6/16/2015

腰痛について3~リハビリとトレーニング~(Low Back Disorders)


★リハビリのプロセス
1. どの動作が腰を痛める要因になっているか洗い出す。
2. 自分の脊椎がどういう姿勢になっているのか、どこの筋肉がどう収縮しているのか意識する。ものを持ち上げたりかがんだりするときは、脊椎をニュートラルの姿勢にし、腹周りの筋肉を軽く収縮させ、腰を曲げるのではなく股関節と膝関節を動かす。
3. 体幹を安定させる筋肉の動作を学び、筋肉の持久力を高めるエクササイズを行う。
4. その人の行うあらゆる活動において体幹を安定させることのできる筋肉の動作を身につける。


★他の関節との違い
脊椎は膝や肩とは異なり、これらの関節のリハビリに有効な手法は使えない。負荷をかけながら可動範囲内で動かすのは四肢の関節のリハビリには有効だが、脊椎には逆効果になる。また腰痛の症状は様々なので、全てのケースを同じアプローチ方法で扱うことは出来ない。


★リハビリの留意点
- リハビリエクササイズは毎日やった方が良い。
- 腰に痛みがある場合はエクササイズは止める。
- 有酸素運動と組み合わせるのも良い。特に早歩き。


★体幹の筋肉
体幹の筋肉の強さ(strength)はアスリートには必要だが、一般人の腰の健康のためには体幹の筋肉の持久力(endurance)が重要。それと体幹の筋肉の前後左右の持久力のバランス。腹筋群と脊柱起立筋群の強さのバランスも重要。また姿勢や負荷のかかり方によって体幹の筋肉の動員のされ方は連続的に変化する。従って体幹の全ての筋肉が重要であり、それらが協調して動員されることで脊椎が正しい姿勢を保ち障害を防止する。特定の筋肉をトレーニングする方法はワークしないだろう。


★呼吸
日常動作や多くのスポーツでは、バルサルバ法のように呼吸を意識的に止めて体幹を固めることはあまりない。従ってエクササイズでは、自然に呼吸をしながら体幹の筋肉を協調動作させ体幹を固めることが出来るよう訓練する。


★健康のためのトレーニングとパフォーマンスのためのトレーニング
筋骨格系の観点からはアスリートは健康とは言い難い。パフォーマンス向上のためには過大な負荷をかけ続ける必要があり、身体組織にダメージが蓄積されていき、怪我のリスクが上がっていく。不幸なことに、多くの一般人の患者がアスリートのパフォーマンス向上のためのトレーニングプログラムを見てそれを真似してしまう。健康のためのトレーニングは、パフォーマンス向上のためのトレーニングとは極めて異なる。健康のためのトレーニングは、脊椎への負荷をなるべく小さくしながら、筋肉の持久力と協調動作を高め、日常生活や仕事で行うタスクにおいて脊椎の安定性を維持することに重点が置かれる。


★柔軟性
腰を痛めた人には、腰のストレッチは良くない。前屈や、仰向けに寝て膝を抱え込んで丸まって腰を伸ばすようなストレッチはやらないほうが良いだろう。脊椎の柔軟性が必要なアスリートは行う。


参考書籍:
Low Back Disorders / Stuart McGill
http://www.amazon.com/Low-Back-Disorders-Second-Edition/dp/0736066926

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