12/08/2023

胸郭出口症候群について

ボディビルの横川選手が胸郭出口症候群になったとのこと。

動画:○○症候群にかかってしまい身体が動かなくなってしまいました。
https://www.youtube.com/watch?v=Fr9V2Abi7Kg

コメント欄では、自分も胸郭出口症候群なったことがあるというコメントが多いです。

調べてみると、ボディビル系だけでなく、パワーリフティング系の人もなりやすいみたいですね。


胸郭出口症候群とは

こちらの動画がわかりやすいので、参考にしてください。簡単に書くと、首、鎖骨、前肩付近で筋肉や骨の間に神経・血管が挟み込まれて圧迫され、腕や手に痺れが出たり、力が入らなくなる症状です。


動画:胸郭出口症候群/2分で分かる医療動画辞典 ミルメディカル
https://www.youtube.com/watch?v=a3WoTbV-0uE


動画:理学療法士が語る胸郭出口症候群の原因と診断方法
https://www.youtube.com/watch?v=J-UAdD6fE9U



神経・血管の挟み込まれる箇所は3箇所あります。


①斜角筋症候群

前斜角筋と中斜角筋と間のスペースを通る神経・血管が圧迫される。
原因:斜角筋の緊張・短縮。斜角筋の肥大のしすぎでも圧迫されます。怒り肩のマッチョがなりやすいです。

②肋鎖症候群

鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙を通る神経・血管が圧迫される。
原因:鎖骨の押し下げ、肋骨の引き上げ。鎖骨の下に付いている鎖骨下筋が短縮すると、このスペースが狭くなります。また、斜角筋が短縮すると、肋骨を引き上げることでこのスペースが狭くなります。なで肩の人や、物理的に重い物(荷物やリュック)を持って腕・鎖骨が下に引っ張られるとこのスペースが狭くなります。

③小胸筋症候群

腕を上げる際に(肩関節の外転)、小胸筋の下で神経・血管が圧迫される。
原因:小胸筋の緊張・短縮。猫背・巻き肩の人がなりやすいです。スポーツだと、腕を上げて動かす動作を繰り返すとなりやすいです(野球のピッチャーに多い)。


ボディビル系のトレーニングでは、
・高重量でのシュラッグ→②
・ベンチプレス→③
・リブフレア姿勢や首の筋肉の肥大→①

パワーリフティング系のトレーニングでは、
・BIG3で肩甲骨が強く下制される→②
・ベンチプレスで胸を張って高いブリッジを組む→②③
・高重量のデッドリフト→②
・広背筋を強く使うのでなで肩にやりやすい→②

リブフレアについては以下の記事を参考にしてください。

関連記事:胸郭を開くダンベルプルオーバーの問題点
https://changebodycomposition.blogspot.com/2021/10/blog-post_16.html


胸郭出口症候群の対策

ストレッチ・マッサージの直接的なターゲットは、斜角筋、鎖骨下筋、小胸筋です。

動画:【肩の痛み・腕の痛み痺れの原因】胸郭出口症候群の正しい治し方/知らないと後悔する簡単ストレッチ
https://www.youtube.com/watch?v=4MwPqnaPELQ


ただ、ターゲットの筋肉をストレッチやマッサージしても、姿勢を改善しなかったり、エラー動作を続けたりすると治りにくいです。特に筋トレをやっている人は筋肉の力が強いので、ターゲットの筋肉のストレッチやマッサージのみだと焼け石に水状態になりやすいです


姿勢面では
・猫背・巻き肩の姿勢のままだと小胸筋が短縮しやすいです。
・なで肩だと物理的に鎖骨と肋骨の間のスペースは狭いままです。
・広背筋が短縮しているとなで肩になります。
・↑これらは肩のインピンジメントの原因にもなりやすいです。

エラー動作では、
・前鋸筋が弱いと小胸筋が代償動作をして、小胸筋が過緊張になりやすいです。
・リブフレアだと呼吸の際に横隔膜が使いにくく、補助呼吸筋である胸鎖乳突筋や斜角筋が代償で使われ、これらの筋肉が過緊張になりやすいです。


したがって、姿勢が歪みにくい種目構成にしつつ、筋トレで酷使しやすい大きな筋肉をケアしていく必要があります。また、普段からこれらのポイントを意識していると胸郭出口症候群の予防になります。

<酷使する筋肉のケア>

大胸筋と広背筋は筋トレで酷使する上に、筋力が強いので姿勢を歪ませやすいです。固く縮こまらないように、ストレッチとマッサージをしていきましょう。


<プッシュ・プルのバランス>

プッシュ動作とプル動作のバランスが崩れると猫背になりやすいです。一般的にベンチプレスをたくさんやる人が多いので、バランスを取るため水平方向のロウをやっていきます。
・胸からみぞおちあたりに引くロウ、具体的にはダンベルシールロウ(チェストサポーテッドロウ)、シーテッドロウなどです。広背筋に頼らず、肩甲骨周りの筋肉を鍛えたいので、10-20レップできる軽めの重量でやります。
・頭上に引くロウ(高い位置へのフェイスプル)。肩関節の外旋を意識します。引く位置が低いと肩の水平外転になるので注意。


<下への引っ張られ対策>

鎖骨を上げて、鎖骨の下のスペースを広げます。オーバーヘッドのシュラッグ動作が良いと思います。下図のように床を押す形でやると、クローズドチェインになり、細かい筋肉が動員されやすくなります。




<リブフレアの矯正・横隔膜を使った呼吸の練習>

横隔膜をつかって深い呼吸ができるようにする。ベリーリフトがおすすめです。



<前鋸筋を鍛える>

肩甲骨の外転動作で前鋸筋が使われます。また前鋸筋の上部は、肋骨の上の何本かを引っ張り下げる働きがあり、鎖骨下筋と斜角筋が肋骨を引き上げる動きの拮抗筋としても働きます。
・脇を締めて肘を絞って、肩甲骨を大きく内転⇔外転する腕立て伏せ(大胸筋に効かせないようにする)。
・腕立て伏せとチェストサポーテッドロウは、ペアにして交互にやると時間効率が高いです。私はベンチプレスのあとに毎回やっています。
・前鋸筋を意識しにくい場合は、ヨガプッシュアップもおすすめです。猫背対策にもなるので一石二鳥です。

動画:Yoga Push-up
https://www.youtube.com/watch?v=DGYwtfFElR4



こうやって見ていくと、やることは肩のインピンジメントと腰痛への対策と同じですね。これらをちゃんとやっていれば、胸郭出口症候群はほぼ防げるのではないかと思います。




<参考サイト>

Thoracic Outlet Syndrome
https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/thoracic-outlet-syndrome

「胸郭出口症候群」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/thoracic_outlet_syndrome.html

https://www.instagram.com/p/Bi7TwfNFSSC/?utm_source=ig_embed&ig_rid=38837860-d6a6-4ec0-9dba-95075a604209

肩から手先の痺れ、痛み、だるさ | 「胸郭出口症候群」の正体とは
https://joyplus.co.jp/archives/1442

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