12/21/2024
競技ボディビルダーのトレーニングを調べた研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33651737/
235人の競技ボディビルダーにアンケート調査し、そのデータをまとめた研究です。
アンケート回答期間は、2018年4月~2020年2月。
アンケート回答者のデータ
性別:全員男性
平均年齢:26歳
平均身長:177cm
平均体重:88kg
回答者235名中、165名がナチュラルの大会に参加。
大部分の回答者がアマチュア競技者。13名がプロの競技者(うち2名がナチュラル大会の競技者)
12/01/2024
ドロップセットの研究
https://journal.iusca.org/index.php/Journal/article/view/135/226
この論文はドロップセットのメタアナリシスで、普通の筋トレとドロップセットの効果を比較しています。普通の筋トレとドロップセットは、例えば以下のような方法を指します。
・普通の筋トレ:10レップ→3分休憩→10レップ→3分休憩→10レップ
・ドロップセット:10レップ→重量を下げてすぐさま5レップ→再び重量を下げてすぐさま5レップ→再び重量を下げてすぐさま5レップ
メタアナリシスでは、筋力と筋肥大について、普通の筋トレとドロップセットは同等の効果で、ドロップセットはセットの組み方によってはトレーニング時間を大幅に短縮することができる、という結論になっています。
メタアナリシスの中身を見ると、解析対象の研究が5つしかありません。ドロップセットの追加セット数や重量設定も研究によってまちまちです。より深くドロップセットの効果を調べるため、個別の研究を見て、実際の運用方法を考察していきたいと思います。
11/15/2024
「レップ数×セット数」と「sets x reps」
日本語のメニュー表記だと、一般的には「レップ数×セット数」
英語のメニュー表記だと、一般的には「sets x reps」
英語のメニューを読むときに、例えば「3x5@RPE8」というように、どの数字がセット数なのか書かれてないと私は混乱するのですが、小2の娘の学校公開(授業参観)の算数の授業で、式の順序を重視した掛け算を習っているのを見て気づきました。トレーニングのメニュー表記の言語による違いは、掛け算の順序の言語による違いと同じだなと。
例えば、B個で一まとまりのグループが、Aグループ数あったとすると、
日本語だと、(掛けられる数)×(掛ける数)なので、B×A(BかけるA)。
引用元(Wikipedia):かけ算の順序問題
英語だと、(掛ける数)×(掛けられる数)なので、A×B(A times B)。
参考サイト:3×4か4×3か
10/31/2024
筋トレの有酸素運動的な効果
例えば、HIITやサーキットトレーニングなどの全身を使った高強度の有酸素運動は、筋肥大もする可能性がありますし、高レップ・短インターバルで息がゼーゼーするような筋トレはインターバルトレーニングに近くなり有酸素性能力が上がる可能性があります。
10/02/2024
運動をすると認知機能がアップするという研究
「高齢化社会が進み、高齢者の認知機能の低下は社会的に大きな問題になっている。運動は、身体の健康面にプラスの効果があることは多くの研究で示されているが、認知機能の面でも効果があるなら、高齢化社会への効果的な処方箋となるだろう」といった感じの研究が多いです。
それと、学齢期(5歳~18歳)の子供・青少年の認知機能・学業・メンタルヘルスにも運動が効果的という研究が出てきているので紹介します(自分に学齢期の子供がいるので興味がある)。
20代~50代くらいの人の認知機能をアップさせる効果があるのかは、研究が乏しいため不明です。
9/13/2024
筋トレのウォームアップセットの強度設定についての研究
低強度と高強度のウォームアップセットでは、どちらがメインセットのパフォーマンスが上がるのかを比較した研究を見ていきます。(stronger by scienceのメルマガにあったネタです)
(1)High-load and low-volume warm-up increases performance in a resistance training session
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1360859224004017
被験者:若い男性 トレーニング経験有り
種目:ベンチプレス、インクラインレッグプレス、ワイドグリップラットプルダウン
ウォームアップの種類
(a)15レップ×1@40%10RM(10RMの重量の40%の重量で15レップ)
(b)10レップ×1@60%10RM(10RMの重量の60%の重量で10レップ)
(c)5レップ×1@80%10RM(10RMの重量の80%の重量で5レップ)
手順:ウォームアップ→2分休憩→測定
測定:10RMの重量で限界まで行う 2分インターバルで3セット トータルボリュームを測定
<結果>
合計ボリューム(総レップ数×重量)は、5レップ×1@80%10RMのウォームアップが最も大きかった。
8/31/2024
電子書籍「図解デッドリフト」リリース!
