7/19/2014

減量時のタンパク質摂取量による体組成変化の違い





Increased protein intake reduces lean body mass loss during weight loss in athletes.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19927027/


一日のタンパク質の摂取量を体重1kgあたり1.0gのグループと2.3gのグループに分けて、減量による体組成変化の違いを調べている。被験者はエリートレベルではないアスリートで、減量前の体脂肪率(平均値)は17%程度。結果は、2週間という短い期間ではあるが、高タンパク質摂取グループの方が除脂肪体重の減少が抑制された。2010年の論文。


★被験者
年齢: 18-40歳
運動歴: 週に2回以上のレジスタンストレーニングを6ヶ月以上継続。
性別: 男性
人種: 英国人
人数: 20人

詳しいデータはTABLE 1に。(数値は平均値±標準誤差)


★実験期間
- トータル4週間
- 減量フェーズは3週目と4週目の計2週間


★減量期間の食事
- 維持カロリー摂取の60%に制限(40%のカロリーカット)。
- マクロ栄養素の割合は、高タンパク質グループがタンパク質35%、脂質15%、炭水化物50%。対照群がタンパク質15%、脂質35%、炭水化物50%。
- 一日のタンパク質の摂取量は、高タンパク質グループが体重1kgあたり2.3g、対照群が体重1kgあたり1.0g。詳しくはTABLE 2に。
- タンパク質は主に動物性タンパク質を摂取。
- 食事回数は不明だが、通常の食事に加えて軽食も摂取して、栄養摂取タイミングを一日に分散させている。栄養摂取タイミングはトレーニングに合わせてはいない。
- 被験者が高タンパク質グループなのか対照群なのかわからなくするため、脂質中心でタンパク質をほとんど含まないプロテインシェイクもどきを作ったり、肉っぽいけど実は脂質が多い食べ物を提供したりと気を使っている。被験者のトレーニングに対するやる気が違ってきたりしないように。


★トレーニング
- 通常のトレーニングを各自継続。


★測定
- 体組成測定方法: DEXA
- 運動パフォーマンス測定: スクワットジャンプ、アイソメトリックでのレッグエクステンションの最大筋力、チェストプレの1RM、チェストプレスの筋持久力テスト、バイクでの無酸素運動能力テスト(Wingate test)
- 血液分析もしているけど特に面白くないのでここでは割愛。
- 主観での疲労感や満腹感も測定している。


★結果
<体組成変化>
以下の数値はアブストラクトに載っているもので多分2週目の測定値からの変化。FIGURE 2 は1週目と2週目の平均値からの変化。体脂肪の減少量は両グループとも同じで、対照群は除脂肪体重の減少が大きく、そのぶんトータルの体重の減少も大きくなっている。

・体重
高タンパク質群: -1.5±0.3kg
対照群: -3.0±0.4kg

・除脂肪体重
高タンパク質群: -0.3±0.3kg
対照群: -1.6±0.3kg

<運動パフォーマンス>
スクワットジャンプの際の踏み込みの力以外は、減量による変化はなし。除脂肪体重は減少しているので、実際には運動能力はわずかに低下していて測定では観測できなかった可能性がある。スクワットジャンプの際の踏み込みの力の低下は、体重減少に伴う必然的なもので、運動パフォーマンスの低下を示すものではないだろうとのこと。

<疲労感>
主観での疲労感は、高タンパク質グループの方が高くなった。理由は不明。


★個人的な感想
- 2週間という短い減量期間だけど、減量時にはタンパク質の摂取量を増やすことで、除脂肪体重の減少を抑制できるという常識的な結果になっている。
- 40%のカロリーカットなので割と速い減量ペース。
- 体重1kgあたり2.3gのタンパク質摂取量がベストなのかは不明。
- 被験者の体脂肪率が平均で17%程度で運動歴があるのでボディメイクの参考になる(アスリート対象の実験は少なく、被験者が肥満で運動歴の無い実験が多い)。
- 減量前後の体重変化にはグリコーゲンと水分量の変化も寄与してそうだけど、両グループ間の比較においては条件は同じ。



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