4/23/2025

トレーニング中に音楽を聴いた時のパフォーマンス変化


筋トレ中に音楽を聴いた時のパフォーマンス変化を調べた研究の知見をまとめます。


<筋トレ中の音楽の効果>

無音で行った場合に比べて、音楽を聴くとベンチプレスなどの限界レップ数が増えたという研究が多いです(1)(2)(7)。限界レップ数を増やす効果は、確実にありそうです。

挙上速度が上がったとする研究も多いです(1)(2)(3)。

1RMについては、音楽を聴きながらだと握力1RMがアップしたという研究があります(7)(8)。しかし、筋トレ種目については、ベンチプレスの1RMは音楽の有無で変わらなかったという研究しかありません(9)(10)。



<効果の高い音楽の種類>

自分が好きなジャンルで、テンポが速く(120BPM以上)、気分が高揚する雰囲気の音楽が最もパフォーマンス向上効果が高いです(4)(5)(6)。モチベーションの測定でも、好きな音楽を聴くとモチベーションが高くなっています(4)(6)。

テンポが遅くて落ち着いた雰囲気の音楽を聴くとパフォーマンスが低下した研究があります(8)。



<音楽を聴くタイミング>

セット中に音楽を聴き続けてパフォーマンスが向上した研究が多いです。

ウォームアップの時だけ聴いて、セット中は聴かなくてもパフォーマンスが向上した研究もあります(6)。



<音楽がパフォーマンスに影響を与えるメカニズム>

大きく分けて2つのメカニズムが考えられます。

・意識の覚醒、モチベーションのアップ。

・セット中のトレーニングの辛さから意識を逸らせる。


意識の覚醒とモチベーションアップは、ウォームアップのみ聴いて、セット中は聴かなくても効果があります。

セット中のトレーニングの辛さから意識を逸らせる効果については、セット中に聴かないと効果がないでしょう。70%1RM付近より低い強度でのトレーニングで、特にスクワットなど精神的に辛くて心肺に負荷がかかる種目で(5)、レップ数を増やす効果が出やすいと考えられます。ハードな筋肥大トレーニングを行うのに役立ちそうです。

強度が高くなってくると、(特にフリーウェイトは)集中力を高めて繊細に身体をコントロールすることが要求されるので、音楽で気が散ると逆効果になる可能性もあります。個人差があると思いますが、90%1RM以上といった高強度のセットでは、ウォームアップ中だけ聴いてモチベーションを高めるのが良いと思います。



<時間帯による効果の違い>

一般的に、短時間・高強度運動のパフォーマンスが最大化されるのは夕方以降なのですが、ウォームアップ中に音楽を聴くことによるパフォーマンスの上げ幅は、夕方に聴くよりも朝に聴くほうが高い(パフォーマンスの絶対値は夕方のほうが高い)という研究があります(11)(12)。

覚醒レベルが低い状態で聴くと、音楽の効果が出やすいと考えられます。朝早くにトレーニングをする場合は、音楽を聴くことでトレーニングの質を高められるでしょう。



<長期的な効果>

音楽を聴きながらトレーニングした場合の、長期的な適応を調べた研究は無いと思います。



<現実への応用>

覚醒効果をもたらす刺激だとカフェインがあります。カフェインは摂取直後のパフォーマンス向上(筋力、筋持久力)はエビデンスがありますが、長期的に筋肥大・筋力向上をブーストする効果があるという研究は出てきていないと思います。挙上速度がわずかに上がる、という研究はあります(13)。

音楽についても、長期の効果はあまり期待しないほうが良いと思いますが、音楽を聴くことでモチベーションが上がりやすい人は、音楽を聴いたほうが日々のトレーニングの質を上げていけます。質の高いトレーニングを積み重ねていけば、長期的に良い結果を得やすくなります。

