8/13/2016

増量の考え方

★増量の基本
摂取カロリー>消費カロリー にする。カロリーの余剰分が体重増加になる。体重増加は、除脂肪体重の増加と体脂肪の増加によって起こる。


★増量時の消費カロリー増加の要素
・トレーニング量
多くトレーニングをすればそれだけ多くカロリーを消費する。それまで特に運動習慣が無く新たにトレーニングを開始する人は、トレーニングで増える消費カロリー分を食べる必要がある。

・筋肉合成
初心者ほどカロリーが必要。適応しないといけない組織が多いし、筋肉が増えるスピードが速い。

・カロリー超過による無駄消費
摂取カロリーを増やすと消費カロリーも増える。研究では1000kcal超過で、平均で500kcal程度の消費カロリー増加が見られた。まず食事誘発性熱産生で5-10%くらいが消える。基礎代謝も少し増える。あとの大部分はNEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis)による無駄消費だけど、これがかなり個人差がある。NEATで無駄消費しやすい体質の人が体重を増やすには、より多くのカロリーを摂取する必要があるだろう。


★初心者
筋肉量が少なく体脂肪が多い初心者の場合は、筋肉増加と体脂肪減少を同時に行える。トレーニング開始前と同じかやや多めのカロリー摂取にすると良い。体脂肪率が低い初心者が本格的にトレーニングを開始する場合は、カロリー摂取を1日あたり1000kcal以上増やす必要があるだろう。


★中級者以降
摂取カロリーを維持カロリーから300-1000kcal程度増やすと良いだろう。上級者になるほど筋肉の増加ペースが下がるので、カロリー超過も少なくする必要がある。


★マクロ栄養素
ボディメイク目的の筋トレのみ行うのなら、タンパク質は一日に体重1kgあたり2gで十分。カロリー超過は炭水化物と脂質の摂取をを増やすことで行う。

ハードな筋トレを行うには炭水化物を摂取してグリコーゲンを蓄えておく必要があるので、炭水化物を十分に摂取する。また適切なホルモンレベルを保つのにある程度の脂質が必要なので、脂質もある程度は摂取しないといけない。肉や魚や卵や乳製品といった高たんぱく質食品は脂質が付随するものが多いので、これらを食べていれば脂質は十分に摂取できているはず。

グリコーゲン貯蔵を満たし力の入ったトレーニングが行えているなら、あとは炭水化物と脂質の割合は適当で良いが、一般的には炭水化物多めの方がやりやすいと思う。カロリーを足す時の計算も楽。例えば米1合で約500Kcal、パスタ乾麺100gで400kcal弱。


★トレーニングを行わない日にもカロリー超過すべきか
トレーニングの翌日も筋合成は続くし、EPOC(Excess post-exercise oxygen consumption)により消費カロリーも増加している。週に3日以上トレーニングを行うなら、トレーニングを行わない日もカロリー超過した方が良い。トレーニングを行う日から少し減らす程度で良いだろう。


★体重増加ペースの目安
筋肉の増加するペースについて、Lyle McDonaldやAlan AragonやEric Helmsの出している数字を参考にすると、

一ヶ月あたりの筋肉増加ペース
初心者: 体重の1.0-1.5%
中級者: 体重の0.5-1.0%
上級者: 体重の0-0.5%

なるべく速く筋肉を増やすには、体脂肪もある程度は増える覚悟でカロリーを増やす必要がある。その場合はこの筋肉増加ペースを1.5~2倍したペースで体重が増えると良いだろう。体脂肪をなるべくつけないようにするにはゆっくり増量した方が良いが、その場合の筋肥大速度はポテンシャルよりも低くなる。

これらの数字は、週に3日以上のトレーニング日を設け、コンパウンド種目主体で全身を本格的にトレーニングする人の場合。身体の一部分しかトレーニングしなかったりトレーニングボリュームが少なかったりする場合は、このペースで体重を増やすと体脂肪がつきすぎる。

同程度のトレーニング歴であっても、筋肥大速度には個人差がある。自分の身体の変化とトレーニング重量の伸びを観察しながら調整していくのが良い。体重増加ペースが速過ぎると、体重増加の大部分が体脂肪増加によるものになってしまう。悪くとも、除脂肪体重と体脂肪が1:1のペースで増えていくようにしたい。


★ウェストでの判断
個人的には男性は一ヶ月あたりのウェスト増加が1cm以内を目安にするのが良いと思う。男性はウェストに体脂肪率が如実に表れる。ウェストが増えないで体重がどんどん増えていくならそれがベストだけど、体重が増えないようだったら摂取カロリーを増やしてウェストを増加させる。

体重とウェストは毎日同じコンディションで測定する。起床して排尿を済ませた後が一般的だろう。過去1週間の平均値で増減を判断すると良い。


★ボディメイクの体脂肪率範囲
ボディメイクは体脂肪率12-15%のレンジでやるのが多くの人にとって良いだろう。体脂肪率の判断は、下のようなよくある画像を参考にして、見た目でのざっくりした判断で良い。もしくは体脂肪率の下限を自分が楽に減量できるところまで、体脂肪率の上限を自分が見た目的に許容できるところまで、でも良いだろう。下限と上限の体脂肪率とリンクした自分のウェストサイズを覚えておくと、管理がしやすいと思う。



体脂肪率が高いとインスリン感受性の低下などで筋肉が増えにくく、体脂肪が増えやすくなる恐れがある。また見た目も悪いし、健康にも良くない。逆に自分の身体が無理なく維持できる水準よりも体脂肪率を低くすると、身体が飢餓に抵抗することで、体脂肪が増えやすく筋肉が増えにくくなる。一般的には、無理なく維持できる体脂肪率の下限は10-12%くらい。体質に恵まれている人は10%以下でも無理なく維持できるだろうけど、そういう人は少数。

体脂肪率が高めの人は10%台前半まで落としてから増量⇔減量サイクルに入ると効率が良いと思う。ただ、体脂肪率がかなり高い状態が何年も続いていると、無理なく維持できる水準が上がっていて、10%台前半まで落とすのがきついかもしれない。

中級者以降の人も、カロリー収支ギリギリでも筋肉は増えていくだろうけど、長期的に見て筋肉量を出来るだけ速く増やすなら、増量⇔減量サイクルを繰り返すのが良いだろう。体脂肪率12-15%のレンジだったら減量はサクッと終わる。


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