デッドリフトについて、詳細に解説した本を書きました。
Amazonの販売サイト→図解デッドリフト Kindle版
デッドリフトへの愛を詰め込んだ結果、290ページくらいになりました。
今回は図を多く入れたかったので、固定レイアウトで作っています。ファイル一覧だとこんな感じです。
スマホで読むのを前提としているので、タブレットやパソコンだと図や字が大きく感じるかもしれません。
念入りにチェックはしましたが、表示が変になるなどの問題がありましたら、コメント欄で教えていただけると助かります。
内容は、以下のようになっています。
目次詳細(クリックで展開)
第1章 デッドリフトとはなにか
1-1 デッドリフトとは
1-2 デッドリフトは難しいか
1-3 実はそれほど難しくない
1-4 基本はコンベンショナル
1-5 床引きすべきか
1-6 デッドリフトに関わる関節・部位
1-7 動かすところ、動かさないところ
1-8 デッドリフトで最も重要なこと
1-9 スクワットとデッドリフトの違い
1-9-1 SSCの有無
1-9-2 動作イメージ
1-9-3 使われる筋肉
1-9-4 フォームは様々
第2章 姿勢
2-1 初心者のうちに身に着けたいこと
2-2 背骨ニュートラルは非常に大事
2-3 姿勢の個人差
2-4 姿勢パターン
2-4-1 良い姿勢
2-4-2 猫背&反り腰
2-4-3 背中全体が反り
2-4-4 背中全体が曲がり
2-4-5 スウェイバック
2-5 姿勢パターンを積み木で例えると
2-6 部位の分解
2-7 首周り
2-7-1 頚椎が曲がり(反りが失われてる)
2-7-2 頚椎が過度に反り
2-8 肩と胸周り
2-8-1 胸椎が過度に曲がり(猫背)
2-8-2 胸椎が反り
2-9 腹と腰回り(腰椎)
2-9-1 腰椎が曲がり
2-9-2 腰椎が反り
2-10 尻周り
2-10-1 骨盤が前傾
2-10-2 骨盤が後傾
2-11 ニュートラルの姿勢の見つけかた
2-12 イス軸法による脱力
2-13 姿勢を少しずつ改善していく
第3章 腹圧
3-1 初心者のうちに身に着けたいこと
3-2 腹圧とは
3-3 呼吸と腹圧
3-4 腹圧に関わる筋肉
3-5 多裂筋と骨盤底筋群
3-6 横隔膜
3-7 腹横筋
3-8 インナーまとめ
3-9 インナーのコントロール
3-10 アウターの筋肉
3-12 体幹が固まる仕組みその1
3-13 体幹が固まる仕組みその2
3-14 腹圧の使い分け(強い負荷)
3-15 腹圧の使い分け(弱い負荷)
3-16 腹圧と姿勢
3-17 腹圧をかけて体幹を固める練習
3-17-1 All Fours Belly Lift
3-17-2 90/90 Hip Lift
3-17-3 腹圧を高める練習
3-17-4 デッドバグ
3-17-5 ベアクロール
第4章 ヒップヒンジ
4-1 初心者のうちに身に着けたいこと
4-2 ヒップヒンジに必要なストレッチ
4-2-1 尻のストレッチ
4-2-2 ハムストリングスのストレッチ
4-2-3 スパイダーストレッチ
4-2-4 大腿直筋のケア
4-2-5 ストレッチのタイミング
4-3 ヒップヒンジの練習
4-3-1 尻の筋肉に力を入れる練習
4-3-2 背骨と股関節の動きを分離する
4-3-3 ヒップヒンジの基本練習
4-3-4 ヒップヒンジのコツ
4-3-5 尻を突き出して腰を反らない
4-3-6 イスやベンチを利用した練習
4-4 ルーマニアンデッドリフトの練習
4-5 徐々に重量を増やす
第5章 デッドリフトの基本技術
5-1 基本技術のチェックポイント
5-2 バーを握る位置
5-3 バーの握り方
5-4 基本はダブルオーバーハンド
5-5 素手で高重量
5-5-1 オルタネイトグリップ
5-5-2 フックグリップ
5-6 バーに対して立つ位置
5-7 足幅
5-8 つま先の向き
5-10 グリップの手幅
5-11 背中の姿勢
5-12 目線
5-13 首
5-14 足裏の重心位置
5-15 バーの軌道
5-16 肩甲骨の位置
5-17 肩甲骨とバーの相対的な位置
5-18 肩甲骨を固定する感覚を掴む
5-19 肩関節(外旋か内旋か)
5-20 バーの引き付け
5-21 挙上開始時の尻の位置