また、研究に参加する被験者のほとんどは若い学生なので、エネルギーに満ち溢れていて、大抵の状況で質の高いトレーニングをこなせるでしょう。一方で、私のような疲れた中年の同志諸君は、仕事の後のトレーニングでなかなかやる気が出ないときがあると思います。その場合、気分を上げてトレーニングの質を高めるのに、音楽を聴くのは効果が高いかもしれません。

カフェインと違って副作用がないのは音楽の長所です。カフェインだと、睡眠の質を下げるリスクがあるので、夕方以降のトレーニングでは利用しにくいです



参考文献
(1)Impact of Augmented Feedback and Music During the Bench Press Resistance Exercise: Does Their Combination Compromise Mechanical Performance?
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11808692/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均22.1歳

音楽:エレクトロニックダンスミュージック BPMは120以上 スピーカーで約70dB 無音と比較

種目:ベンチプレス 70%1RM 4セット 20%速度低下でセット停止

結果:レップ数、挙上速度(最速、平均)は、音楽有りのほうが有意に上


(2)Effect of Pre-Exercise Music on Bench Press Power, Velocity, and Repetition Volume
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33722102/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均22.8歳

音楽:セット前に3分間音楽を聴く。セット中は聴かない。

種目:ベンチプレス パワー、挙上速度、限界レップ数@75%1RM

結果:パワー、挙上速度、限界レップ数(音楽有り約14レップ、なし約12レップ)、モチベーションいずれも音楽有りのほうが高かった。


(3)Effects of Respite Music on Repeated Upper-body Resistance Exercise Performance
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9987432/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均20.7歳

音楽:セット間インターバルの2分間だけ自分の選んだ好きな音楽を聴く(120BPM以上) ヘッドフォン 無音と比較

種目:ベンチプレス 75%1RM 3セット 限界レップ数

結果:レップ数は音楽ありと無音で有意差なし。
平均挙上速度は、2,3セットは音楽のほうが速かった。
モチベーションも、2,3セットは音楽のほうが高かった。
RPEは有意差なし。
論文では、レップ数で差が出なかったのは、1セット目が終わってすでに疲れた状態で聞いたから、と考察。
RPEで差が出なかったのは、セット中は聞いていなかったから、と考察。


(4)Effects of Preferred vs. Nonpreferred Music on Resistance Exercise Performance
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30531416/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均20.5歳

音楽:好みのジャンルの音楽(平均127BPM) と 好みでないジャンルの音楽(平均126BPM)

ちなみに、大部分の被験者が好みのジャンルの音楽としてラップ/ヒップホップを選び、好みでないジャンルの音楽としてカントリーミュージックを選んだ。

種目:ベンチプレス 75%1RM 限界レップ数

結果:限界レップ数は好みの音楽が平均10.58レップ、好みでない音楽が平均8.9レップ(有意差有り)
モチベーションと挙上速度についても、好みの音楽のほうが、好みでない音楽よりも高かった。


(5)The influence of music genre on explosive power, repetitions to failure and mood responses during resistance exercise
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1469029217306751

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均22歳

音楽:メタル(平均159BPM)、エレクトロニックダンス(平均128BPM)、自分で選んだ10曲(平均129BPM)
ヘッドフォン ウォームアップからセッション終わるまでずっと

種目:ベンチプレスとスクワット パワー@30%1RM 限界レップ数@60%、70%、80%1RM

結果:パワーについては、効果なし、もしくはわずかにネガティブな効果。
限界レップ数は、ベンチプレス@60%1RMと、スクワット@60%、70%1RMは音楽を聴いたほうが伸びた。どの音楽もそれなりに伸びたが、自分で選んだ音楽が他よりもわずかに伸びた。
ベンチプレス@70%1RM、80%1RM、スクワット@80%1RMは音楽を聴いても伸びなかった。


(6)Effects of Preferred and Non-Preferred Warm-Up Music on Resistance Exercise Performance
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7838790/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均21.6歳

