4/19/2020

信頼できる専門家の見分け方

私は特に秀でた分野は無くて広く浅くタイプなのですが、不案内な分野で信頼できる専門家を見分ける能力には自信があって、この機会に今までなんとなくやってたことを言語化してみたいと思います。


★詭弁
詭弁を完全にゼロにするのは結構難しいと思うけど、詭弁を多用する専門家は信頼できない。詭弁を避けるには、論理的思考能力と誠実さが求められる。

参考サイト:詭弁(ウィキペディア)


★Pros and cons
主張の肯定的な見方、否定的な見方、長所、短所を提示したうえで、なぜその主張を自分が選んだのか明確にしているか。こういうスタンスだと信頼性が高い。ただ、これを逆手に取って、形としては肯定・否定両方の見方を紹介しているように見えて、自分と違う意見にはストローマン(詭弁)を使うなどのやり方もあるので注意が必要。


★イデオロギーの影響
分野によってはイデオロギーによって、好まれる主張がはっきり分かれることがある。

イデオロギーは政治の色分けだと、一般的な言い方をすれば保守とリベラル。クラシカルリベラルとかはとりあえずおいておく(私はハイエク信者のクラシカルリベラルです)。

政治や経済以外でもイデオロギーが影響することがあるので、その分野ではイデオロギーによりどういう見方がされやすいのか、その主張をしている人はどちら寄りの人なのかを考慮すると良い。例えば環境問題は、保守とリベラルで好む主張がはっきり分かれる。今の新型コロナ問題も、保守は経済優先、リベラルは人命優先で分かれている。

生まれつきの性格の影響が大きくて、どういう性格の人がどちら寄りになるのか知っておくと、他の分野でのイデオロギーの影響を考慮しやすい。

保守だと、権威、秩序、伝統といったものを重んじる。
リベラルだと、公平、自由、開放性といったものを重んじる。

イデオロギーは純粋に理性や論理だけで形作られるものではなくて、生まれつきの性格の影響が大きい。だからイデオロギーが関わる問題では、人は感情的に反応するし、自分の性格と感情にフィットした主張を選ぶ。数学や物理の問題についての議論で普通は感情的にならない。論調が感情的になっている場合、それはその人のイデオロギーに引っかかっているからで、論理的な思考になっていない可能性がある。

欧米のメディアはかなりイデオロギーの影響が強いので、イデオロギーに沿った主張ばかりを載せる。メディアがどちらの色か把握しておくと良い。

自然科学の学者だとリベラルが多い。


★自分の知らないことを考慮しない。
自分の知っている範囲の事柄のみから主張を組み立てる専門家は信頼できない。一人の人間が知ることのできる範囲は非常に狭い。知能が高い人は論理的に組み立てるのが上手なんだけど、自信過剰で自分が十分に物事を知っていると思い込んでいるため、足りない材料から論理を組み立てて、見当違いな間違いをする。パーツの足りないプラモデルを強引に組み立てるようなもの。メディアに出たがりの医者の健康情報などにそのようなケースが多い(耳目を集めるようなことを言わないとメディアに出られないのだろうけど)。


★cherry picking
エビデンスから仮説を組み立てるのではなく、自分の主張にフィットするエビデンスだけを都合よく持ち出す。こういう専門家は信頼できない。


★black or white
黒か白か、善か悪かの二択で、わかりやすい答えを提示する専門家は信頼できない。世の中そんなにわかりやすかったら議論なんて起きていない。


★部分最適と全体最適
部分最適が全体最適になるわけではない。例えば、身体の特定の健康指標を最適にする方法が、身体全体の健康状態を最適にするとは限らない。


★「○○の真実」
「○○の真実」と軽々しく断言する専門家は信頼できない。「○○という神話(○○をdisる場合)」も同系統。


★自分の理論が絶対に正しいと信じている
理論通り行かなかった場合は、現実が悪いのであって、理論は間違っていないと考える。理論通りいかなかった場合のプランBを考えていない。結果として理論通りにはならなかったけど、もしこれをやっていなければ、もっと酷いことになっていたので、この理論を目指した政策は正しかったと言い訳する。こういう専門家は信頼できない。

