6/30/2023
追い込み度の違いによる筋力向上と筋肥大効果への影響(2023年版)
新しい研究が増えてきて、それを分析したメタアナリシスも出てきたので、内容をアップデートしていきます。
大まかな結論を先に書くと、
・筋力向上については追い込むメリットはあまり無さそう。
・筋肥大については、追い込んだほうが効果が高そう。
筋力向上については、「トレーニングの強度(%1RM)が重要で、追い込むメリットはあまり無さそう」で、これまでと同じ認識です。
筋肥大については、「ボリュームを揃えれば限界までやってもあまり変わりないだろう」から、「限界までやったほうが効果が高くなりそう」という認識にシフトしました。
ただ、筋肥大のためには追い込めば追い込むほど良いかというと、現実の運用では疲労コストや怪我リスク、精神的な辛さによるトレーニングの継続性といった問題があるので、ケースバイケースになります。これについては後ほど、細かく条件分けして書いていきます。
6/16/2023
週150分以上の筋トレで死亡リスクが高まるという研究
週に2時間半以上の筋トレは危険?
https://www.yomiuri.co.jp/column/naruhodo/20220617-OYT8T50014/
(1)Muscle-strengthening
activities are associated with lower risk and mortality in major
non-communicable diseases: a systematic review and meta-analysis of
cohort studies
https://bjsm.bmj.com/content/56/13/755
このメタアナリシス研究では、週の筋トレ時間が30-60分程度だと、何もしないのと比較して死亡リスクや疾患リスクが下がるけど、筋トレ時間が週150分を超えるくらいから、何もしないよりも死亡リスクが高くなるという結果になっています。(グラフは横軸が週の筋トレ時間、縦軸が筋トレ時間ゼロに対しての相対リスク)
これを最初に見た感想は、「え?たった週150分の筋トレでアウトなの? ある程度まじめにトレーニングすると余裕で超えてしまう」でした。
しかし、よく考えてみると、全く何も運動しないのに比べて、50分×3日の筋トレのほうが健康に害があるとは、直感的に信じにくい。トップビルダーみたいに歯を食いしばりながら2時間×週6日とかなら健康に悪くても仕方がないかなと思いますが、週150分程度の筋トレなら感覚的には健康に良さそうに思えます。そもそも筋トレといっても、HIITやタバタプロトコル、自重、バーベル、ダンベル、マシントレーニングなど様々ですし、普通のジムに通う多くの人はそれほど激しい筋トレはしていません。
このメタアナリシスだけでは、年齢や筋トレ以外の運動など他の条件がまったく不明なので、解析対象になっている研究を個別に見ていくことにしました。
長くなるので結論を先に書きますと、
・週150分以上の筋トレで死亡リスクが上がるのは、おそらく高齢者が長時間の有酸素運動と合わせて行った場合。トータルの運動量が多さが要因と考えられる。
・若い人や中年の人は、筋トレ時間は気にしなくていい(常識の範囲内で)。
・一部のデータは、喫煙者が高ボリュームの運動をすると死亡リスクが高まることを示している。
6/01/2023
肘のコンディショニング
ゆっくり回内・回外を行う
上腕三頭筋の腱の付着点付近を指で押さえて上腕三頭筋に力が入らないようにし、同時に上腕を固定して、前腕の回内・回外をゆっくり行います。腕全体を脱力しながら行うのがポイントです。
この方法は、CARSのテクニックを利用しています。CARSは、関節をアイソレートして、代償動作なしに可動域いっぱいに動かす手法です(代償動作とは、本来の動作が困難なため、違った動作で目的を達成したり、本来使うべきでない筋肉を使って動作を行うことです)。CARSを行うことで、その関節を動かすのに本来使われるべきでない筋肉を動作から切り離したり、関節の動きを滑らかにして可動域を維持することが期待されます。
参考サイト:CARS Controlled Articular Rotations
5/26/2023
食後や筋トレ時の胸焼け
まずなぜ胸焼けになるかというと、強力な酸である胃酸や胃の内容物が食道に逆流して、食道粘膜で炎症を起こすからです。これを逆流性食道炎を呼びます。
逆流を防ぐための弁(下部食道括約筋)が緩んだり、強い腹圧がかかって胃が圧迫されたりすることで、逆流が起こります。また胃酸が過剰に分泌されることも、逆流性食道炎の原因になります。
5/10/2023
効かせるベンチプレスとデッドリフトで関節を壊した実例
まずはベンチプレスから。
こちらは、2021年7月の動画でベンチプレスで肩痛が発生した時のものです。大胸筋に効かせるフォームでのベンチプレスです
動画:【筋トレ】ベンチプレスで肩痛!ダンベル種目に変更した減量中の胸のトレーニング&トレ後の減量食【解説付】
