training/how-deep-should-i-squat
Effect of Knee Position on Hip and Knee Torques During the Barbell Squat
https://pdfs.semanticscholar.org/c375/ff851b69346484952590c2d1185252d7792e.pdf