前回の記事(プラトー打破とピリオダイゼーション)の続き。
筋肥大目的のトレーニングにピリオダイゼーションを取り入れるメリットを書いていきます。
★同じ内容のトレーニングを続けるデメリット
種目やレップレンジが同じトレーニングを続けると・・・
- メンタル面: 飽きる。意欲的にトレーニングに取り組めるかどうかは、トレーニングの効果に影響する。
- フィジカル面: レップレンジごとに筋肉に入る刺激と適応する組織が変わってくると考えられるので、筋肥大を最大化したいなら、低レップ(1-5レップ)も中レップ(6-12レップ)も高レップ(15レップ以上)もやった方が良い。
★レップレンジへの身体適応
筋肥大をもたらす主な三つの刺激は、
- メカニカルテンション
- 代謝ストレス
- ダメージ
メカニカルテンションは低レップと中レップで良い刺激が入る。代謝ストレスは中レップと高レップで良い刺激が入る。
ダメージはエキセントリック動作でよく起こるとされてる。特に不慣れな動作で起こりやすい。ダメージにフォーカスする場合は、コンセントリックの1RM超えの負荷をかけてエキセントリック動作をやると効くと思われるが、負荷が大きいので長期間続けられるトレーニングではなく、リターンがどれだけあるかもわからない。個人的には、通常の挙げて下ろすトレーニングでエキセントリック動作を丁寧にやれば十分だと思う。
筋肥大の要素は、
- 筋原線維の肥大: 収縮して力を発揮する組織が太くなる。
- 筋形質の肥大: 毛細血管やミトコンドリアやグリコーゲン貯蔵量などの増加。高レップで筋形質の肥大が起こりやすいだろう。
★トレーニングへのフィードバック効果
高レップで代謝ストレスへの耐性を上げる事で、中レップでこなせるレップ数が上がる。また低レップで高強度トレに慣れることで、中レップでより強度の高いトレーニングを行える。従って、低レップも高レップもやることで、より質の高いトレーニングをこなすことが出来る。
★レップレンジ毎のトレーニング方法
- 低レップはコンパウンド推奨。アイソレートの低レップは怪我のリスクが高い。
- 中レップはコンパウンドでもアイソレートでも良い。
- 高レップはアイソレート推奨。コンパウンドの高レップは心肺機能やスタビライザーがボトルネックになりメインターゲットとなる大筋群を追い込みにくい。
一回のセッション中のトレーニングの順番は、低レップ→中レップ→高レップにする。
★筋肥大関連の身体能力のピラミッド
ストレングス(筋力)と筋肥大(筋量)とワークキャパシティはピラミッドの関係になっている。
土台がワークキャパシティ。ワークキャパシティとは、トレーニングセッションでどれだけトレーニングをこなせるか、次のトレーニングセッションまでにどれ
だけ回復できるか。身体の適応はこなせるトレーニングの質と量が上限になる。そして回復が追いつかないと継続的にトレーニングをこなせない。
回復力はワークキャパシティの拡大で向上するが、栄養と睡眠を十分に確保することも重要。またトレーニング以外のストレス、例えば仕事やプライベートなどのストレスもワークキャパシティに影響する。ストレスがキツイときはワークキャパシティが縮小していると考え、トレーニングを全体的に軽くしたり、特定の筋肉や種目にター
ゲットを絞って他は維持程度に軽くトレーニングし、トータルのトレーニング量を抑えた方が良いだろう。
トレーニングへの適応として筋肥大が起こる。基本的には、筋肉が太いほど強い力を出せる。
神経系とフォームの効率性を高めることで、太くした筋肉から強い力を引き出せる。神経系の適応とフォーム改善が上限に達したら、より強い力を発揮するにはより筋肥大しないといけない。
★筋肥大トレーニングのイメージ化
筋肥大トレーニングの内容を台形のイメージで考える。横幅がボリュームで、縦方向は上が高強度トレーニング、下が低強度トレーニング。
例えば中レップはバランス型なのでこのような台形。
低レップはこんな形
トレーニングを続けると、ワークキャパシティと筋肥大とストレングスがトレーニング内容に適応する。
初心者は中レップのみのトレーニングでも良いだろう。これで問題なく伸びていくし、この段階ではフォームを身につけることが最も重要なので、中レップが向いている。
5×5(5セット×5レップ)のようなボリュームが少ない低レップトレーニングは、ある程度続けると伸び悩む。
そうしたら、中レップと高レップを中心としボリュームを増やしたトレーニング内容にすると良いだろう。こうすることでワークキャパシティと筋肥大の土台を大きくすることが出来る。
前述したように筋肥大目的のトレーニングでは、全てのレップレンジのトレーニングを行うのが良いと考えられるが、長期的に均した時に中レップのトレーニングボリュームが最も多くなるのが良いだろう。中レップはメカニカルテンションと代謝ストレスのバランスが良く、怪我のリスクが低く、疲労も溜まりにくい。
★ピリオダイゼーションの例
ある程度トレーニングに慣れてきたら、期間を分けて特定のレップレンジにフォーカスすると良いだろう。
数ヶ月を一区切り、1-3週間を各レンジにフォーカスしたトレーニングを行う。
例えば、各週のトレーニングボリュームの振り分けを以下のようにする。
1週目: 中レップ4割、高レップ6割
2週目: 低レップ2割、中レップ6割、高レップ2割
3週目: 低レップ4割、中レップ4割、高レップ2割
4週目: デロード
トレーニングの強度とボリュームを下げるデロードの週を定期的に入れると良い。例えば3週ハードトレーニング続けたら1週デロード。デロードは疲れを抜いて体力を回復させる以外にも、トレーニングへの感受性を回復させる効果があるとされている。
各部位を週に複数回トレーニングするなら、トレーニング日ごとにレップレンジを変えるDUP(Daily Undulating Periodization )という方法もある。具体例は以下の記事で紹介した研究が参考になる。
関連記事:レップ数を変化させるトレーニングの筋肥大効果
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筋肥大のメカニズム
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