5-22 呼吸のタイミング
第6章 5つのフェーズ
6-1 フェーズ分解
6-2 セットアップ
6-2-1 荷物を持ち上げるイメージではない
6-2-2 セットアップ前のスタンス決め小技
6-2-3 息を吸い込む
6-2-4 息を吸うタイミング
6-2-5 息を吸うタイミング ①立っている時
6-2-6 息を吸うタイミング ②バーを握って
6-2-7 緩みを取る
6-2-8 緩みの取り方
6-2-9 緩みの取り方 ①トップダウン
6-2-10 緩みの取り方 ②ボトムアップ
6-2-11 広背筋を固める
6-2-12 腹圧を大きく高める
6-3 踏み込み
6-3-1 踏み込みのやり方
6-3-2 壁を作る
6-3-3 大腿四頭筋の役割
6-3-4 踏み込みの失敗例 ①ぶっこ抜き型
6-3-5 踏み込みの失敗例 ②スクワット型
6-4 上半身を起こす
6-4-1 上半身の起こしで意識するポイント
6-4-2 踏み込みと上半身の起こしの寄与
6-5 ロックアウト
6-5-1 ロケット打ち上げに例えると
6-5-2 ロックアウトの失敗
6-6 下ろし
第7章 チューニング
7-1 フォームのチューニング
7-2 実質的な腕の長さを伸ばす
7-2-1 腕を伸ばすメリットとデメリット
7-2-2 僧帽筋上部の脱力
7-2-3 肘と手首を伸ばす
7-2-4 背中を反らない
7-2-5 胸椎上部をニュートラルより丸める
7-2-6 肩甲骨を外転する
7-2-7 肩関節を内旋する
7-2-8 バーを下に置いてくるイメージ
7-3 セットアップ・踏み込みルーティーン
7-3-1 尻を上げて勢いをつける
7-3-2 テンションをかけながら尻を上げる
7-3-3 一旦踏み込んで緩みを取る
7-3-4 後ろに身体を投げ出す
7-4-5 バーを握ってすぐに踏み込む
7-4 骨格バランス別のフォーム
7-4-1 骨格バランスの判断
7-4-2 標準タイプ
7-4-4 腕だけ短いタイプ
7-4-5 脚と腕が短いタイプ
7-4-6 高身長
7-5 股関節の個人差
7-5-1 股関節の外旋・内旋
7-5-2 外旋・内旋適性の判定方法
7-5-3 つま先の開きと膝の向きの調整
7-5-4 スモウデッドリフトの向き・不向き
7-6 トップ選手のフォームを見て学ぶ
第8章 デッドリフトバリエーション
8-1 スモウデッドリフト
8-1-1 スモウのスタンス
8-1-2 スモウとコンベンショナルの主な違い
8-1-3 スモウの身体への負荷
8-2 ルーマニアンデッドリフト(RDL)
8-3 タッチアンドゴー
8-4 ポーズドデッドリフト
8-5 デフィシットデッドリフト
8-6 スティフレッグデッドリフト
8-7 ラックプル/ブロックプル
8-8 テンポ/スローエキセントリック
8-9 ワイドグリップ
8-10 コンベンショナル⇔スモウ
8-11 トラップバー(ヘックスバー)
第9章 補助種目
9-1 補助種目の分類
9-2 グリップ
9-2-1 特異的なグリップトレーニング
9-2-2 握り込む動作のトレーニング
9-3 膝の伸展
9-4 股関節の伸展
9-4-1 踏みこみの補助種目
9-4-1-1 ボックススクワット
9-4-1-2 ポーズド・ハイバースクワット
9-4-1-3 トラップバーデッドリフト
9-4-1-4 ブルガリアンスクワット
9-4-2 上半身の起こしの補助種目
9-4-2-1 RDL
9-4-2-2 スティフレッグデッドリフト
9-4-2-3 ダンベルBスタンスRDL
9-4-2-4 加重バックエクステンション
9-4-2-5 股関節主体のロウバースクワット
9-4-3 尻のはめ込みの補助種目
9-4-3-1 ヒップスラスト
9-5 体幹を固める
9-5-1 体幹前側の補助種目
9-5-1-1 プランク
9-5-1-2 デッドバグ
9-5-1-3 ベアクロール
9-5-2 体幹後ろ側の補助種目
9-6 腕を引き付ける
9-6-1 ヘソへ引く補助種目
9-6-1-1 ベントオーバーロウ
9-6-1-2 ペンドレイロウ
9-6-1-3 シーテッドロウ(ナローグリップ)
9-6-1-4 ワンハンドロウ
9-6-1-5 懸垂・ラットプルダウン
9-6-2 胸へ引く補助種目