https://www.youtube.com/watch?v=0u-Xo_mLIEw
下は2022年10月の動画です。腱板断裂とのことで、このあと手術を受けていました。上の動画だと右肩を痛めていましたが、腱板断裂したのは左肩とのことです。両肩ともだいぶ消耗していると思います。
動画:【ご報告】左肩の腱板が断裂してました。原因や症状、治療やトレーニングの計画などについて
https://www.youtube.com/watch?v=BQAgbHTLUjg
5/04/2023
ゲーム実況のノリでストロングマンを見るロニー・コールマン
とても楽しそう
Ronnie Coleman REACTS to Brian Shaw's CRAZY Strongman Lifts
https://www.youtube.com/watch?v=TjDbpu4CTPE
4/19/2023
ベンチプレスのグリップでは人差し指は頑張らない理論
ここで目指すベンチプレスは、怪我をしにくいフォーム、パワーリフティング寄りのフォームです。筋肥大のためのベンチプレスではなくて、ベンチプレスのためのベンチプレスのフォームです。
下の画像のように、人差し指を中指・薬指と揃えて深く握ると、負荷が「拇指球→橈骨」にかかりやすいです。
この位置に乗せるデメリットはいくつもあって、
・拇指球のあたりの関節や、手首を痛めやすい。
・拇指球の出っ張りがあるため、小指側の掌底に乗せるよりも高い位置に乗せる必要がある。そのため、バーを胸に付けるには、より深く肘を降ろさないといけない。
・上腕三頭筋を使いにくい。上腕三頭筋の腱が付着しているのは尺骨なので、橈骨側に負荷を乗せると上腕三頭筋を使いにくい。
・肘を絞りにくい。ベンチプレスで怪我をしにくいフォームでは、上腕骨を外旋させて肘を絞る動作が必須なのですが、人差し指を深く握り込むとこの動作をやりにくくなります。
・握り込むことで、肘を痛めやすい(上腕骨内側上顆炎)。
ベンチプレスが厄介なのは、本能的に大胸筋に力を入れやすいのは、人差し指を深く握り込み、橈骨に負荷を乗せるフォームなこと。意識して訓練しないと、人類はほぼこのフォームになります。
4/14/2023
大谷翔平選手のスクワットとデッドリフトを褒め称える記事
動画:メジャーリーガー大谷翔平の筋トレ
https://www.youtube.com/shorts/EgX4fJETlsk
動画:デッドリフト225㎏を上げる大谷翔平
https://www.youtube.com/shorts/2BHj8t6Ml5Q
4/05/2023
高身長は筋肉競技では不利なのか?
動画:高身長トレーニー、聞け【筋トレ与太話#6】
https://www.youtube.com/watch?v=b_gG1QN4Vls
動画の内容を要約すると、
・高身長は、腕・脚がが長いので太くするのが難しくバルクを出すのが大変。
・高身長だと、挙上距離が長いので仕事量が大きく、関節にかかるトルクも大きくなるので、回復面や怪我リスクの面で大変。
・パワーリフティングだと、同階級なら低身長のほうがベンチプレスでワイドで持てたりして挙上距離が短いので有利。
ボディビルやパワーリフティングといった筋肉競技で、高身長が不利かというと、身長自体での不利はそこまで無いです。
高身長だと不利になりやすいのは事実なのですが、高身長自体によるものと、高身長に付随しやすい要因によるものとがあります。それは・・・
骨量はトレーニングで増やせる筋肉量の上限に影響を与えますし、骨の太さや長さは発揮できる筋力に影響を与えます。
身長に見合った骨量・骨格を持つことが高身長だとなかなか難しいのが、筋肉競技で高身長が不利だと感じることが多い主な要因です。
3/11/2023
トレーニングプログラムのレビューまとめ
これまでレビューしたプログラムをまとめました。おすすめできる質の高いプログラムばかりです。
レビューはBoostcampアプリから良さそうなのをピックアップしています。2023年3月時点で、アプリでカテゴリの設定をpowerlifting、powerbuildingにして、表示されるプログラムが対象になっています。他にプログラムレビューのリクエストがあればコメント欄にお願いします。
関連記事:トレーニングプログラムのアプリの紹介(boostcamp)
おすすめしにくい内容のものや、ボディビル寄りの内容でバーベル種目が軸ではないもの、プログラムではなくて単なる種目の分割方法といったものはレビュー対象から外しています。
これらのプログラムをそのまま使うだけでも良いのですが、様々な人が作った様々なプログラムを読んでいくことは、プログラムを理解し作成する能力を向上させます。勉強で言えば、演習問題を解いてレベルアップしていくようなものですね。お供のテキストにはぜひ拙著をお使いください(宣伝)。
関連記事:電子書籍「BIG3を軸としたトレーニングプログラムの考え方」リリース!