一時期声が大きかったリフレ派がこれ。どう見ても理論が破綻してたけど、政府と世論のウケが良かったので、黒田東彦と岩田規久男を日銀トップに据えて審議委員も賛成派に入れ替えていって金融政策を好き放題やらせてみたけどあの体たらく。結果を出せず時間を浪費しただけでなく、膨張したバランスシートという負の遺産も残していった(どう後始末をつけるんだろう?)。インフレ目標達成できなかったら辞職すると豪語していた岩田規久男は結局辞職しなかった。

最近では厚生労働省クラスター対策班の西浦博・北海道大教授に同じ匂いを感じる。接触8割減を繰り返し唱えているけど、日本の現行法と普通の人の行動パターンを考慮すると実現不可能でしょう。どんな理論でも、実現できなければ意味がない。本気で8割減を達成したいのなら、法改正でもして都市部に自衛隊を派遣し、外出を厳格に制限するのが良いだろう。空論を掲げることで、結果として自粛過激派の先鋭化と国民の分断を招いている。そして本当に対処しないといけない問題から目を逸らさせ、時間を浪費させている(この点もリフレ派と似ている)。

それに緊急事態宣言解除後のことを考えているのだろうか。自分の言うとおりにすれば一ヶ月でコロナ封じ込めが成功して、その後は外からウイルスが入ってきて感染再拡大するようなこともなく、コロナ問題は終わるはずだと考えているのだろうか。8割減が達成出来ず、感染状況が落ち着かなかった場合はどうするのか。うまくいくかどうかに関わらずいずれは緊急事態宣言を解除すると思うけど、その後に感染が再拡大した場合はどうするのだろうか。いずれのケースもかなり確率が高いと思うが、その場合にどう対応するのか明確にしたほうが良い。脅すような数字を出すより、可能性ごとにプランを提示した方がずっと良いだろう。(自分の言う通りにしなければ恐ろしいことが起きるぞと脅すようなことを言うのも信頼できない専門家の特徴)

ちなみに今は封じ込め成功と言われている国も、何年間も国境封鎖を続けてウイルスの侵入を防げるのかわからないし、その政策にコストがどれくらいかかるかわからない。効果の高いワクチンや治療薬が普及するか、地球上から新型コロナウイルスが消えるまで、封じ込め成功の評価はできない。最悪なのはワクチンや治療薬の開発が難航している間に人口の多い主要国が集団免疫を獲得して、それらの国にとって新型コロナが脅威ではなくなり、ワクチンや治療薬の開発コストに対するリターンが見合わなくなって開発が中止されること。


★デメリットやコストについて何も言わない
この人を支持する人も多いだろうけど、例として山中教授を出します。山中教授はワクチンや治療薬という願望にすがった提言をしている。数ヶ月から1年でワクチンや治療薬が普及するのは、奇跡が起こらない限り無理だろう。例えば、ゾルフーザは臨床試験開始から販売まで3年くらいかかっている。(参考:新型コロナ 急がれる医薬品開発-抗ウイルス薬やワクチンが、なかなかできないのはなぜ?) 最近のインタビューでは集団免疫を言い出していて、封じ込めに拘泥していない点は評価できるが、それでも緊急事態宣言の状態をずっと続けることが必要だと言っている。

緊急事態宣言の状態を1年続けるとどれだけ経済的コストがかかるのか。民間の予想だと国内4-6月期GDPが前期比年率1-2割減といったところ。一ヶ月の緊急事態宣言でこの落ち込みようなので、緊急事態宣言を1年間続けたらGDPが3-5割減くらいになるのでは。緊急事態宣言の間、事業者と国民に適切な保障をと言ってるけど、単純計算でも1億人に10万円支給をしたら10兆円、世論を見ると一ヶ月の緊急事態宣言で最低でもこれくらい出すことが望まれているので、緊急事態宣言を続けたら毎月10万円で、年間120兆円。経済学を知らなくても、これは持続不可能だとわかる。そして子供はずっと学校にいけないままなのだろうか。未来の日本を担う子供の教育が捨て置かれる。長期戦を覚悟と言うなら、持続可能なやり方にしないといけない。

どのみち集団免疫に至るなら、なるべく早く集団免疫に到達したほうが経済的な損失は小さくなる。どのくらいのペースで感染が広がっていけば医療のキャパシティを超えずに済むのか、どの程度の経済活動なら持続可能なのかを議論し始めないといけない。緊急事態宣言の状態を続けてなるべく感染を抑えていくと、経済損失が際限なく膨らんでいく。経済水準が落ち込めば、医療だけでなく治安や教育などあらゆるものの水準が落ち込む。端的に言うと貧しい国になる。

