2/04/2025

北米パワーリフターのトレーニング内容および大会前のテーパリング方法の調査研究

(1)Characterizing the Tapering Practices of United States and Canadian Raw Powerlifters
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2021/12002/characterizing_the_tapering_practices_of_united.5.aspx


カナダとアメリカのパワーリフター(ノーギア)の普段の練習内容と、大会前のテーパリング方法をアンケート調査で調べた研究です。テーパリングとは、大会でベストのパフォーマンスを発揮できるように、大会前にトレーニング負荷を減らしてストレスを軽減していくことです。

アンケート期間は不明。2021年の論文なので、アンケート実施は2020年くらいでしょうか。

アンケート結果から、北米パワーリフターの普段のトレーニングでのBIG3の頻度(回/週)を大まかに書くと、

・スクワット 2.0回/週
・ベンチプレス 2.5回/週
・デッドリフト 1.5回/週

今回の研究のアンケート調査対象は北米の選手ですが、おそらく世界的にもこのくらいの頻度が主流だと思います。

世界各国の選手を対象としたアンケート調査でも似たような数字が出ています。
(2)Stretching Practices of International Powerlifting Federation Unequipped Powerlifters
https://www.semanticscholar.org/paper/Stretching-Practices-of-International-Powerlifting-Spence-Helms/3a4aeecdf4600a46f73ffe97c7311fcdfcb3e3d9


ただ、ノルウェーのパワーリフターは特殊で、もっと高頻度で練習しているようです。ノルウェーはパワーリフティングの強豪国で、先日のSheffield2025男子66kg級でとんでもない記録(トータル770kg)を出したKjell Bakkelund選手はノルウェーの選手です。

(3)Contemporary Training Practices of Norwegian Powerlifters.
https://www.semanticscholar.org/paper/Contemporary-Training-Practices-of-Norwegian-Shaw-Andersen/c6ed22f880904c8b043fd9ce45ba514fed478b76





アンケート結果によると、北米のパワーリフターのテーパリングの主流の方法は、

・大会まで残り7-10日くらいからテーパリング開始。
・テーパリングではトレーニングボリュームを約半分に減らす。
・大会まで残り一週間を切ったらトレーニング強度を下げる(75%1RM付近)。

アンケート結果をもとに、北米パワーリフターの一般的な大会前スケジュール例を図に表すと以下のようになります。





大会前1-2ヶ月前に最大ボリュームで、平均2.3週間前に最大強度なので、ボリュームを下げつつ強度を上げるプログラムを実施しているようです。大会前2週間を切ったらテーパー期間に入り、ボリュームを下げて疲労を抜きつつ、大会直前は70-80%1RMのトレーニング日を挟んでストレングスを維持しながら大会に臨んでいます。回復に時間のかかるスクワットとデッドリフトの高強度トレーニングは大会から7日以上間隔を空けますが、ベンチプレスはそこまで間隔を空けていません。

個人差が大きいので、あくまで上の図は一例になりますが、無理のない理に適ったスケジュールです。大会出場を目指す場合は、このスケジュールを叩き台にして自分にあったやり方に調整していくと上手くいきやすいと思います。これは競技レベルの高い(=扱う重量が重たくて回復に時間がかかる)パワーリフターのスケジュールなので、そこまでレベルが高くない場合は、最後の高強度BIG3、最後のBIG3のトレーニング実施日を1-2日、大会に近づけても大丈夫だと思います。

1/05/2025

PEDs使用ボディビルダーと非使用ボディビルダーのトレーニング方法の違い

(1)Self-Reported Training and Supplementation Practices Between Performance-Enhancing Drug-User Bodybuilders Compared with Natural Bodybuilders
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36165879/

競技ボディビルダーにアンケート調査をし、PEDs使用ボディビルダーと、非使用ボディビルダーで、トレーニング方法にどのような違いがあるのかを調べた研究です。おそらく前回の記事と同じデータを使って分析した論文です。

前回記事:競技ボディビルダーのトレーニングを調べた研究

187名がオンラインアンケートに回答。アンケート期間は2018年4月~2020年2月。


使用割合の高いPEDsは、testosterone (85.0%),drostanolone propinate (57.5%), stanozolol (47.5%),trenbolone
acetate (45.0%), boldenone undecylenate (42.5%), oxandrolone(37.5%), clenbuterol (37.5%),nandrolone decanoate (32.5%), methenolone enanthate(20.0%).