9-6-2-1チェストサポーテッドロウ
9-6-2-2シーテッドロウ(ワイドグリップ)
9-6-2-3 インバーテッドロウ
9-6-3 頭上へ引く補助種目
第10章 メニュー・プログラム
10-1 用語説明
10-2 デッドリフトの変数設定
10-3 1レップのセット
10-4 バリエーション種目の変数設定
10-5 アイソレート種目の変数設定
10-6 デッドリフト系トレーニングの頻度
10-7 効かせる・効かせない
10-8 スクワットとの兼ね合い(ボリューム)
10-9 スクワットとの兼ね合い(疲労管理)
10-10 スクワットと同じ日にやるかどうか
10-11 メニュー例(熱心な初心者向け)
10-12 メニュー例(中級者向け)
10-13 プログラム例(中級者向け)
10-14 骨格バランス別のトレーニング方針
10-14-1 標準タイプ
10-14-2 腕長・脚長タイプ
10-14-3 腕だけ短いタイプ
10-14-4 脚と腕が短いタイプ
10-14-5 高身長
第11章 トレーニングの継続
11-1 継続は力なり
11-2 食事と睡眠
11-3 フォーム
11-4 腰痛対策
11-4-1 事故的な急性の腰痛
11-4-2 慢性的な腰痛
11-4-3 腰痛の予防方法
11-5 ウォームアップ
11-6 コンディションを整える
11-6-1 背中の張りを取る
11-6-2 背面全体をマッサージガンで緩める
11-6-3 尻をほぐす
11-6-4 広背筋を伸ばす
11-6-5 背骨を動かす
11-6-6 股関節のストレッチ
11-6-7 股関節の外転・外旋を鍛える
11-6-8 左右差の対策
11-7 試行錯誤と身体感覚
第12章 トレーニングアイテム
12-1 靴
12-2 トレーニングベルト
12-3 リストストラップ・パワーグリップ
12-4 スネガード
付録
選手名当てクイズの答え
自著の紹介
8/11/2024
デッドリフトで腕を長く使うメリットとデメリット
実質的な腕の長さを伸ばせるポイントはいくつかあります。
まず、デメリットがなく、全てのフォームの人がやったほうが良いのは、以下の3つです。
1.僧帽筋上部を脱力して肩を下げる
2.背中を反らない
3.肘と手首を伸ばす
7/28/2024
股関節が内旋型の人はスモウデッドリフトをやらないほうがいいと思う
https://www.youtube.com/watch?v=Lnosji3tRgU
Prescillia Bavoil選手がスモウデッドリフトを試して股関節を痛めて、そこから怪我を治して復帰するまでの経緯を収めた動画です。
この選手は、スクワットもデッドリフトもスタンスが狭くて膝が前向きで、特徴的なフォームです。股関節が内旋型なのでしょう。
7/12/2024
ブリッジとベタ寝を比較した研究(ベンチプレス)
Flat-Back vs. Arched-Back Bench Press: Examining the Different Techniques Performed by Power Athletes
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/9900/flat_back_vs__arched_back_bench_press__examining.422.aspx
<研究内容>
被験者:15名(男性13名、女性2名) 平均年齢29歳 体重87.5kg 身長176.8cm 10名がパワーリフター 3名がウェイトリフター 2名が投擲競技の選手 ベンチプレス平均1RMはベタ寝で体重の1.38倍
フォーム:被験者がそれぞれブリッジを組んでベンチプレスをした場合(アーチ)と、ベタ寝でベンチプレスをした場合(フラットバック)の、1RM、挙上距離、挙上速度、筋電位を測定し比較する。「アーチ」のフォームは、腰を反る、肩甲骨を寄せるくらいしか書かれてないので、たぶん各自がやりやすいやり方で実施しています。
「フラットバック」のフォームは、腰椎をニュートラルします。いわゆるベタ寝ですね。胸椎については記述がありませんが、胸椎もニュートラルだと肩が危ないのでさすがに胸は張っていると思います。
