2/10/2023

トレーニングプログラムのレビュー:Jacked and Tan 2.0


Boostcampアプリに登録されている、バーベルトレーニングが軸のトレーニングプログラムをレビューしていきます。アプリでカテゴリの設定をpowerlifting、powerbuildingにして、出てくるプログラムをレビューしています。

Boostcampについては以下の記事を参考にしてください。

関連記事:トレーニングプログラムのアプリの紹介(boostcamp)

アプリに登録されているプログラムのレビューは、以下の記事にまとめてあります。

関連記事:トレーニングプログラムのレビューまとめ

アプリでプログラムがきちんと動くのかは試していないです。○レップできたら重量アップなどのオートレギュレーション系は、実装が難しそうな感じがしますが・・・

初心者、初級者の用語の使い分けは、始めたてが初心者、少しトレーニングに慣れてきたら初級者と考えています。アプリでは、beginnerとnoviceがあるので、beginnerを初心者、noviceを初級者にしています。

今回レビューするプログラムは、Jacked and Tan 2.0です。



Jacked and Tan 2.0


<対象>

中級者


<プログラムタイプ>

リニアピリオダイゼーション


<特徴>

12週間の中級者向けプログラムです。以前レビューしたGZCLPと同じGZCLスキームを使っていて、高強度のメインリフト、中強度のコンパウンド補助種目、低強度のアイソレート種目の3階層になっています。

T1:メインリフトを高強度・低レップで行う。ストレングス向上が目的。

T2:コンパウンド補助種目を中強度・中レップで行う。筋肥大が目的。

T3:アイソレート種目を低強度・高レップで行う。バランスの取れた身体の発達が目的。

関連記事:トレーニングプログラムのレビュー:GZCLP

GZCLPは初心者向けなのでリニアプログレッションで重量を上げていきますが、今回のJacked and Tan 2.0は中級者向けなので、各階層で徐々に強度を上げていくリニアピリオダイゼーションプログラムになっています。


重量設定で参照する1RMにはトレーニングマックス(TM)を使用。TMは、RPE8-9で1-2レップ出来る重量。一般的には90%1RMの重量でOKです。

追い込み度は最大でもRPE8-9にします。限界セット(AMRAP)の記述でもRPE8-9で止めます。プラスセットもRPE8-9で止めます。


各カテゴリの種目の実施方法です。

<T1種目>
1セット目はnRM。例えば6RMだったら、6レップ実施します(限界まで1,2レップ残し)。
2セット目以降は、重量を落として実施します。プログラムで強度が指定されています。最終セットはプラスセットで、指定レップ数以上のレップ数で限界まで実施します(限界までといってもRPE8-9)。

セット間インターバルは、3-5分が目安です。


<T2種目>
T2の中でも3種類に分けられます。

T2A:プログラムで強度が指定されています。

T2B/C:1セット目を指定されたnRMで行います。例えば12RMだったら、12レップ実施します(限界まで1,2レップ残し)。2セット目以降は、1セット目の重量をそのまま用いて、限界セット(AMRAP)です。

セット間インターバルは、2-3分が目安です。


<T3種目>
T2B/Cと同様に、1セット目を指定されたnRMで行います。2セット目以降は、1セット目の重量をそのまま用いて、限界セット(AMRAP)です。

セット間インターバルは、60-90秒が目安です。



メニューは前半6週間と後半6週間で異なります。

前半6週間の基本メニュー(デロード週・測定週は種目減少)

DAY1:スクワット(T1)、デフィシットデッドリフト(T2A)、片脚レッグプレス(T2B)、チェストサポーテッドロウ(T3)、シーテッドロウ(T3)、レッグカール(T3)、レッグエクステンション(T3)、ハンマーカール(T3)

DAY2:ベンチプレス(T1)、クロースグリップベンチプレス(T2A)、インクラインベンチプレス(T2B)、シーテッドショルダープレス(T2C)、ラテラルレイズ(T3)、リアデルトフライ(T3)、ペックフライ(T3)、トライセプスプッシュダウン(T3)

DAY3:フロントスクワット(T1)、スクワット(T2A)、リバースランジ(T2B)、ラットプルダウン(T2C)、レッグエクステンション(T3)、レッグカール(T3)、ワイドグリップラットプルダウン(T3)、EZバーカール(T3)

DAY4:ミリタリープレス(T1)、クロースグリップSPOTOベンチプレス(T2B)、足上げベンチプレス(T2A)、プッシュプレス(T2C)、オーバーヘッドトライセプスエクステンション(T3)、ラテラルレイズ(T3)、リアデルトフライ(T3)、ペックフライ(T3)


後半6週間の基本メニュー(デロード週・測定週は種目減少)

DAY1:スクワット(T1)、デフィシットデッドリフト(T2A)、片脚レッグプレス(T2B)、チェストサポーテッドロウ(T3)、シーテッドロウ(T3)、レッグカール(T3)、レッグエクステンション(T3)