音楽:ウォームアップセット(5レップ@40%1RM→3レップ@60%1RM)のみ音楽を聴く 本番セットでは聴かない
好みの音楽 好みでない音楽を比較
ヘッドフォン使用
ラップ/ヒップホップ、ロック、カントリーミュージック、ポップス、クラシック、オルタナティブの6ジャンルを被験者ごとに好みをランク付けしてもらう。最も好みのジャンルから被験者が好きな曲を選んで→好きな音楽、最も好みでないジャンルから研究者側がランダムに選んで→好みでない。
いずれもBPM120以上

種目:ベンチプレス 75%1RM 限界レップ数

結果:限界レップ数は好きな音楽のほうが多かった。
1セット目 好きな音楽13.5レップ 好きでない音楽11.1レップ
2セット目 好きな音楽9.4レップ 好きでない音楽8.0レップ(グラフと文章の記述が逆、グラフを正しいと判断した)

モチベーションも好きな音楽のほうが高い。
挙上速度とRPEは有意差なし。


(7)Preferred Music Genre Benefits During Strength Tests: Increased Maximal Strength and Strength-Endurance and Reduced Perceived Exertion
https://www.researchgate.net/publication/343554194_Preferred_Music_Genre_Benefits_During_Strength_Tests_Increased_Maximal_Strength_and_Strength-Endurance_and_Reduced_Perceived_Exertion

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均20.0歳

音楽:被験者の好きなジャンルの音楽、被験者の好きではないジャンルの音楽、無音
70dB、平均165±5BPM

種目:握力1RM(ハンドグリップ握力計)、ラットプルダウン限界レップ数@85%1RM

結果:握力1RMは好きなジャンルの音楽を聞いた時が、好きではないジャンルの音楽を聞いた時よりも10%くらい高かった。
ラットプルダウンの限界レップ数は、好きなジャンルの音楽が6.32、好きでないジャンルの音楽が4.48。
RPEは、好きなジャンルの音楽が、好きでないジャンルの音楽よりも低かった。
無音はいずれの項目も、好きでない音楽と同じくらいだった。


(8)Effects of pretest stimulative and
sedative music on grip strength. Perceptual and Motor Skills, 83(3 Pt 2), 1347–1352.
https://doi.org/10.2466/pms.1996.83.3f.1347

被験者:普段から運動をしている若い男女(学生)

音楽:ヘッドフォン使用 刺激的な音楽 落ち着いた音楽 ホワイトノイズ

刺激的な音楽はこの曲
BABY D - Let Me Be Your Fantasy(134BPM)
https://www.youtube.com/watch?v=f17b8m5fniU

落ち着いた音楽はこの曲
Louis Armstrong - We Have All The Time In The World(90BPM)
https://www.youtube.com/watch?v=RMxRDTfzgpU

種目:握力1RM(ハンドグリップ握力計)

結果:
男性 ホワイトノイズに比べて刺激的な音楽は握力+1.5%、落ち着いた音楽は-2.0%
女性 ホワイトノイズに比べて刺激的な音楽は握力+3.0%、落ち着いた音楽は-3.4%


(9)Does Motivational Music Influence Maximal Bench Press Strength and
https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1180389.pdf

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均23.92歳

音楽:自分で選んだモチベーションが上がる音楽をウォームアップから実験終了までイヤホンで(BPM135-140)、無音

種目:ベンチプレス1RM、ベンチプレス限界レップ数@60%1RM

結果:2回測定を行い、音楽グループは、無音と音楽有りを比較。無音グループは、無音と無音を比較。
音楽グループは、音楽を聴いても1RM有意差なし、限界レップ数は有意差ありでわずかに伸びた(+3.9%)
無音は、1RM、限界レップ数ともに有意差なし。



(10)Effects of Self-Selected Music on Maximal Bench Press Strength and Strength Endurance
https://www.researchgate.net/publication/279305465_Effects_of_Self-Selected_Music_on_Maximal_Bench_Press_Strength_and_Strength_Endurance

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均24.7歳

音楽:自分で選んだ音楽、無音

種目:ベンチプレス1RM、ベンチプレス限界レップ数@60%1RM

結果:
2回測定を行い、音楽グループは、無音と音楽有りを比較。無音グループは、無音と無音を比較。
音楽グループは、音楽を聴いても1RM有意差なし、限界レップ数は有意差ありでわずかに伸びた(+5.8%)
無音は、1RM、限界レップ数ともに有意差なし。