各自やりやすい手幅で行うが、アーチとフラットバックのフォームで手幅は揃える。
両フォームとも、尻はベンチにつける、かかとは床につける。
6/28/2024
限界セット(RPE10)と非限界セット(RPE8-9)の筋肥大効果を比較した研究
https://www.researchgate.net/publication/378436551_Similar_muscle_hypertrophy_following_eight_weeks_of_resistance_training_to_momentary_muscular_failure_or_with_repetitions-in-reserve_in_resistance-trained_individuals
トレーニング歴有りの被験者を対象として、限界まで追い込んだ場合と、限界の少し手前で止めた場合の筋肥大効果を調べた研究です。これまでの限界セットと非限界セットの効果を比較した研究は、ほとんどがトレーニング歴の無い被験者を対象としたもので、非限界セットの追い込み度も研究によってまちまちでした。
今回の研究は、現場経験が豊富な研究者が関わっていて、痒いところに手が届く実験デザインになっています。
・被験者のトレーニングレベルが高い。
・非限界セットの設定がRPE8-9(限界まで2レップ残しか1レップ残し)で実用的。
・レップレンジやインターバルの設定が実用的。
・トレーニングボリュームの設定を、被験者の普段のトレーニングボリュームを基準にしている(ボリュームの変化が筋肥大効果に影響を与えると思われるため。これに関連した研究はこちら→関連記事:トレーニングボリュームを被験者ごとに調整した研究 )
・被験者の片方の脚を限界セット、もう片方の脚を非限界セットにしている。筋肥大反応の個人差の影響が無い。
・筋肥大するように体重が増加する食事をさせている(トレーニングレベルの高い被験者だと体重増加無しでは筋肥大しにくい)。
6/14/2024
筋トレへの筋肥大反応が低い人はボリュームを増やすと筋肥大しやすいという研究(ただし高齢者対象の研究)
現在の科学だと、どういう人が筋肥大反応が良いのか事前に判断することはできませんし、反応が悪い人はどうすれば筋肥大するようになるのかもわかっていません。
今回、トレーニング歴の無い高齢者が対象ですが、筋肥大反応が悪い人はボリュームを増やすと筋肥大効果が高まったという研究が出てきました。
Higher resistance training volume offsets muscle hypertrophy nonresponsiveness in older individuals
https://journals.physiology.org/doi/epdf/10.1152/japplphysiol.00670.2023
6/07/2024
5/31/2024
低炭水化物食の健康リスクを調べた研究
(1)Low carbohydrate intake correlates with trends of insulin resistance and metabolic acidosis in healthy lean individuals
https://www.frontiersin.org/journals/public-health/articles/10.3389/fpubh.2023.1115333/full
横断研究で、一時点での食事調査と血液検査をして分析しています。
<実験概要>
クウェートで実施。
被験者は平均32歳の男女。
本人が糖尿病の人、家族に糖尿病の人がいる人は除外。
BMI25以下の人を募集。平均BMIは22.7kg/m2
グループ分けは、摂取カロリーに占める炭水化物の割合に基づいて行っている。
低炭水化物グループ:45%未満
中程度炭水化物グループ:45-65%
高炭水化物グループ:65%より上
5/17/2024
タンパク質の摂取量・種類と健康の関係
(1)Dietary protein intake in midlife in relation to healthy aging – results from the prospective Nurses’ Health Study cohort