DAY2:ベンチプレス(T1)、クロースグリップベンチプレス(T2A)、インクラインベンチプレス(T2B)、シーテッドショルダープレス(T2C)、ラテラルレイズ(T3)、ペックフライ(T3)、リアデルトフライ(T3)

DAY3:デッドリフト(T1)、フロントスクワット(T2A)、スティッフレッグドデッドリフト(T2B)、ラットプルダウン(T2C)、シーテッドワイドグリップ(T3)、ハンマーカール(T3)、EZバーカール(T3)

DAY4:ミリタリープレス(T1)、クロースグリップSPOTOベンチプレス(T2A)、足上げベンチプレス(T2B)、ダンベルベンチプレス(T2C)、オーバーヘッドトライセプスエクステンション(T3)、リアデルトフライ(T3)、ペックフライ(T3)

※10週目と11周目のDAY1のT2Aは、デフィシットから通常のデッドリフトに変更

※11週目のDAY4はT3の種目数削減

※SPOTOベンチプレスは、胸の上数cmで止めるポーズド

※ミリタリープレスは人によって説明が違うのですが、足幅を狭くして、反動を使わずに行うオーバーヘッドプレスのことを指すことが多い。

プログラム全体の変数設定を表にしました。



表は「レップ数×セット数@強度」の表記です。強度は特に注釈がなければ%TMです。

アプリだと、BIG3とフロントスクワットはTMの入力欄があります。ミリタリープレスはなぜか入力欄が無いです。デフィシットデッドリフトの重量設定はデッドリフトのTMを参照。クロースグリップベンチプレス、足上げベンチプレスの重量設定はベンチプレスのTMを参照。



<コメント>

補助種目を多く実施してボリュームを積むタイプの中級者向けプログラムです。メニュー構成、セットの組み方、ボリューム、強度、プログレッションの設定など、よく練られたプログラムです。作成者のプログラムに対する理解度の高さが伺えます。ある程度のワークキャパシティが要求されますが、中級者の人にとって長期的に繰り返し使えるプログラムだと思います。3階層のGZCLスキームがいいですね。個人的にこのスキームは大好きです。

ミリタリープレスもやりますが、BIG3とOHPのボリュームが均等になっているプログラムと違い、ベンチプレス系のボリュームが豊富な設定になっているので、BIG3重視の人もそのまま使えると思います。


nRMの表記が多いので、最初は重量設定に試行錯誤が必要だと思います。目安としては、換算表から強度を-5%くらいすると、RPE8-9のRMになるかなと思います。例えば6RMだったら80%1RMくらいです。


T3種目は、最初のセットが指定のレップ数でRMで、2セット目以降は重量そのままでAMRAPなのですが、重量とレップ数はある程度は適当でいいと思います。2セット目以降に、レップ数が急低下する場合は、重量を下げてボリュームを確保するのが良いと思います。目的は筋肥大なので、ボリューム確保が最優先です。個人的な話をすると、レッグプレスは徐々に重量上げていくのがやりやすいです。いきなり最大重量だと膝が不安なのと、私のレッグプレス用の筋肉は持久力がかなりあるので、2セット目以降もレップ数が低下しにくいです。逆にレッグカールは、最初が最大重量で、2セット目以降は重量を下げていってます。ハムはすぐ疲れるので、重量を下げないと2セット目以降のレップ数が大幅に減ってしまいます。


個別の種目については、自分が実施しやすいものに代替しても良いと思います。

デフィシットデッドリフトが難しい場合は、RDLでいいでしょう。私はゴールドジムに通っているのですが、床引きナローをソリッドなフォームでやっている人はあまり見かけません。股関節の可動域が厳しいのか、プレートの着脱が面倒なのかわからないですが、大部分の人がラックプルで、床引きの時点でマイノリティです。そこからさらに動作範囲を広げて、フォームを崩さずに出来る人は、ほとんどいないと思います。そもそも普通のジムに、踏み台にできる平板で頑丈でちょうどいい厚さの板が無いです。ラバーのついていないオリンピックカラープレート(赤25kg、青20kgのやつ)を裏返して置くとちょうどよい厚さになりそうですが、普通のジムではあまり見かけません。

踏むための板がなくても、スナッチグリップデッドリフトで動作範囲を大きくすることはできます。ただこれも股関節の可動域の問題があるので万人向けではないと思います。


フロントスクワットは、柔軟性と骨格バランスの面で上半身が傾きやすい人は、重量が上がってくるとバーの保持が難しい場合があるので、大腿四頭筋に負荷をかけられる他の種目に代替すると良いでしょう。例えば、ハイバースクワットに代替(強度とボリュームを抑えるのが無難)、もしくはスプリットスクワットかハックスクワットに代替すると良いと思います。

2 件のコメント:

  1. もし気が向きましたら、Rip and Tearもレビューしていただけないでしょうか!

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    1. リクエストありがとうございます! 近いうちにレビューします!

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