(11)Time-of-Day Effects on Short-Duration Maximal Exercise Performance
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7289891/



(12)Listening to neutral or self-selected motivational music during warm-up to improve short-term maximal performance in soccer players: Effect of time of day
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30817975/


(13)Pre-exercise Caffeine Intake Enhances Bench Press Strength Training Adaptations
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33575270/
カフェイン長期研究。1RM変化はカフェインなしと有意差なし(同じくらい向上)。挙上速度はカフェインのほうが向上する傾向。




4/06/2025

炭水化物(糖質)コスパ比較

お米の価格が高騰している昨今、食費を気にする方も多いと思います。今回は、炭水化物(糖質)目的で摂取する各食品のコストパフォーマンスを比較してみたいと思います。業務用スーパーなどだともっと安く購入できるケースもあるかもしれませんが、居住地による価格差が出ないように、お米と食パン以外はネットで買える商品の価格で計算しています。価格はすべて税込みで、定期お得便ではない価格です。

先に、計算結果の一覧表を載せておきます。食パンについては、枚数、一枚あたりの価格、一枚あたりの糖質量で計算しています。


例えば、お米からパスタ、食パン、うどん中心の食事に切り替えて、糖質1gあたり0.5円節約した場合、一日あたり糖質を400g摂取する人だと200円/日の節約で、一年間だと7.3万円の節約になります。

3/30/2025

チーティングとストリクトの筋肥大効果を比較した研究

Do cheaters prosper? Effect of externally supplied momentum during resistance training on measures of upper body muscle hypertrophy
https://www.researchgate.net/publication/387411261_Do_cheaters_prosper_Effect_of_externally_supplied_momentum_during_resistance_training_on_measures_of_upper_body_muscle_hypertrophy?ck_subscriber_id=699589358

stronger by scienceのメルマガで紹介されていた研究です。

チーティングは、ターゲットの筋肉以外を使い、勢いや反動をつけて筋トレをするテクニックです。ストリクトは、できるだけターゲットの筋肉のみを使い、勢いや反動を使わずに筋トレをするテクニックです。

この研究では、チーティングとストリクトの筋肥大効果を比較しています。

3/02/2025

代謝ストレスによる筋肥大効果はあるのか

筋肥大をもたらす刺激には大きく分けて、「メカニカル(力学的)な負荷」「筋肉のダメージ」「代謝ストレス」の3つがあるというのが現在の主流の考えです。

関連記事:筋肥大をもたらす刺激(2019年版)

ただ、70-80%1RMの普通の筋トレに血流制限(BFR)で代謝ストレスを上乗せしても、筋肥大効果が増大するわけではないという研究がいくつか出ているので、今回の記事ではそれを紹介します。

基礎知識として、血流制限トレーニングは、腕や脚の付け根を圧迫して血液の流れを制限し、筋肉を酸欠状態にしてトレーニングする方法です。一般的には、20%1RMや30%1RMといった低強度で血流制限トレーニングが行われ、低強度・低ボリュームでも普通の筋トレと同等に筋肥大することが示されています。(血流制限をすると限界レップ数が低下するので、血流制限なしの低強度トレーニングよりも筋肥大に必要なボリュームは少なくなる。血流制限なしの低強度トレーニングも、限界までやれば普通の筋トレと同等に筋肥大するが、限界までのレップ数が多い)

2/04/2025

北米パワーリフターのトレーニング内容および大会前のテーパリング方法の調査研究

(1)Characterizing the Tapering Practices of United States and Canadian Raw Powerlifters
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2021/12002/characterizing_the_tapering_practices_of_united.5.aspx


カナダとアメリカのパワーリフター(ノーギア)の普段の練習内容と、大会前のテーパリング方法をアンケート調査で調べた研究です。テーパリングとは、大会でベストのパフォーマンスを発揮できるように、大会前にトレーニング負荷を減らしてストレスを軽減していくことです。

