10/30/2016

骨盤の前傾の矯正

★なぜ骨盤の前傾を扱うのか
トレーニングを継続的におこなっている人に骨盤の傾きの問題がある場合は、大抵は前傾している。一般的なトレーニングプログラムだと前傾を促す筋肉ばかり鍛えてしまう傾向があるし、ベンチプレスやスクワットなど動作中に骨盤の前傾を強調する姿勢になりやすい種目が多い。仮に骨盤が後傾していたら腰椎がフラットになるので、既にデッドリフトやスクワットで腰を痛めてトレーニングを続けていない可能性が高い。


★骨盤につながっていて前傾・後傾に影響を与える主な筋肉

実際の各筋肉の付着部分は筋肉によって異なるけど簡略化のために大雑把な図で



背骨の伸筋: 脊柱起立筋群、(たぶん広背筋も)

背骨の屈筋: 腹直筋、外腹斜筋

股関節の伸筋: ハムストリングス、臀筋群

股関節の屈筋: 腰筋、腸骨筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋


★骨盤の前傾のメカニズム
- 背骨の伸筋と股関節の屈筋が固く縮こまっている
- 背骨の屈筋と股関節の伸筋が弱くて伸びている


★骨盤が前傾していると起こる問題
- 臀筋群が上手く働かず、ハムストリングスと大内転筋に過度の負荷がかかりやすくなる。特にハムストリングスはストレッチされた状態で強い負荷がかかるので怪我をしやすい。
- 腰椎が過度に伸展している。これも腰の怪我リスクを高める。
- 臀筋群が後ろから引っ張らないため、大腿骨が股関節のソケットから前の方にずれてゴリゴリして痛むことがある。前側の腿の付け根が痛くなる場合は、この問題が起きている可能性がある。


★重量と見た目の問題
- 臀筋群がしっかり働いていないので、スクワットやデッドリフトで現状の身体能力に対して重量を最大限に持ち上げられていない。
- 尻の見た目が貧弱。
- 腰椎が過度に伸展している分、内臓が前に押し出され、体脂肪率が低くても下腹部がぽっこり出る。


★骨盤前傾の矯正エクササイズ
アンバランスの矯正の基本的な考え方は、
- 固く縮こまっている筋肉をほぐして伸ばす
- 弱く伸びている筋肉を鍛える

従って骨盤の前傾では、
- 背骨の伸筋と股関節の屈筋をストレッチやフォームローラーなどでほぐして伸ばす
- 背骨の屈筋と股関節の伸筋を筋トレで鍛える

◇伸ばす
股関節の屈筋と大腿四頭筋を静的ストレッチ(大腿直筋は二関節筋)。写真の左側のポーズをやるときは、下の脚の臀筋を収縮させると、その脚の前側にある股関節の屈筋が伸びやすい。写真の右側は特に大腿直筋が伸びるポーズ。フォームローラーでコロコロするのも良い。静的ストレッチとフォームローラーは効果が異なるのでできれば両方やった方が良い。


脊柱起立筋群のストレッチは慎重に。筋トレのデッドバグで骨盤後傾させると自然に伸びるのでそれで十分かも。広背筋もストレッチしておいた方が良いと思う。

梨状筋のストレッチもやった方が良いようだ。

◇筋トレ
・背骨の屈筋の強化

腹直筋と外腹斜筋を鍛える。デッドバグなどで特に下腹部を鍛えると良い。腹直筋の上部を鍛えても骨盤にあまり影響を与えない。骨盤後傾させたプランクも良い。

デッドバグ(dead bug)
腹直筋の下部と外腹斜筋を収縮し、骨盤を後傾し腰椎のアーチをフラットにする。背中全体が床にべたっと付くように。ドローインを同時に行うと骨盤を後傾しやすい。この骨盤と腰椎の姿勢をキープしたままデッドバグの動作を行う。(もちろんこの骨盤と背骨の位置でデッドリフトなどをやってはだめ)


初級編は、片脚を床すれすれに伸ばしてまた元の位置に戻す。強度を上げるには、両腕を同時に動かしたり、脚を上げたり。

 他には片脚を上げてから下ろしたり、両足を上げてから下ろしたり。いずれも骨盤の後傾を維持するように。


・股関節の伸筋(臀筋群とハムストリングス)の強化
グルートハムレイズ、ルーマニアンデッドリフト、プルスルーヒップスラストなど。かかとで踏ん張ると臀筋群に効く。


以上のエクササイズは、骨盤が前傾していない人も筋肉のバランスを取るためにトレーニングプログラムに組み入れた方が良い。


★骨盤の後傾
運動不足の人には骨盤の後傾が見られる場合がある。骨盤の後傾の矯正の仕方は、前傾の矯正で伸ばす筋肉と鍛える筋肉を入れ替えれば良い。メカニズムを理解すれば簡単なので、具体な説明は省略。


★その他
- トレーニングをしている時間以外でも良い姿勢を維持するよう心がける。デスクワークでも座りっぱなしは避け、こまめに立ち上がって伸びをしたりウロウロしたりする。
- 腰筋が弱い場合。片脚もも上げ静止を20秒以上維持できない場合は腰筋が弱いので鍛えたほうが良い。
- トレーニングをしていると一般的に内転筋が強くなっている。スクワットでかなり負荷がかかるし、スモウデッドをやる人はさらに鍛えられている。バランスを取るため、内転筋をストレッチしつつ外転を行う筋肉も鍛えたほうが良い。股関節の外転の鍛え方は、膝の健康の記事を参考に。


参考サイト:
Hips Don't Lie
https://www.t-nation.com/training/hips-dont-lie

Core Training for Smart Folks
https://www.t-nation.com/training/core-training-for-smart-folks

Get Your Butt In Gear! 1
https://www.t-nation.com/training/get-your-butt-in-gear

Get Your Butt In Gear! 2
https://www.t-nation.com/training/get-your-butt-in-gear-2

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