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916523662823
中年の女性看護師を対象としたコホート研究です。
30年間の追跡調査で、タンパク質の摂取量・種類と健康状態の関連をアンケートで調べています。
健康状態の調査項目は大きく分けると以下の4点です。
・慢性疾患(がんや糖尿病など)
・記憶力(物忘れがひどくないか)
・身体機能(日常生活に支障がないレベルに動けるか)
・メンタルヘルス
タンパク質の摂取量(摂取量カロリーに占めるタンパク質の割合)で5階層にグループ分けをして、各階層のタンパク質の摂取量・種類と健康状態の相関関係を分析しています。
5/03/2024
スクワットよりもデッドリフトの疲労はキツいか
動画:Deadlift Recovery & Capacity Scientifically Explained & How to Improve Your Conv. Deadlift
https://www.youtube.com/watch?v=dsSkbmkT-OY
スクワットよりもデッドリフトの疲労はキツいか?という動画なのですが、内容をざっと要約すると、
疲労を、「ROM×ワークロード×レバレッジ」とすると、スクワットとデッドリフトはROM(動作範囲)は同程度、デッドリフトはスクワットよりも高重量を扱えるが、それはレバレッジが有利なためであり、トータルで見れば身体にはスクワットもデッドリフトも同程度の負荷がかかっている。そのため、疲労も同程度になるはず。デッドリフトで回復に時間がかかるのは、フォームが雑なのと、ケツが使えてなくて背中に負担がかかり、ギリギリ粘って挙上中に背骨が動いてダメージが入っているから。ストリクトなフォームで出来るなら、デッドリフトとスクワットは同程度の疲労度で、同程度のボリュームを扱える・・・といった内容です。
私の考えは、デッドリフトが、タッチアンドゴーやRDLを含むなら、その通りだと思います。良いフォームで、タッチアンドゴーやRDL中心にやれば、ボリュームは積める。デッドリフト系種目でなかなか回復しないケースは、挙上中に背骨が動いてダメージが入っていたり、背中を反って背中の筋肉で負荷を受けたりしていて、体幹の疲労が重くて回復に時間がかかるのだと思います。フォームの精度を上げれば、ボリュームを積みやすくなります。
ただ、床に置いたタイミングで息継ぎをする床引きは、疲労がスクワットよりキツイと思います。緩んだ状態から腹圧を一気にMAXに持っていくのを繰り返すのが、全身の疲労を重くする感じがしますね。スクワットも、ピンスクワットを5レップ×4セット@RPE8(置いた時に息継ぎ)とかでやれば、床引きデッドリフトに似た疲労感になる気がします。
4/19/2024
ベンチプレスで足を置く位置
https://www.youtube.com/watch?v=o13E6dMansU
ベンチプレスで足を置く位置について、パワーチューブの動画を見てちょっと思ったことを。
動画では足を遠くに置くのを推奨していますが、おそらくこれは小柄な人向けのフォームで、大柄な人はやりにくいと思います。
4/02/2024
身体背面の張りをマッサージガンで取る方法
まずはベッドなどにうつ伏せに寝て、全身をリラックスさせます。私は自分でマッサージガンを持ってやっていますが、上手い人がいれば人に頼むのも良いと思います。ハムストリングスの下の方や、ふくらはぎは、寝ながらのセルフでは届かないので、起き上がって適当な姿勢でやっています。
マッサージガンを当てる部位は、下図の赤く塗ったところです。背骨に当てないように注意します。マッサージは、背面に張りがあると感じていて、時間が空いているときにやればOKです。スクワットやデッドリフトをハードにトレーニングしたあとに、予防的にマッサージガンを当てるのも効果的です。
関連記事:マッサージガンの効果を調べた研究
3/15/2024
拷問みたいなストレッチをすると普通に筋トレするのと同等の筋肥大効果が得られる