アンケート期間は不明。2021年の論文なので、アンケート実施は2020年くらいでしょうか。

アンケート結果から、北米パワーリフターの普段のトレーニングでのBIG3の頻度(回/週)を大まかに書くと、

・スクワット 2.0回/週
・ベンチプレス 2.5回/週
・デッドリフト 1.5回/週

今回の研究のアンケート調査対象は北米の選手ですが、おそらく世界的にもこのくらいの頻度が主流だと思います。

世界各国の選手を対象としたアンケート調査でも似たような数字が出ています。
(2)Stretching Practices of International Powerlifting Federation Unequipped Powerlifters
https://www.semanticscholar.org/paper/Stretching-Practices-of-International-Powerlifting-Spence-Helms/3a4aeecdf4600a46f73ffe97c7311fcdfcb3e3d9


ただ、ノルウェーのパワーリフターは特殊で、もっと高頻度で練習しているようです。ノルウェーはパワーリフティングの強豪国で、先日のSheffield2025男子66kg級でとんでもない記録(トータル770kg)を出したKjell Bakkelund選手はノルウェーの選手です。

(3)Contemporary Training Practices of Norwegian Powerlifters.
https://www.semanticscholar.org/paper/Contemporary-Training-Practices-of-Norwegian-Shaw-Andersen/c6ed22f880904c8b043fd9ce45ba514fed478b76





アンケート結果によると、北米のパワーリフターのテーパリングの主流の方法は、

・大会まで残り7-10日くらいからテーパリング開始。
・テーパリングではトレーニングボリュームを約半分に減らす。
・大会まで残り一週間を切ったらトレーニング強度を下げる(75%1RM付近)。

アンケート結果をもとに、北米パワーリフターの一般的な大会前スケジュール例を図に表すと以下のようになります。





大会前1-2ヶ月前に最大ボリュームで、平均2.3週間前に最大強度なので、ボリュームを下げつつ強度を上げるプログラムを実施しているようです。大会前2週間を切ったらテーパー期間に入り、ボリュームを下げて疲労を抜きつつ、大会直前は70-80%1RMのトレーニング日を挟んでストレングスを維持しながら大会に臨んでいます。回復に時間のかかるスクワットとデッドリフトの高強度トレーニングは大会から7日以上間隔を空けますが、ベンチプレスはそこまで間隔を空けていません。

個人差が大きいので、あくまで上の図は一例になりますが、無理のない理に適ったスケジュールです。大会出場を目指す場合は、このスケジュールを叩き台にして自分にあったやり方に調整していくと上手くいきやすいと思います。これは競技レベルの高い(=扱う重量が重たくて回復に時間がかかる)パワーリフターのスケジュールなので、そこまでレベルが高くない場合は、最後の高強度BIG3、最後のBIG3のトレーニング実施日を1-2日、大会に近づけても大丈夫だと思います。

1/05/2025

PEDs使用ボディビルダーと非使用ボディビルダーのトレーニング方法の違い

(1)Self-Reported Training and Supplementation Practices Between Performance-Enhancing Drug-User Bodybuilders Compared with Natural Bodybuilders
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36165879/

競技ボディビルダーにアンケート調査をし、PEDs使用ボディビルダーと、非使用ボディビルダーで、トレーニング方法にどのような違いがあるのかを調べた研究です。おそらく前回の記事と同じデータを使って分析した論文です。

前回記事:競技ボディビルダーのトレーニングを調べた研究

187名がオンラインアンケートに回答。アンケート期間は2018年4月~2020年2月。


使用割合の高いPEDsは、testosterone (85.0%),drostanolone propinate (57.5%), stanozolol (47.5%),trenbolone
acetate (45.0%), boldenone undecylenate (42.5%), oxandrolone(37.5%), clenbuterol (37.5%),nandrolone decanoate (32.5%), methenolone enanthate(20.0%).