薄々気付いている人も多いだろうことは、
「これだけ感染力の強いウイルスが蔓延した現状では新型コロナ封じ込めは無理」
「ワクチンや治療薬は出来るかわからず出来たとしても普及するまで何年間もかかりそう」

目を背けたくなる現実は、
「経済活動の停止や手厚い補償を続けるのは経済的にも財政的にも人々のメンタル的にも無理」
「封じ込めようとしても感染再拡大が起こるなら集団免疫を目指すのが最もマシなやりかた」
「集団免疫に至る過程では、ある程度の人が死ぬ」
「集団免疫を目指すならなるべく医療崩壊しない範囲で速やかに感染を拡大させていく必要がある」
「酷な言い方をすれば、程よいペースで死者と重症者が出続ける必要がある」

この選択にはこういうメリットとデメリットがありますと、トレードオフがあることを明確にする。それが誠意ある人の態度だ。山中教授は叩かれるのが嫌なのか、それともトレードオフを理解出来ないほど頭が鈍いのか知らないけど、綺麗事しか言っていない。

集団免疫戦略を取っているスウェーデンでは、4/15時点の担当疫学者の話だと、感染ペースがプラトーに達しつつつあり、スウェーデン内での一部地域では集団免疫の状態に非常に近づきつつあると信じている、とのこと。

50人以上の集まりなど禁止事項はあって、社会的距離や家にいることが推奨されているが、スウェーデンの街の様子はかなり自由な様子。国民の自主性を尊重、持続可能性を重視しているとのこと。一方、ロックダウンに踏み切った欧米各国は経済的コストの膨大さと市民のメンタル面で、ロックダウン継続は無理な雰囲気になってきている。

スウェーデンの社会実験がどういう結果になるのかわからないけど、非常に貴重な実験をやってくれているので他国は大いに参考になる。数ヶ月以内に結果が出るでのはないか。スウェーデンの感染状況が落ち着いてきたら、他の国でも集団免疫までにどれくらい死亡するかの見当がつくと思う。このサイトで状況が日々更新されている。人口1000万人で、現時点で約1500人死亡。

スウェーデンは今は異端扱いされて批判されているけど、個人的には来月くらいから評価が逆転しだすと思っている。欧米の多くの国は、ロックダウンを続ける経済的コストに耐えきれず、見切り発車で経済活動を再開し、結果としての集団免疫の道を選ばざるを得ないだろう。

酷い話だけど、医療のキャパシティを超えないような感染ペースだと集団免疫まで何年間もかかるようなら、ある程度の医療崩壊を許容しつつ終息までの時間を短くしたほうがトータルのコストは低くなるだろう。未曾有の危機、長期に渡って経済にダメージと言う割に、株価が堅調に戻りつつあるのは、経済崩壊と医療崩壊だったら、医療崩壊を選ぶだろうと株式市場は見透かしているのかもしれない。経済が崩壊したら医療も崩壊するけど、医療が崩壊しても経済は崩壊しない。

日本は欧米の追従でしょうね。政府や専門家やマスコミは新型コロナを中世のペストみたいに扱って恐怖を煽っていたから、いまさら経済活動を見切り発車で再開するのも世論の反発が強いと思うけど・・・。どう世論を納得させるかは政治家の力量。せめて若い世代はリスクは低いとデータをもとに伝えていれば、若い世代は仕事に戻ろう、高齢者を社会から隔離、という政策を取りつつ経済活動再開に向けて動き出せるものを。若い世代も重症化、死亡例と繰り返し煽っていたから。

再陽性が出ている問題については、それが再感染なのか体内でのウイルスの再活性化なのか現時点でははっきりしていない。仮に再感染だとして、皆がまったく免疫獲得できず100%再感染するのなら集団免疫戦略は使えないことになる。もし集団免疫が獲得できないなら中途半端に対策してももぐらたたきになるだけなので、各国同時に警察・軍隊を動員しての厳格な封じ込め策を取るか、もしくは死にやすい風邪として完全に放置するかになる。大部分が免疫獲得できて再感染するのがレアケースなら集団免疫戦略は問題なく使える。今後の展開を見てみないとなんともいえない。

0 件のコメント:

コメントを投稿