拷問みたいなハードなストレッチをすると、普通に筋トレするのと同等に筋肥大するという研究が出てきています。筋力(アイソメトリック)についても、普通の筋トレと同等の伸びになっています。実用性の面では疑問符が付きますが、学術的に興味深い内容なので取り上げます。
ストレッチによる筋肥大研究のこれまでの流れについては、こちらの論文が詳しいです。ざっと概略を書きます。
(1)Physiology of Stretch-Mediated Hypertrophy and Strength Increases: A Narrative Review
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10587333/
動物実験では、ストレッチによる筋肥大について明確な効果が示されています。ただし、重りで無理やり筋肉を引っ張るのを毎日24時間続けるといった、人間対象では不可能な方法です。
人間対象のストレッチ研究は、ストレッチで筋肥大が起きたり、起こらなかったりと結果がばらついています。
ストレッチをする時間の長さと、ストレッチの強度が重要なファクターになっていると考えられます。
一日数分程度の普通のストレッチだと、筋肥大はほぼ起こらないです。短時間のストレッチでも効果があったとする研究が一部ありますが、効果なしの研究のほうが多いです。
一日一時間といった長時間、または筋肉に非常に強いテンションがかかり、痛みを強く感じるストレッチだと、確実に筋肥大が起こりそうです。また、効果が示された研究では、整形外科的な器具を用いて、筋肉を強制的にストレッチ状態で固定しています。
ストレッチで筋肥大が起こるのは、筋肉への力学的な張力(メカニカルテンション)が主要な経路だろうと推測されていますが、詳しいメカニズムははっきりとはわかっていません。筋肉が引っ張られて薄くなることで虚血が起こり、酸欠による筋肥大が起こっている可能性もあるようです。
2/22/2024
ファットバーナーはファットをバーンするのか
ファットバーナーは体脂肪を燃やして減らすと謳うサプリメントです。ダイエット効果があるとされる物質を複数組み合わせています。
ファットバーナーの効果を調べた最新の研究を見てみます。
(1)Chronic Thermogenic Dietary Supplement Consumption: Effects on Body Composition, Anthropometrics, and Metabolism
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10674526/
1/28/2024
プロテイン100gを一度に摂取してもちゃんと筋肉に使われるという研究
(1)The anabolic response to protein ingestion during recovery from exercise has no upper limit in magnitude and duration in vivo in humans
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10772463/
プロテイン25gと100gを摂取したときの筋肉合成を調べている研究です。100gという大量のタンパク質を一度に摂取しても無駄にはならず、そのぶん多く筋肉合成されているという結果です。
「一度に大量にタンパク質を摂っても一定量以上は酸化されて無駄になるため、筋肥大を狙うには一食あたり30g程度に分散させて食べたほうが良い」という考えがありますが、それを否定する結果になっています。
1/14/2024
マッサージガンの効果を調べた研究
マッサージガンは筋トレに役立つのか、システマティックレビューを読んで考察していきます。
今回見ていくのはこちらの2023年の研究です。マッサージガンの、運動パフォーマンスと回復への効果について調べています。
(1)The Effects of Massage Guns on Performance and Recovery: A Systematic Review
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10532323/