9/16/2020

女性の月経周期と合わせたトレーニングと栄養

Lyle Mcdonald の The Women’s Book Vol1を読んで、女性は月経周期によってトレーニングや栄養の反応が変わってくることを知ったので、自分でも記事を書いてみます。月経周期の有無、避妊薬使用(種類によって変わる)、閉経後(ホルモン補充療法の有無で変わる)も影響するので、女性のトレーニングと栄養は非常に複雑ですね。

Vol1は栄養がメインで、トレーニングについてはあまり書かれていないです。トレーニングの詳しい調整の仕方についてはVol2のリリース待ちなので、自分で論文を調べてトレーニングの調整についても書いてみます。

月経周期における各期間の分け方はいくつかあるのですが、ここではざっくりと前半後半に分ける分け方にします。月経開始から排卵までが卵胞期、排卵後から次の月経までが黄体期です。


★栄養
月経周期に合わせて、マクロ栄養素と摂取カロリーを調整します。インスリン感受性の変化、運動時の脂質の使いやすさの変化から、炭水化物と脂質の割合を変えます。タンパク質の摂取量は月経周期を通して一定にします。

<卵胞期>

炭水化物を多めにし、脂質を少なめにします。

<黄体期>

炭水化物を少なめにし、脂質を多めにします。黄体期は糖分と脂質への欲求が高まるため、その欲求を満たすためにダークチョコレートを追加で摂取するのも良いでしょう。ダークチョコレートの量の目安は1日200kcal以内です。黄体期は安静時代謝が上がるため、卵胞期よりも摂取カロリーを少し増やして大丈夫です。黄体期は保水量が増えて体重が増えるので、水分だとわかっていても一時的に体重が増えるのが嫌な場合は、食事の塩分を控えめにして、野菜や果物などを積極的に食べると良いでしょう。



★トレーニング
月経周期に合わせてトレーニングの内容と頻度を調整します。卵胞期は筋トレの効果が高いと考えられるので、筋トレの頻度を高くします。私が調べた限りでは、卵胞期と黄体期のレジスタンストレーニングの頻度を変えて比較した4つの研究のうち、3つの研究が卵胞期の頻度が高いほうが良い結果で、1つの研究が有意差なしとなっています。月経中は身体と相談しながら運動量を調整します。

黄体期は筋トレの効果が低く、また筋肉のダメージの回復が遅れます。筋トレは維持程度に実施し、有酸素運動中心にしたほうが良いでしょう。黄体期の有酸素運動は脂質を使いやすくなる可能性があり、また有酸素運動はPMSの症状緩和効果もあるので、黄体期におこなうのに向いています。ヨガもPMSの症状緩和効果があります。ある程度の運動量を確保できるヨガプログラムを実施できるなら、黄体期にヨガをおこなうのも良いでしょう。

初心者~中級者が週3回トレーニングする場合の目安を書くと以下のようになります。

<卵胞期>
筋トレを週3回
有酸素運動やヨガは好みで実施

<黄体期>
筋トレを週1-2回
有酸素運動かヨガを週1-2回

 

ちなみに私はいま電子書籍(KDP)向けのトレーニングと栄養の本を書いていて、この記事の内容はその本からの抜粋です。男性と女性の両方に対応しています。内容はほぼ完成していて、現在は校正作業をおこなっています。今月末か来月には出せると思うので、その際は読んでいただけると嬉しいです。



<参考文献>
A weight-loss program adapted to the menstrual cycle increases weight loss in healthy, overweight, premenopausal women: a 6-mo randomized controlled trial
https://academic.oup.com/ajcn/article/104/1/15/4569669
月経周期に合わせたダイエットプログラムの研究。食事は参考になると思う。トレーニングプログラムはどうしてこうしたのか根拠がよくわからない。

Effects on power, strength and lean body mass of menstrual/oral contraceptive cycle based resistance training
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26558833/
脚トレ。週5、週1。卵胞期のトレーニング頻度高いほうが、筋肥大と運動パフォーマンスが良い結果。

Effects of follicular versus luteal phase-based strength training in young women
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4236309/
片脚レッグプレス。約週4、週1。卵胞期のトレーニング頻度高いほうが、筋肥大とストレングスが良い結果。

Effects of Menstrual Phase-Dependent Resistance Training Frequency on Muscular Hypertrophy and Strength
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26554551/
片腕アームカール。週3、週1。筋肥大とストレングスで有意差無し。

Frequency variations of strength training sessions triggered by the phases of the menstrual cycle
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8776210/
2日に1回、週1。卵胞期のトレーニング頻度が高いほうがストレングスが伸びた。筋肥大は不明(筋肉断面積から計算すると卵胞期+18%、レギュラーが+25% 有意差あるか不明)

To compare the effects of aerobic exercise and yoga on Premenstrual syndrome
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6852652/
有酸素運動とヨガはPMSの症状緩和効果。有酸素運動は中程度の強度で30分。

Influence of Hormonal Status on Substrate Utilization at Rest and during Exercise in the Female Population
https://www.researchgate.net/publication/221878769_Influence_of_Hormonal_Status_on_Substrate_Utilization_at_Rest_and_during_Exercise_in_the_Female_Population
月経周期と脂質・炭水化物の代謝割合の話

Influence of menstrual cycle on indices of contraction-induced muscle damage
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24552791/
黄体期は筋トレからの回復が遅い

Female sex hormones and the recovery from exercise: Menstrual cycle phase affects responses
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31179123/
70% VO2max での90分間のランニング。黄体期よりも卵胞期のほうが疲労回復が速い。

2 件のコメント:

  1. PMS症状が重くで、なかなか減量が捗らないので、非常に参考になるし、勉強になるし、いつもありがとうございます!
    以前、ヒップスラストのフォームの質問にも回答いただき、今は安定して重量も伸びています。書籍楽しみにしています!

    返信削除
  2. くららさん、コメントありがとうございます!
    トレーニングが順調そうでなりよりです。
    書籍楽しみにしていてください!

    返信削除